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自動車

[2016年第23週]KDDIが長期利用者特典や夏モデル、自動車のIoTにドコモ、KDDIの取り組み

2016.06.07

Updated by Naohisa Iwamoto on June 7, 2016, 17:21 pm JST

この週、KDDIがドコモ、ソフトバンクに続いて、長期利用者に対する優遇施策を発表し、同時に夏モデルの新製品ラインアップをお披露目した。NTTドコモとKDDIが、それぞれ自動車の情報を活用する実験やプラットフォームに関する発表をしている。また、MVNO各社からの施策のアナウンスも多い一週間だった。

KDDIの新プログラムと夏モデル

まずKDDIの発表から。KDDIは、長期利用者などに向けた新たな会員制プログラム「au STAR」を開始する。3つの特典があるプログラムを用意する。「au STARパスポート」は、auショップで待たずに済む先予約ができるプログラム。「au STAR ロイヤル」は、auの利用年数に応じてデータ定額料金1000円(税抜)ごとに、「WALLET ポイント」を毎月最大100ポイントプレゼントするプログラム。「au STARギフト」では、「世界データ定額」の1日分利用料(980円)を毎月1日無料で利用できたり、3カ月に1作品のエンタメコンテンツを追加料金なしで視聴できたりする特典を提供する(報道発表資料:『auとつきあうと、イイコト。』auをご利用いただいているお客さまに、感謝の気持ちを込めて。「au STAR」開始!)。

KDDIは同時に、2016年夏モデルとして7機種を発表した。auオリジナルブランド「Qua」シリーズでは、最新作のスマートフォン「Qua phone PX」、タブレット「Qua tab PX」(以上LG Electronics製)を提供。このほかスマートフォンでは、ハイレゾ対応イヤホンを同梱し、音楽をカスタマイズして再生する機能を備えた「HTC 10」(HTC製)、「ハイスピードIGZO」を搭載した「AQUOS SERIE」、電池持ちを気にせず使える大容量バッテリー搭載の「AQUOS U」(以上シャープ製)を用意する。さらに、4G LTEケータイ「AQUOS K」(シャープ製)、データ通信端末「Speed Wi-Fi NEXT W03」(ファーウェイ製)を用意する。発表済みの「Galaxy S7 edge」(サムスン電子製)、「Xperia X Performance」(ソニーモバイルコミュニケーションズ製)と併せて、夏商戦向けのラインアップが出揃った(報道発表資料:『選べて、イイコト』「auならでは」の機能や「最新技術」で細部まで進化させたスマートフォンなど、お客さまの想いを叶えるauのラインアップ)。

自動車のデータ活用に取り組む通信キャリア

自動車IoTに関連するニュースを2つ紹介する。1つはNTTドコモが、東京無線協同組合(以下東京無線)、富士通、富士通テンと協力して実施する実験。ドコモの携帯電話ネットワークから収集した位置情報などから作られる人口統計情報と東京無線の運行データをかけあわせて、タクシー需要のリアルタイム予測技術「移動需要予測技術」を新たに開発する。

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交通網の効率化をめざす世界初の実証実験として2016年6月1日に開始した。移動需要予測には人口統計や運行データのほか、気象データ、周辺の建物や店舗といった施設データを活用し、機械学習などの人工知能技術を適用してタクシーの需要予測モデルを作成。現在から30分後の乗車数を予測して効率的な配車を目指す(関連記事:ドコモと東京無線など、モバイル空間統計の人口統計を利用した人工知能によるタクシー需要予測の実証実験)。

もう1つはトヨタ自動車とKDDIが「つながるクルマ」のプラットフォームを共同して構築するというニュース。国・地域で異なる通信回線を統合管理し高品質な通信を確保して、グローバルで共通した「つながるクルマ」を実現することを目指す。つながるクルマ(コネクテッドカー)は、車載通信機(データコミュニケーションモジュール、DCM)を搭載し、クラウドと通信することでサービスを受ける。両社が構築するグローバル通信プラットフォームは、ローミングサービスに依存せずに低価格で高品質な通信を確実に利用できるようにする狙いがある(関連記事:「つながるクルマ」をグローバルで実現へ、トヨタとKDDIが通信プラットフォームを共同開発)。

MVNOからいろいろ

認知度が高くなってきたMVNOも、様々なニュースを発信した。U-NEXTは、同社のモバイル通信サービス「U-mobile」ブランドに、無料通話を付けた格安SIM「U-mobile SUPER」を追加すると発表した。6月上旬から順次受付を開始する。U-mobile SUPERは、10分までの国内通話を月間300回まで無料でかけられる通話サービスをセットにしたプラン。月額基本料金が2980円(高速通信1GB)、3980円(同3GB)、5980円(同7GB)。通話が多いケースで割高になりがちな格安SIMに、1つの新しい選択肢が登場したと言える(関連記事:10分の通話が月間300回まで可能な格安SIM「U-mobile SUPER」)。

ビッグローブは、法人向けの協業ソリューション「BIGLOBE SIM Coブランド」(以下 Coブランド)の提供を開始した。「Coブランド」は、BIGLOBEの高速モバイル通信サービス「BIGLOBE SIM」を、提携企業が販売できるもの。提携企業は単独でMVNOを立ち上げるよりも低コストで迅速にサービスを開始できる。「Coブランド」の第1弾は、GMOインターネットがBIGLOBEとダブルブランドで提供する「GMOとくとくBB SIM powered by BIGLOBE」で、音声通話が可能なSIMを月額1580円から提供する(報道発表資料:格安SIM協業ソリューション「BIGLOBE SIM Coブランド」の開始について)。

NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、「OCN モバイル ONE」に新機能の追加とキャンペーンの提供開始をアナウンスした。新機能、通信開始時の速度を向上する「バースト転送機能」。通信開始時の150KBまでは、速度規制時でも最大通信速度 262.5Mbpsの高速通信でデータを転送が可能になる。また「データ増量キャンペーン」では、「OCN モバイル ONE」に新規契約した場合に、日次コースでは1日あたり50MBを1年間(計約18GB)、月次コースでは1カ月当たり1GBを1年間(計12GB)にわたり増量する(報道発表資料:「OCN モバイル ONE」がさらに快適に! 通信開始時の速度を向上する「バースト転送機能」の提供と合計12ギガ以上の追加容量がもらえる「データ増量キャンペーン」の実施について)。

ユーザー獲得のためのキャンペーンは、プラスワン・マーケティングの「FREETEL」でも始まった。「最大1年間0円キャンペーン」と呼ぶもので、「FREETEL SIM」カードの購入・契約者を対象とし、(1)スマホ+SIM同時購入で1年間にわたり毎月1GBのデータ通信料が0円、(2)SIM単品購入で6カ月にわたり毎月1GBのデータ通信料が0円--の2通りがある。キャンペーン対象の「FREETEL SIM」カードは、「データ通信専用」「データ通信+SMS」「データ通信専用+SMS+音声通話」の3種類となる(報道発表資料:FREETEL、全SIMカード対象に 1GB通信料0円キャンペーン開始)。

ドコモが法人向け翻訳サービス、KDDIは新ニュースアプリ

このほかのこの週のトピックを紹介する。NTTドコモは、訪日外国人との応対を行う法人企業向けた翻訳サービス「はなして翻訳 for Biz」の提供を開始した。スマートフォンやタブレットを利用して、音声で日本語と外国語の間で会話ができる「音声翻訳」、免税対応などの頻出フレーズを登録した「定型文機能」を組み合わせたもの。また、通訳コールセンターを呼び出しテレビ電話で応対を行う「オペレーター通訳」を機能も2016年9月末までに追加する予定。小売業や宿泊業などの法人用途で、日本人店員が訪日外国人を接客する際の支援につなげる(報道発表資料:企業向け接客翻訳サービス「はなして翻訳 for Biz」を提供開始)。

KDDIとGunosyは、新しい無料ニュース配信アプリ「ニュースパス」の提供を6月1日に開始すると発表した。利用履歴からユーザーの興味・関心を分析し、最新情報などとともに「ユーザーが欲しい情報」を提供できるようになる。

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ニュースソースとしては、テレビ、新聞、雑誌、Webなど200媒体以上をベースにし、KDDIとGunosyが共同開発した情報解析・配信技術を使って、配信するニュースを自動的に選定することが特徴だ(関連記事:ユーザーの興味に合ったニュースや情報をスマホに配信、KDDIが「ニュースパス」開始)。

スマートフォンやインターネットの安全を中学生に伝える。KDDIは、一般社団法人ソーシャルメディア研究会、石川県小松市と協力し、小松市の全中学校でKDDIスマホ・ケータイ安全教室を6月7日、8日に実施する。KDDIスマホ・ケータイ安全教室は、インターネットやスマートフォンを利用する際に直面する可能性がある身近なトラブルについて紹介し、予防策などを教える講座。兵庫県立大学 竹内和雄准教授が代表理事を務める一般社団法人ソーシャルメディア研究会の学生が講師として参加し、自身の体験談を交えながらトラブル防止への啓蒙活動を行う(関連記事:産学連携のKDDIスマホ・ケータイ安全教室、石川県小松市の全中学校で実施)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。