[2016年第27週]IoTに向けた「LPWA」トライアルが加速、楽天のポイントで通信料金を支払い可能に
2016.07.05
Updated by Naohisa Iwamoto on July 5, 2016, 16:58 pm JST
2016.07.05
Updated by Naohisa Iwamoto on July 5, 2016, 16:58 pm JST
IoT関連、MVNO関連のニュースが多い一週間だった。IoT関連では、低消費電力で広いエリアの通信を実現する「Low Power Wide Area」(LPWA)がこの週のキーワードだった。またMVNOでは、楽天が提供する楽天モバイルで「楽天スーパーポイント」を通信料金に充当できるようにする新しい施策を発表するなど、ユーザーの取り込みに躍起になっている。
IoT関連のトピックから見ていこう。KDDIは、スウェーデンのエリクソンと共同で、IoTデバイスでの利用を想定したLTE系の通信規格「NB-IoT」「Cat-M1」に対応する「Low Power Wide Area」(LPWA)技術の検証を実施したと発表した。今回の検証は、エリクソンのデモ装置を利用して、3GPPがリリース13で標準化した「Cat-M1」「NB-IoT」の基本機能を検証したもの。検証の結果、LPWA技術がIoT市場におけるさまざまなユースケースに適用できることを確認した(関連記事:KDDIとエリクソン、共同でIoT向け通信規格「NB-IoT」「Cat-M1」の検証を実施)。
LPWA技術のトライアルでは、NTT西日本からもアナウンスがあった。NTT西日本は、世界のIoT関連メーカー約300社が加盟する「LoRa Alliance」で仕様策定と活用が推進されている規格「LoRaWAN」を使ったLPWAネットワークを活用したトライアルを実施する。LPWAネットワークをNTT西日本が提供し、トライアルパートナーは、自社で所有する各種IoTデバイスやセンサー、データ集約プラットフォームなどを組み合わせて、IoT活用シーンのトライアルを行える(報道発表資料:IoT向けLPWAネットワークのフィールドトライアルの実施について)。
IoTソリューションに関連する話題もあった。その1つが、KDDIがジェムアルトのコネクテッドカーおよび IoT ソリューションを採用したというニュース。デジタルセキュリティの世界大手ジェムアルトが、KDDI に対して、同社のLinqUs On-Demand Connectivity(ODC)サブスクリプションマネージャーとエンベデッド SIM(eSIM)を提供するというもの。これにより、KDDI は eSIM をあらかじめ実装したコネクテッドカーで、リクエストされた任意の移動体通信事業者のネットワークを利用できるようになる(報道発表資料:KDDI in Japan selects Gemalto's Connected cars and IoT solution、英語)。
もう1つはアットマークテクノの発表。同社は、IoTデバイスのリモート管理などを可能にするクラウドサービス「node-eye」(ノードアイ)の提供を開始した。node-eyeは、同社が提供するIoTゲートウエイ「Armadillo-IoT」シリーズを利用して、各種のIoTデバイスをクラウドサービスで管理可能にするサービス。センサーや機器などを接続するIoTゲートウエイの状態を、クラウドサービスを利用して一括して管理できる(関連記事:IoTデバイスのリモート管理をクラウドサービスで、アットマークテクノが提供)。
MVNOの話題も多い一週間だった。まず楽天の発表から。同社が提供する「楽天モバイル」で、「楽天スーパーポイント」を使って月額利用料を支払えるサービスを7月1日に開始した。ポイント利用による支払いは、一度設定すると毎月自動的に適用される。発表会では、家庭の食費や被服費、書籍代などを楽天経済圏にまとめることで、楽天モバイルの月額利用料をすべてポイントでまかなうことができるという例を紹介。高いと言われるスマートフォン料金を、楽天経済圏を活用すれば実質的に無料にすることもできることをアピールした(報道発表資料:楽天モバイルで、「楽天スーパーポイント」を使った月額利用料の支払いが可能に)。
▼楽天モバイルの新サービスを発表する楽天 副社長執行役員 平井康文氏(中央)。左は同社執行役員 楽天モバイル事業長 大尾嘉宏人氏、右は楽天モバイル事業 チーフプロダクトオフィサー 黒住吉郎氏
また、楽天モバイルには、新サービス、プランも追加があった。その1つが「コミコミプラン」で、 データ通信と対象端末、「5分かけ放題オプション」の料金がセットになったもの。プランは全部で3種類用意する。最も安い「コミコミプランS」は、2GBの高速データ通信と「5分かけ放題オプション」に「ZTE BLADE E01」をセットにしたもので、1年目の月額料金は1880円。端末種別やデータ通信量などが異なる「コミコミプランM」、「コミコミプランL」もそれぞれ1年目の月額料金は2480円、2980円と、手軽にスマートフォンを使いはじめることができる。さらに、スマートフォン初心者に向けて「あんしんリモートサポート」(月額500円)も開始する。 スマートフォンの設定や操作をはじめ、楽天モバイルだけでなくあらゆるスマートデバイスの使い方に困ったとき、プロのアドバイザーと一緒に問題を解決できる(報道発表資料:)。
MVNOでiPhoneの取り扱いが始まる。「UQ mobile」を提供するUQコミュニケーションズは、2016年7月15日からUQ mobileのオンラインショップと取扱店舗で、「iPhone 5s」の販売を開始する。ストレージ容量は16GBで、カラーはシルバーとスペースグレイの2種類と、選択肢は少ないが、MVNOの低料金プランでもセットの端末としてiPhoneが選べるようになることで、安心して「格安スマホ」の利用を始められるユーザー層が確実にありそうだ(報道発表資料:UQ mobile、iPhone 5sを7月15日より販売開始)。
低料金で利用者にアピール。ドリーム・トレイン・インターネットは、モバイル高速データ通信サービス「DTI SIM」で、月額基本料金が半年間「無料」になる「DTI SIM データ 半年お試しプラン 3GB」「DTI SIM データSMS 半年お試しプラン 3GB」を提供する。また5分以内の国内対象通話がかけ放題になる機能が利用でき、さらに月額基本料金を半年間790円引きする「DTI SIM でんわ定額プラン 3GB」プランも提供する。期間や申し込み数を限定するキャンペーンではなく、基本のプランとして提供する点がポイントとなる。ただし、DTI SIMに初めて契約する利用者に申し込みは限定される(報道発表資料:業界最安値※1の「DTI SIM」、さらにお得な3GB新プランが登場半年間"無料"の「データ半年お試しプラン」と音声通話定額サービス込みの「でんわ定額プラン」を提供開始)。
モバイル通信キャリア関連のトピックを紹介する。2016年7月1日以降、順次山開きする富士山。今年も大手キャリアから、通信サービスの提供のアナウンスが相次いだ。NTTドコモは受信時最大375MbpsのPREMIUM 4Gを山頂で提供。KDDIはWi-Fiの充実や4G LTEのエリア品質向上を目指す。ソフトバンクも、CAや無線基地局の新設でLTEなどの品質の向上対策とする(関連記事:山開きする富士山、375Mbpsの4Gや山小屋の無料Wi-Fiなど通信環境が充実)。
ソフトバンクは、家族の居場所をお互いに地図上で確認できる「みまもりマップ」の提供を開始した。みまもりマップは、グループ管理者が家族をメンバー登録することで、居場所の確認などの機能を利用できるアプリケーション。お互いの居場所を確認できるほか、災害発生時には救援要請なども可能だ。
グループ管理者には、ソフトバンクのSoftBank、Y!mobileブランドのスマートフォンで、「スマートフォン基本パック」「スマートフォン基本パック-S」「iPhone基本パック」「位置ナビ」に加入しているユーザーがなれる。家族は、ソフトバンクのスマートフォンだけでなく、他社のスマートフォンを利用していてもメンバー登録できる(関連記事:ソフトバンク、災害時などに家族の居場所を地図で確認できる「みまもりマップ」を提供)。
電波環境改善への取り組み。UQコミュニケーションズ(UQ)は、WiMAX 2+ユーザーに対して自宅の電波状態を改善できるようにする「UQフェムトセル」の貸出の先行受付を開始した。
UQフェムトセルは、自宅設置タイプのWiMAX 2+の小型基地局で、UQは現在開発を進めている。2016年内にUQフェムトセルの提供を開始する予定で、今回は先行して受付を開始する(関連記事:UQ、WiMAX 2+に対応した「UQフェムトセル」貸出の先行受付を開始)。
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