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中国2015年のスマホ出荷は2.5%増の4億3,410万台、上位から消えたサムスン

2016.04.05

Updated by Hitoshi Sato on April 5, 2016, 16:05 pm JST

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IDCが2016年2月14日に中国での2015年の年間のスマートフォン出荷台数を発表した。それによると、2015年1年間に中国で出荷されたスマートフォンは2014年(前年)よりも2.5%多い4億3,410万台だった。

中国のスマートフォン普及率は高く、特に都市部ではほとんど全員がスマートフォンを利用している。販売されている携帯電話もほとんどがスマートフォンである。それでも2014年に比べると2015年のスマートフォンの出荷台数は微増ではあるが、増加している。

スマートフォンの急速な普及で、中国ではWeChatやWeiboなどのゲームやチャットアプリなども大人気である。また日本と同じように「歩きスマホ」も大きな社会問題になっている。

上位から消えたサムスン

2015年に中国市場で販売されたスマホをメーカー別にみると、上位5位のうちApple以外は中国の地場メーカーである。Huaweiは全世界で1億台販売しており、グローバルにも展開している。またOPPOやvivoも東南アジア諸国や南米などに積極的に展開している。

中国人は見栄を張ることから、iPhoneが大人気だが、それでもiPhoneは高価で購入できない層も多い。iPhoneでないと利用できない機能やサービスはほとんどない。スマートフォンで利用しているのは、中国でも電話やテキストメッセージ以外には、ゲームやチャットアプリ、SNSなどだ。それらはiPhoneでないとできないということはなく、どのようなスマートフォンでも利用できる。Apple、iPhone人気の理由は主にブランド力であり、景気が減速したら、見栄で購入する層は激減するだろう。

地場メーカーXiaomi、Huawei、OPPOの人気、シェアも高い。また今まで絶好調だったサムスンが2015年の中国のスマートフォン市場の上位から姿を消した。サムスンは2014年までは中国のスマートフォン出荷ではXiaomiに次いで2位でシェア12.1%で2014には年間で5,000万台以上を出荷していた。サムスン全体としては今でも世界規模では3億台以上を出荷し、世界一だが、中国市場から名前が消えたことから、これからさらに減速していくかもしれない。中国市場でサムスンが突然売れなくなったというよりもOPPOやvivoといった地場のメーカーの台頭が著しい。とにかく安くてもそれなりの端末を市場に大量に投入している。ハイエンドからローエンドまで全方位で商品を投入して、その結果全体としてはいったい何をやりたいのか、どれが主力製品なのかわからないサムスンとは違って、ターゲットや商品、販売チャネル、それらを伝える広告、マーケティングも明確である。

またグローバル市場では存在感の強いレノボも地場の中国市場では上位に名前が出なくなった。Xiaomi、OPPO、vivoなどは5年前にはまだ名前すら聞いたこともない会社だったが、現在では上位に名前を連ねている。中国市場の競争の激しさが伺える。

▼2015年の通年での中国におけるスマートフォン販売台数とシェア
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(IDC発表資料を元に作成)

厳しい競争が続く中国スマホ市場

中国の主要都市部ではほとんどがスマートフォンを利用するようになり、行き渡ってきている。現在は年間に4億台出荷されている中国のスマートフォン市場だが、新規購入や買い替えが進まなくなる可能性がある。また景気が減速したら、現在のスマートフォンで十分という人が多くなり、買い替えを控えるようになるだろう。

またメーカーにとっても競争が厳しい市場である。かつてフィーチャーフォンの時代には、中国ではノキアが圧倒的に人気だった。ということは、現在上位にいるXiomiやHuaweiなどのメーカーもいつ新興勢力に追い抜かれてしまうか、わからない。特にスマートフォンはだんだん製品ごとの差別化が難しくなってきているので、価格勝負になってくる。現在はiPhoneだけが圧倒的に高価であるが、それ以外は200ドルくらいの価格レンジの商品が多い。トップのXiaomiの平均販売価格は141ドルであり、まさに価格で勝負して販売数量を増やし、シェア1位を奪取している。

中国の新興メーカーの多くが東南アジアやインドなどに進出しようとしているが、それらの新興国市場では、現地の地場メーカーの台頭が著しく、新参者の中国メーカーの端末は決して売れ筋ではない。現在の中国の地場メーカーも「スマホの次」の製品を見つけていくことが求められる。

▼2015年と2014年の中国の主要スマホメーカーの1台あたりの平均価格(ASP)
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(IDC発表資料を元に作成)

【参照情報】
China Smartphone Market Sees Its Highest Shipment Ever of 117.3 Million in 2015Q4
The China Smartphone Market Picks Up Slightly in 2014Q4, IDC Reports

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。