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中国スマホ市場、2016年Q2:激減するAppleとXiaomiと台頭するOPPO、消えたサムスン

2016.08.30

Updated by Hitoshi Sato on August 30, 2016, 17:51 pm JST

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IDCは2016年8月15日、中国での2016年第2四半期(4月~6月)のスマホ出荷台数を発表した。それによると前年同期よりも4.6%増の1億1,120万台だった。同時期の全世界でのスマホ出荷総数が3億4,330万台だったことから、世界中で出荷されているスマホの3台に1台が中国ということになる。さすがに13億人以上の人口をかかえる中国だ、3か月でのスマホ出荷台数だけで日本での3年分くらいに相当する。

リアル店舗での販売網が充実しているOPPO、vivoの台頭

かつて中国では携帯電話市場はノキアが圧倒的なシェアを誇っていた。スマホ市場になってからも1年前まではサムスンが圧倒的なシェアを誇っていたが、現在ではもうベスト5にサムスンは入っていない。圧倒的に中国メーカーの存在感が大きく上位のHuawei、OPPO、vivoで市場シェアの約半分(46.6%)を占めており、今後サムスンが中国市場で再浮上してくる可能性は考えにくい。

そして中国の地場メーカーで圧倒的な存在感があったXiaomi(小米)も現在では出荷台数を減少させ4位に落ちてしまった。現在、一番勢いがあるのはOPPOだ。1位のHuaweiとの出荷台数の差は110万台で、シェアの差は1.0%だけで、もう少しで中国市場での首位も見えてきている。OPPOは当初はXiaomiの圧倒的な存在感の前に、中国市場では全く目立たなかったため、マレーシア、タイ、インドネシアなどの東南アジア市場で積極的に販売を行っていた。OPPOもvivoも中国市場での主要都市で店舗網を充実させることによって、実際のリアル店舗で積極的に宣伝、販売促進を行っていっきに販売台数を拡大してきた。かつてXiaomiがオンラインでスマホ販売を行いSNSでプロモーションを行ってシェアを拡大してきたのとは対照的だ。

Appleは新機種登場までは様子見

中国人が大好きなAppleも減少させて5位だが、2016年Q2には中国人にとって魅力的なApple端末の新製品がなかったことと新機種が登場するまで買い控えていることから、Appleの出荷台数が減少していることは想定通りだ。次にAppleから登場すると噂されているiPhone7が中国市場でリリースされたら、再び上位に登場するだろう。見栄っ張りの中国人の多くが好んで利用しているのはいまだにiPhoneだ。中国人にとって最新のiPhoneを所有していることは、一種のステータスのようなものだ。またスマホ自体も大きなディスプレイの端末が好まれるから、小型の「iPhone SE」のような端末は中国市場では人気がでなかった。そのためAppleが206年4月~6月の3か月間で5位に転落したからといって中国市場でAppleが停滞しているとは限らない。先日もAppleのCEOのTim Cook氏が中国を訪問して、中国に研究センターを開設することを明らかにしたが、中国でのAppleの動向は、もう少し長い目で見る必要がある。

▼2016年Q2の中国におけるスマホ販売台数とシェア
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(IDC発表資料を基に作成)

【参照情報】
IDC: Top 3 China Smartphone Vendors Maintains Streak with Combined 47% Total Market Share in 2016Q2

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。