original image: © connel_design - Fotolia.com
[2015年第49週]バスも生活家電もIoT、2キャリアでバックアップするルーター、シニア向けサービスへの関心は?
2015.12.08
Updated by Naohisa Iwamoto on December 8, 2015, 13:09 pm JST
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2015.12.08
Updated by Naohisa Iwamoto on December 8, 2015, 13:09 pm JST
師走に入っても、ニュースとしてはIoT関連やMVNOのトピックが引き続き流れてきている。日本通信の2キャリア回線を使った「2SIMルーター」は、MVNOが価格競争以外に生き残る道を提示したものと言えそう。調査では、「シニア向けサービス」にシニア世代が興味を持っていないことが改めて見えてきた。
IoT関連のニュースを2つ紹介する。小田急エージェンシー とKDDIは、路線バス車内で「リアルタイム・バスサイネージ」の実証実験に取り組んでいることをアナウンスした。「リアルタイム・バスサイネージ」は、インターネットに常時つながるバス車載モニターにリアルタイムで情報を配信、表示できる。最寄り鉄道駅の運行情報や気象情報、ニュースなどがリアルタイムに配信できるほか、災害時の情報や企業広告など幅広く活用が期待できる。KDDIのIoT技術を活用して実現したという(報道発表資料:IoTで実現するバス車内の情報・広告配信システム「リアルタイム・バスサイネージ」の実験を開始)。
アプリックスIPホールディングスは、生活家電や調理家電などの一般的な家電機器を手軽にIoT対応できるようにするための「IoT用アナログ半導体」を開発し、製品化する。今回のIoT用アナログ半導体では一般的な家電機器で使われているアナログ電子部品にほとんどすべて対応し、デジタル情報への変換が行えるという(関連記事:生活家電や調理家電を1チップでIoT化できるアナログ半導体、アプリックスが製品化)。
ロボット関連では、ソフトバンクロボティクスが人型ロボット「Pepper」の法人モデル「Pepper for Biz」に向けたロボアプリの開発者などを支援する「Pepperパートナープログラム」を開始したというニュースがあった。ロボアプリを開発する「ロボアプリパートナー」とロボットのユーザーエクスペリエンスをデザインする「デザインパートナー」、Pepper for Biz導入企業にコンサルティングを行う「コンサルティングパートナー」の3種類のパートナーを認定し、支援する。これにより、Pepper for Biz導入企業の幅広い要望に対応できる体制を整える目論見だ(報道発表資料:Pepper for Biz向けロボアプリの開発者などを総合的に支援する「Pepperパートナープログラム」について)。
通信事業者のトピックを見ていく。冒頭でも紹介したように、日本通信は、IoT/M2M用途向け無線通信サービス展開に向け、2つのキャリア網に接続することでネットワークの信頼性を高める「Dual Network戦略」を発表し、対応新製品としてドコモ網とソフトバンク網を利用できる「2SIMルーター」を発売した。
「2SIMルーター」はメイン回線にドコモ網、バックアップ回線にソフトバンク網を使用する。メイン回線に障害が発生した時に自動的にバックアップ回線に接続を切り替える(関連記事:日本通信、IoT/M2M用途向け無線通信サービス用「2SIMルーター」を発売)。
「価値」を贈りあえる関係で、ユーザーの囲い込みを強化。ソフトバンクとソフトバンク・ペイメント・サービスは、プリペイドカードの「ソフトバンクカード」の会員向けに、カードの「バリュー」を送る機能の提供を開始したと発表した。「おくる」機能は、ソフトバンクカード会員間で、相手のソフトバンクカードや、金融機関の口座に「バリュー」を送れるもの。他のソフトバンクカード会員にバリューを送ってもらうように依頼する「もらう」機能も用意した(関連記事:ソフトバンクカードにバリューを「おくる」「もらう」機能を追加)。
iTunesコードも「ギフト」が可能に。ソフトバンクは、iTunesコードを家族や知人に電子メールで送れるサービスを開始した。iTunesコードは、App Store、iTunes Store、iBooks Storeなどでのアプリやゲーム、音楽、映画、書籍といったコンテンツ購入に利用できるコード。ソフトバンクオンラインショップでiTunesコードを購入するとき、「ギフトとして贈る」を選択し、送り先の電子メールアドレスを入力すると、相手にギフトとしてiTunesコードが届く(関連記事:iTunesコードをEメールで送れるサービス、ソフトバンクが提供)。
端末の新しい使い方の提案。KDDIは、auスマートフォンの新製品「DIGNO rafre KYV36」(京セラ製)を12月11日に発売する。DIGNO rafreの最大の特徴は、防水機能を強化し手を洗うようにハンドソープでスマートフォン端末を洗えることだ。温水の防水にも対応するため、バスタイムでの利用も可能、さらに画面や手が濡れた状態でも操作できるタッチパネルを搭載した。ディスプレイは5インチHD液晶で、画面全体が振動することで聞き取りやすい「スマートソニックレシーバー」を採用。OSはAndroid 5.1(関連記事:ハンドソープで洗えてスマホのキレイをキープ、auの「DIGNO rafre」)。
このほか、この1週間のトピックを紹介する。MMD研究所は、「40代〜60代の商品・サービスに関する購買動向調査」を実施した。その結果、40代〜60代の4割が「シニア向けサービス」というカテゴリへ魅力を感じないことがわかった。シニア向けの商品やサービスの利用は携帯電話で3.6%、家電・デジタル機器で2.5%と低い。またシニア向けサービスに興味があるという回答は携帯電話で23.4%、家電・デジタル機器28.7%だったのに対して、魅力を感じないという回答は携帯電話で42.7%、家電・デジタル機器で43.8%となり、魅力を感じないとする回答が上回った(報道発表資料:40代〜60代の4割が「シニア向けサービス」というカテゴリへ魅力を感じない)。
その一方で、「安くなる」ならばシニア向けだろうが喜んで利用する姿も見受けられる。NTTドコモは、60歳以上でドコモのケータイを利用中のユーザーに対して、スマートフォン(LTEスマートフォンやiPhone)に機種変更すると基本プラン(カケホーダイプラン)を最大2年間、毎月1520円割引する「シニアはじめてスマホ割」を提供する。期間は2015年12月4日から2016年1月31日まで。2015年4月から9月に実施していた施策で、好評だったことを受けて再度実施することになった(報道発表資料:60歳以上のお客様を対象とした『はじめてスマホ』キャンペーンをご好評につき再実施)。
最後にセキュリティー関連のトピックを紹介する。ソニーデジタルネットワークアプリケーションズは「Android アプリ脆弱性調査レポート 2015年12月版」を公開した。脆弱性対策への取り組み状況の指標となる「アクセス制御不備」の割合が29ポイント減と大幅な改善が見られた一方、暗号通信については誤った利用法により脆弱性を持つアプリが増加していることがわかった(関連記事:Androidアプリの脆弱性対策、暗号通信に脆弱性のあるアプリが増加)。
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