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クリーンエナジーを加速する次世代の太陽光パネル「Wattway」

2016.06.28

Updated by Yuko Nonoshita on June 28, 2016, 14:33 pm JST

太陽光発電といえば、屋根の上や広大なソーラーファームを思い浮かべるが、新しいタイプの太陽光発電パネル「Wattway」がそうしたイメージを大きく変えるかもしれない。

2025年には世界で必要とされる電力量は現在の倍になると試算されており、あわせて環境に配慮したクリーンな電力供給方法が求められている、太陽光発電はクリーンエナジーを代表する発電技術であり、実用化が始まってから相当の時間が経っているにもかかわらず、いまだに普及が遅れている。課題はいろいろあるが、各家庭の屋根で発電するには容量不足で、かといってソーラーファームを設置するには導入・維持コストがかかり、対する買い取り価格が下落しているため参入企業は軒並み苦戦を強いられている。

こうした状況に対しエネルギー問題を抱えるフランスでは、道路や駐車場に敷き詰めて発電できる新しいタイプの太陽光発電パネル「Wattway 」を開発し、街中をエネルギープラントにするという大胆なアイデアを計画している。

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「Wattway」はフランスの建設企業コラス社が、フランスの国立太陽エネルギー研究所と共に5年の歳月をかけて開発した特殊な太陽光発電パネルである。厚さ約60ミリながら耐久性に優れており、歩道や駐車場はもちろん、クルマや大型トラックが走る車道でも問題なく使用できる。雨やブレーキでもスリップしないよう表面はざらざらとしたアスファルト状に加工されており、設置や取り換え、配線も比較的簡単になっている。[動画]

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クルマや人が常に行き交う道路では太陽光が遮られ、屋上やソーラーファームに比べると発電効率はかなり落ちるような気がするが、遮られているのは日照時間の10%程度で、太陽光パネルとしての役割は十分に果たせるという。「Wattway」で1キロメートル分の道路を舗装すると500件分の電力と公共で使用する電力が発電できるとしており、まずは街灯や信号などの公共電源として利用し、その後、家庭や商業施設といったさまざま場所へと使用先を拡げる予定だ。フランス政府は今後5年かけて620マイル(約1000キロメートル)にもおよぶ道路を「Wattway」で舗装し、最終的に人口の8%が使用する電力量を供給することを目指している。

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「Wattway」は他の電力供給源ともバランスよく組み合わせられる点が魅力で、これから登場するクリーンエナジーとも共存できる。フランスと同じく道路を太陽光パネル化する取り組みは、オランダや韓国でも計画されているそうだ。また、道路の舗装とクリーンなエネルギー供給ができる一石二鳥の手段として、今後は新興国を中心に広がっていくと期待されている。

【参照情報】
Wattway

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野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」「DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。