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イギリス政府の国家IoT戦略

UK's national IoT Policy

2016.12.30

Updated by Mayumi Tanimoto on 12月 30, 2016, 01:52 am JST

今年のテック業界はIoTとAIが話題を独占していた状態でしたが、各国政府の取り組みも気になる所です。

アメリカ政府の動向も気になりますが、最近おもしろいと思ったのが、イギリス政府はIoTを推進することを前提として、政府IT戦略と通信政策の見直しを進めている点です。

その見直しの前提になっているのが2014年に発表された以下の報告書ですが、その中で、イギリス政府のIoTに対する戦略が詳しく述べられています。

<政策提案>

1.  政府はIoTの熱意とビジョンを支持、推進する

2. IoTのビジョンを実現するために政府はリーダーシップを発揮し、高いレベルの目標を設置する

3.   政府はIoTの専門家、そして戦略的な顧客にならなければならない

4a. 政府は専門家とIoTのインフラ整備のロードマップを作成するべきである

4b.  政府は産業界、規制監督官庁、学術界と協力し、ビジネスか消費者向けかに関わらず、固定電話およびモバイル機器の接続性と持続性を最大化するべきである。

1と2は政府のリーダーシップに関して述べられています。今年に入ってから政府は国内の大学(Imperial College London、University College London、Oxford、Warwick、Lancaster、Southampton、Surrey、Cardiff、Edinburgh)とIoT研究のハブを設置し、17の検証プロジェクトを実施するという取り組みを行っています

リーダーシップを取るといっても、主に予算の提供や取りまとめ役を行うという意味で、技術の検証や標準の選定はあくまで産業界や学界に任せるという立ち位置です。自由主義市場的な考えをとるイギリスらしいやり方です。

3は少々わかりにくいかもしれませんが、公共調達でIoTを導入し、モデルケースを作り、民間でのサービス導入や投資を促進していくという意味です。

これはイギリスだけではなく、アメリカの政府公共IT調達に関しても同じで、公的資金を投入するプロジェクトである程度挑戦的なものや、標準を策定に貢献するようなプロジェクトを実施し、民間でのサービスの普及を後押しするというものです。

もっとも重要なのは4aと4bで、イギリス政府は通信インフラへの公共投資においてIoTの発達を考慮した投資と政策調整を行っていくと宣言していることでしょう。

政策調整には電波帯域も含まれていますが、Ofcom(英国通信庁)はIoTで使用される電波帯域は2020年までに現在の8倍になるとしており、割当帯域の見直しのコンサルテーションが始まっています。

法制化の難しさから、イギリス政府はIoTのセキュリティや、政府自らが標準を選択することからは距離を置いていますが、予算の提供、公共調達、インフラ強化の点からIoTを支援していくという戦略はなかなか参考になる物があります。

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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