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警部補付きのサイバー犯罪捜査官を採用。専門家と共に対策を強化する兵庫県警の取り組み

2017.02.01

Updated by Yuko Nonoshita on 2月 1, 2017, 06:25 am JST

不正送金やランサムウェア、標的型メール攻撃など、年々手口が複雑化するサイバー犯罪に対向するため、兵庫県警察本部サイバー犯罪対策課では「サイバー犯罪防犯センター」を設立。民間の専門家によるアドバイザー制度を2013年からスタートし、2015年からは現場捜査に同行するサイバー犯罪捜査官を採用するなど、官民一体でサイバー犯罪対策に取り組んでいる。

神戸市で開催された「神戸ITフェスティバル」のセミナー「兵庫県内で実際に起きているサイバー犯罪は!? ~兵庫県警と対策アドバイザーが伝える被害とその対策~」に登壇した南澤英志サイバー犯罪防犯センター長は、「情報通信機器の保有が大幅に増えたことで、対象が広がり、犯罪の内容も巧妙になっている」と説明。犯罪行為に対向するには専門家の協力は不可欠とし、アドバイザーと協力関係を強めているという。アドバイザーの委託任期は2年で、15年6月から5名が認定されている。(参照記事:サイバー犯罪対策 民間の専門家5人、県警を支援

▼兵庫県警察本部サイバー犯罪対策課の南澤英志サイバー犯罪防犯センター長から複雑で巧妙化するサイバー犯罪の現状が解説された。
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兵庫県警察サイバーセキュリティ対策アドバイザーとして最初の委託を受けた神戸デジタル・ラボの三木剛氏によると、主な活動は本業で手に入れた最新情報と経験を元に、対策指導や助言、人材育成を行うほか、県下全域でセミナーの開催などの情報提供を行うこと。「サイバー犯罪は身近になっており、とにかく関心を高めることが重要」と言い、「手口の複雑化もさることながら、利用者側のうっかりミスから犯罪につながることも多く、対象も”狙われる”から”ひっかかる”ようになっている」と説明した。

また、会社や組織で行うべき対策ポイントとして
・リスクの優先順位を設定する
・被害を最小限にとどめる体制を作る
・性悪説で考える
・内部不正対策も行う
以上の4つをあげている。また、日ごろからリスク回避のために、Security NEXTなどで最新情報を手に入れることも大事だとしている。

▼初代アドバイザーを委託された神戸デジタル・ラボの三木剛氏は現在も県警と協力関係を続けながら、セミナーを通じてサイバー犯罪に関する最新情報の共有を行っている。
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学生サイバー犯罪防犯リーダーや専門家を刑事として育成する

ただし、「今やサイバー犯罪の手口は企業や組織で防御できる時代ではなくなりつつある」とも三木氏は警告する。そこで、兵庫県警では2015年から実際の事件捜査に参加する「サイバー犯罪捜査官」を採用し、サイバー犯罪の解明と撲滅に取り組んでいる。警部補として1年間の任期付きで県警に配属され、平日は県警勤務で週末は会社出勤という体制ながら、現場捜査の参加や証拠の精査も行うため、他の警察官と同じく現場訓練や拳銃の発砲訓練も受けるという。

守秘義務があるため活動内容についてはあまり多くは紹介されなかったが、当事者からは、「社内業務と似たところもありながら、実際に逮捕状を執行したり、一緒に検挙した普段出来ない貴重な経験ができる。また、捜査によって相手の人生を変えるかもしれないことに重い責任を感じたところもあった」とのコメントがあった。任期終了後はただちに県警との関係が終わるのではなく、最初の捜査官に就任した神戸デジタル・ラボの久野祐介氏は、その後もテクニカルサポーターとして県警との協力関係が続いている。

▼警部補として現場捜査にも参加するサイバー犯罪捜査官の活動については一部は新聞でも紹介された。

サイバー犯罪捜査官は今後も採用が続く。応募資格は県内に住所があり、デジタルフォレンジックなどサイバー犯罪に対する専門的な知識を持っている部署に所属し、4年以上の勤務か担当経験があること。会社との協力関係を築くために社内からの推薦は必須で、ネットワークスペシャリスト試験 情報セキュリティスペシャリスト試験 、 応用情報技術者試験又は基本情報技術者試験の資格を保有していることなどで、詳細は兵庫県警のサイトで公開されている。
兵庫県警察官(サイバー犯罪捜査官)採用選考案内(PDF)

あわせて兵庫県警では、「学生サイバー犯罪防犯リーダー」の募集を行ってきたが、来期からはさらに幅広い人材を対象とした特別採用も行う。基本情報処理技術者以上を持ち、2年以上の勤務経験か35歳未満の成人が対象となり、警察学校に入る必要があるという本格的なもので、卒業後は、サイバー犯罪対策課で解析を行う刑事か企画、情報管理課のいずれかで採用される予定だ。

▼兵庫県警ではサイバー犯罪捜査に加わる本格的な人材募集を平成29年度より行う。

サイバー犯罪はオンラインがメインといいながらも拠点が国内の特定の場所に置かれている場合もあり、犯罪者の逮捕やサーバーなどの証拠品押収は各地の警察機構が行う必要がある。そうしたことから、兵庫県警と同じような取り組みが今後、全国各地へ拡がるかもしれない。

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野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」「DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。

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