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小中高生のための人工知能プログラミング夏期集中講座をやります

Summer school of AI programming for teenagers

2016.07.02

Updated by Ryo Shimizu on 7月 2, 2016, 21:40 pm JST

 先日東京ビッグサイトで開催した「ビジネスマンのための深層学習講座」が非常に好評で、その場に居合わせた記者さんからインタビュー取材を受けました。

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 その記者さんは、先日、お台場の科学未来館での「子ども向けプログラミング教育」のセッションも取材に来ていただいた方で、「あのときは清水さんがプログラミング教育と人工知能をどうむすびつけようとしているのかわからなかったのですが、今日のお話を聞いてなんとなくイメージできるようになりました」と嬉しいことを言っていただきました。

 さらに記者さんは「人工知能が本当に発展していったとき、子供たちが今プログラミングを学ぶ意味は益々大きくなりますよね」と続けるので、そのとき、筆者の脳裏にあるアイデアが閃きました。

 人工知能が深層学習(ディープラーニング)によって飛躍的に性能を上げるようになったことは大変凄いことではあるのですが、実のところ、それをどのように使えば面白いことができるのか、実用的なことができるのか、ということはまだ根本的には分かっていません。

 GoogleやFacebookがいくら鼻息を荒くしても、実際に出てきてるサービスはGoogleフォト止まりです。

 ディープラーニングによる進歩がある意味で目覚ましすぎるので、研究者たちは先を急いで突っ走り、信じられないようなスピードで次々と新しい成果を出している反面、この一年間という短い間だけでも、無数に生まれた新技術や新発見を使いこなそう、という発想がビジネスマンやその他の人々には欠けているのです。

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 たとえば、画像分類(一般物体認識)ひとつとっても、これができるということは凄いことです。
 実際、株価の予測や表情の分類といったことに使えます。

 しかし、本来はもっといろいろあるはずなのです。
 それまでのコンピュータでは扱うことを想像すらできなかったようなことが、次々と明らかになっていくはずです。

 ところが本職の研究者という人々は、枯れた技術にはもう興味がありません。
 既に部品としては相当数の成果が生まれていて、その多くはオープンソースとして知見が共有されているにも関わらず、エンドユーザ向けのサービスやプロダクトという形にするところで苦戦しているのです。

 筆者らも、昨年、一般物体認識を使ったプログラムを誰でも組めるようにしたMOONBlockDXという製品を開発し、AppStoreに投入しました。

 投入してはみましたが、どうも今ひとつ一般物体認識の面白い応用例が思いつきません。

 非力なモバイル・デバイスの計算能力に限界もあるため、どうしたものかなあと思っているところに、プログラミング教育への関心の高まりと、同時に人工知能の関心の高まりが共鳴してきてるような気がしてきたのです。

 もしも、筆者たちよりもずっと若くて自由で柔軟な発想ができる子供たちが、人工知能を手にしたら、一体全体、どんなことを思いつくでしょうか。

 子供の柔軟な発想に、人工知能という新しい道具を与えたら、彼らは私達が想像もつかないような発見をするかもしれません。いや、実際にそれをする可能性は十二分にあります。

 しかし人工知能を子供に教えるにはいくつかの制約があります。
 まず、残念ながら現在のところ、ビジュアル言語だけでは人工知能のプログラミングは難しいのです。

 MOONBlockDXはビジュアル言語で人工知能を使ったプログラミングができますが、かなり限定的です。
 モバイル端末の場合、人工知能を学習させるのは非現実的なので、あくまでも学習済みの人工知能を使えるだけです。

 そうではなくて、人工知能を学習させる部分そのもの、もっといえば、どんなデータセットを学習させることができるか、というアイデアの段階から、実は子供たちの柔軟な発想が発揮されるチャンスがあります。

 そのためには、大学や大企業の研究所にあるような大規模なGPUクラスターシステムが必要です。そして当然ながら、これを使うには膨大な費用がかかります。なにしろ1台(ノード)あたり数百万円するものを、しかも何キロワットもの電力を消費してやっと学習するわけですから、一筋縄ではいきません。参考までに、弊社が扱っている深層学習ワークステーションの最上位機種は税込みで300万円以上します。

 それでもなんとか、子供たちに人工知能を学び、それを使いこなすチャンスを与えることが出来ないだろうか。

 インタビューに答えながら、私の頭のなかではそのアイデアがぐるぐる回り始めました。

 その場でさくらインターネットの担当者に連絡し、協力の約束を取り付けていただきました。さくらインターネットはGPUクラスターの構築にかけてはアジア随一の実績があります。

 そこで子供たちが自由に人工知能を学べるよう、本物の研究者が使うのと全く同じ最先端のGPUファームを特別に貸していただけることになりました。

 夏休みに開催して、前編と後編の二回に分けて行います。

 まず、人工知能のプログラミングに不可欠なのはUNIXです。
 これは、MacBookを持参できるなら、その上で教えることができます。

 
 が、残念ながらWindowsでは人工知能のプログラミングまでは教えることが出来ません。
 そこで、MacBookを持ってこれない子供には、格安で買えるUNIXマシンであるRaspberryPi3を人工知能の学習用にセットアップしてあげようということを思いつきました。

 本当は小中学生限定にしようかと思いましたが、人工知能のプログラミングを学びたい高校生大学生もいるのではないかと思い直し、対象を10歳〜19歳に広げました。

 10歳からにしているのは、筆者が10歳だった頃、まさに当時の人工知能にハマっていたからです。
 よくわからないなりに、夢中になっていろんなプログラミングを組んだ経験があるからです。

 さすがに小学4年生以下にはやや難しい内容になるかもしれないので、対象をそこに限定しています。 
 また、今回は設備の準備がそれなりに大変なので有料のセミナーとさせていただきます。儲けは全く考えていません。ほぼ実費です。

 はたしてそこまでして人工知能を勉強したいという子供がいるのかどうか自信がもてませんが、勉強したいという子供がいたらぜひ応援してあげたいという気持ちで、筆者自身が二回とも講師をさせていただきます。

 前編では人工知能の基本を学び、実際に学習データセットを揃えてメールで提出します。
 生徒さんが集めた学習データセットをさくらインターネットの高火力コンピューティングクラウドが誇るGPUファームで学習させ、後編では学習させた結果のニューラルネットワークを活用したプログラミングを体験します。

 前編と後編のあいだにお盆休みを挟みますので、その間にさくらのGPUクラウドが学習を終えているというわけです。

 うまくいけば、小中学校の夏休みの自由研究で人工知能を作りました、ということを学校で発表できるかもしれません。
 そしてもしそんなことが実現したら、ちょっとだけ楽しくて明るい未来に近づいたという気がしませんか?

 GPUクラウドが非常に高価なもので、使用できるコンピューティングパワーに限界があるので、今回は募集人数をかなり絞らせていただきます。
 

 興味のある人や、親御さんはぜひ一度、お子さんと話をしてみてください。

 イベントの詳細とお申し込みはこちらになります http://connpass.com/event/35124/

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清水 亮(しみず・りょう)

1976年新潟県長岡市うまれ。6歳の頃からプログラミングを始め、16歳で3DCGライブラリを開発、以後、リアルタイム3DCG技術者としてのキャリアを歩むが、21歳より米MicrosoftにてDirectXの仕事に携わった後、99年、ドワンゴで携帯電話事業を立上げる。'03年より独立し、現職。'05年独立行政法人IPAより天才プログラマーとして認定される。

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