Say hello to Waymo(Waymo)

相変わらず謎だらけなウェイモ(グーグル)の方向性を予想する

2017.01.10

Updated by Hayashi Sakawa on 1月 10, 2017, 14:53 pm JST

昨年暮れにグーグル本体から分社化されたウェイモが8日(米国時間)、デトロイト・モーターショーの開幕に合わせて現地で同社の取り組みに関する発表を行っていました。発表の主な目的は、フィアットクライスラー(FCA)製ミニバン「Pacifica」をベースにした自動運転車のお披露目だったようですが、一番気になる点、つまり同社が「どんな事業を行うつもりでいるのか」というところが依然としてはっきりせず、なんとも気を持たせる発表に終始してしまっていたようです。

今回の発表に関して、ウェイモが自動運転車に必要とされるソフトウェアに加えてデータ収集用のハードウェア類(LiDAR、レーダー、カメラセンサー)なども自社開発したことや、このソフトウェアとハードウェアをパッケージ化して他社(自動車メーカー)に提供することも視野に入れていることなどが伝えられています。この部分だけ切り取って眺めると、ウェイモが自動車メーカー各社に対してサプライヤーとなろうとしているようにも感じられますが、その場合にどうやってマネタイズするか、というのはよくわかりません。

スマートフォンOSの場合のように開発コストだけ負担して、あとは「ご自由にお使いください」というわけにはいかないでしょうから、やはり有料で販売ということになるのでしょうか。そうだとすると、デルファイやモビルアイといったサプライヤー各社と潜在的に競合することになり、ウェイモが自動車メーカーに対して主導権を取るのは難しくなるようにも思えますが。

また同社のジョン・クラフチックCEOは、現時点で考えられる選択肢として、ライドシェアリング、ロジスティクス(物流)、パーソナルユース(自動車メーカーへの技術ライセンス)、ラストマイル・ソリューションなど複数の例を挙げていたようですが、同社がすでに「自動車メーカーになるつもりはない」との考えを明らかにしていることを考え合わせると、この発言は「何も決まっていないに等しい」と受けられても仕方のないものとも感じられてしまいます。

以前から噂が流れているライドシェアリング事業開始の可能性も考え合わせると、おそらくウェイモは自動車メーカーとの間で売りと買いの両方をやる---自社で開発した自動運転技術をメーカーに提供(=販売)し、それを組み込んだ車両を購入する、といった取引の形がありえそうです。実際にフィアットクライスラーには100台の追加発注もしており、また提携協議中とされているホンダとも「モビリティ(輸送サービス)」の話をしているとBloombergでは伝えています。

昨年5月の提携発表時にフィアットクライスラーに発注していた100台のミニバンは、今月中にも公道での走行が始まる予定とされていますので、あるいはそのタイミングに合わせて、ライドシェアリング(もしくはWazeベースのカープール・サービス)などが正式に始まることになるのかもしれません。

様々な事情からウェイモ側では本音をまだ明らかにできないのだろうと推測しますが、自動車メーカーや既存のサプライヤー、それにIT分野の各社などが自動運転車のプロトタイプを発表したり、あるいは提携を打ち出す中で、ウェイモにも早期に自社のポジショニングや事業の方向性を明確にして世間をスッキリとさせてほしいものです。

【参照情報】
Google’s new self-driving minivans will be hitting the road at the end of January 2017 The Verge
Alphabet’s Waymo says it has cut the cost of crucial self-driving car technology by 90 percent - Recode
Alphabet Inc.’s Self-Driving Car Unit Creates Its Own Sensor Package - WSJ
Alphabet’s Waymo Cuts Cost of Key Self-Driving Sensor by 90% - Bloomberg
Alphabet Says its Autonomous Cars Needed Less Human Help in 2016 - Bloomberg
Alphabet’s Waymo Said to Expand Self-Driving Chrysler Fleet - Bloomberg
Alphabet’s Waymo May Sell Autonomous Hardware to Other Companies - Bloomberg

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坂和 敏

オンラインニュース編集者。慶應義塾大学文学部卒。大手流通企業で社会人生活をスタート、その後複数のネット系ベンチャーの創業などに関わった後、現在はオンラインニュース編集者。関心の対象は、日本の社会と産業、テクノロジーと経済・社会の変化、メディア(コンテンツ)ビジネス全般。