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SORACOM、120カ国以上でのグローバル展開やネットワークセキュリティを強化する新サービスを発表

2016.07.14

Updated by Asako Itagaki on July 14, 2016, 06:38 am JST

7月13日、ソラコムは自社カンファレンス「SORACOM Conference "Discovery"を開催した。基調講演では同社の玉川憲代表取締役社長が新サービスやグローバル展開について紹介した

新サービスは「Door」と「Gate」

追加サービスとしてネットワークセキュリティを強化する2つのサービスが発表された。

「SORACOM Door」は、VPN経由でSORAOM Airで接続されたデバイスからユーザーのシステムへの接続を可能にするサービス。物理専用線を利用せずインターネット接続を利用してセキュアなシステムを運用したいというニーズに応えた。SORACOM Directと併用することで、物理専用線とVPNによる冗長構成も可能になる。

▼SORACOM Doorの概要(詳細はこちら
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「SORACOM Gate」は、SORACOM Canal、SORACOM Direct、SORACOM Doorで接続されたシステムとSORACOM Airで接続されたデバイスを仮想的なLANとみなしてプライベートアドレスで接続するサービス。ソラコムではこれまでネットワークポリシーとして外部からデバイスへの直接通信は遮断していたが、「SORACOM Airで接続したデバイスにアクセスしたい」というニーズに応える。

▼SORACOM Gateの概要(詳細はこちら
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クラウド上のSORACOMにVirtual Private Gateway(VPG)を作成して仮想Layer2接続を作成し、閉域網内でデバイスへのアクセスおよびデバイス間アクセスが可能になる。またデバイスに割り振る IP アドレスを、レンジ指定もしくはSIMのIMSIを指定することで固定IPアドレスを割り振ることができる。

120カ国で利用可能に、グローバル展開始まる

また、この日より、全てのサービスがグローバルで利用可能となることが発表された。「SORACOM Air」 グローバル対応 SIMで、120以上の国と地域でSORACOM Airによる接続とその他全てのサービスが利用できるようになる。

▼SORACOM Airグローバル対応SIM
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▼対応エリア(2016年7月現在)
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SIMの管理については従来と同じWebコンソールで行える。管理項目に接続エリアが追加された。ユーザーが海外向けの製品やサービスをグローバル展開する場合、出荷先の国ごとの通信キャリア契約をする必要がなくなる。日本からSIMを組み込んだ状態で出荷し、利用開始時にWebコンソールからリモートで通信開始処理を行えばよい。

日本企業向けには「SORACOM Global PoCキット」の受付を開始する。30枚のグローバルSIM、6ヶ月分基本料金、300US$の通信費用を含めて49,800円での提供となる。また、認定デバイスのうち海外で利用できるグローバル対応デバイスの情報もウェブサイトで公開している。

LoRaWANの実証実験キットを提供

また、先日発表されたLoRaWANへの取り組みとして、数量限定でLoRAWANの実証実験キットを提供する。LoRa ゲートウェイ1台、マイコンボードを含んだ通信モジュール10個に加えて、ゲートウェイ設置や利用に関するコンサルティングとトレーニングが含まれる。

▼実証実験キットで提供されるゲートウェイと通信モジュール
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「LoRaWANはIoTのラストワンマイルとしてとてもおもしろいテクノロジー。SORACOMプラットフォームにとっては無線テクノロジーの拡張となる」(玉川氏)と位置づけ、RoLaWANによる接続もSORACOM Airと同様に扱えるように、Webコンソールによる管理やBeam、Funnelを利用したデータ送信などに対応する。

SPS認定パートナーに13社追加、アンバサダープログラムも開始

パートナープログラムであるSORACOM Partner Space(SPS)における認定パートナーとして新たに13社を追加。先日新設された「ネットワークパートナー」のカテゴリーではエクイニクス・ジャパン、ブロードバンドタワーの2社が追加された。

また、企業におけるIoT システム活用の利用啓発を目的とした「IoT アンバサダー・プログラム」の立ち上げおよび5名の顧問の就任が発表された。業界ごとのユースケースやビジネスモデル、課題や技術などの情報収集と議論を深めることで、課題解決策の提案と業界全体のIoT活用創出を推進する。

【報道発表資料】
IoT 通信プラットフォーム「SORACOM」に2つの新サービスを追加 仮想専用線接続サービス、デバイスLAN接続サービスを7月13日提供開始
IoT 通信プラットフォーム「SORACOM」をグローバル対応 実証実験キットを7月13日受付開始
IoT/M2M に適した省電力広域通信技術 LoRaWAN™の実証実験キット7月13日より受付開始
パートナープログラム「SORACOM パートナースペース」における 認定済パートナーとして13社を追加認定し、パートナーシップを強化
企業における IoT システム活用の利用啓発を目的とした 「IoT アンバサダー・プログラム」を立ち上げ、5名の顧問が就任

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。