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在宅勤務成功のコツは何か?(その1)

What makes remote work successful (1)

2017.02.27

Updated by Mayumi Tanimoto on 2月 27, 2017, 07:35 am JST

在宅勤務先進国はなんといってもアメリカですが、2016年の時点で24%の働く人が家から働いています。管理系や金融 の場合は38%、専門職の場合は35%になりますが、この調子で伸びていくとなると、50%超える日は遠くないでしょう。

 イギリスの場合、在宅勤務は1990年代から増え始め、当初はBTなど通信系企業が導入し、 1998年には11.1%の働く人が在宅勤務を導入していましたが、2015年には19%に増加、10年前と比較し在宅勤務者が24万人も増えています。

在宅勤務の人の報酬の中間値は時給£13.23(約1852円)で、その他の人£10.50(約1470円)です。アメリカは管理系や専門職の在宅勤務が目立ちますが、イギリスでも、報酬が高く、専門性の高い職業ほど 在宅勤務しやすいようです。イギリスの場合、在宅勤務する人の典型例は、建設業界の男性や、子育て中の女性です。在宅勤務者の総数は男性91万人、女性は60万人です。

ランカスター大学の研究によれば(イギリスの場合2017年には約半数の企業がリモートワークを導入し、2020年までには70%が導入するといわれています

日本の場合、2016年にトヨタ自動車が一定以上の資格を持つ約1.3万人の社員にまで在宅勤務を大幅に導入することが大変な話題になりました。 トヨタ自動車の取り組みは、北米や欧州からすると、驚くようなことではないのでニュースにはなりませんが、日本では話題になるということは、それだけ大変なことだ、ということです。自動車や通信系企業などの一部で導入しているところもありますが、国土交通省の2014年の調査によれば、全労働者のうち、 週1日以上終日在宅で働く人の 割合は2.7% にすぎません。

テクノロジーの世界では、アメリカだけではなく欧州でも人材獲得が最重要課題の一つになっており、欧州でもテクノロジー系のカンファレンスなどで、従業員の満足度の向上や、人材獲得が話題にならないことはありません。日本でもテック業界は今後ますます人材の流動性が高まり、柔軟性のある働き方は、優秀な人材を世界から獲得する場合の武器になります。

日本の場合、テック企業であっても在宅勤務のほか、柔軟な働き方を導入していない企業が多いので、 イメージが浮かばない方が多いのではないでしょうか。しかし、日本にある外資系のテック企業の中には、かなり早いうちから導入している会社もあります。このコラムでは欧州の例を紹介することが多いですが、今回は、読者の皆さんに、日本でも可能なのだ、というイメージを持っていただくために、日本でかなり先進的な在宅勤務を導入しているセールスフォース・ドットコム Employee Success(人事部) のVPである石井早苗様にお話をうかがいました。

-在宅勤務はどのような段階を経て導入されたのですか?

2012年までは営業をのぞいて朝9時から夕方6時という定時がありました。2013年から、どこでも働ける環境を整え始めました。一気に導入するのではなく、フェーズごとに徐々に導入しています。

フェーズ1では、出勤パターンを増やすことからはじめました。2013年の終わりにかけて、フレックスタイムとスーパーフレックスタイムをもうけました。部門によって働くパターンが異なるため、コアタイムも自由に設定したいという部署が多く、結果的に25パターンほどのコアタイムができました。

フェーズ2では、自宅で親御さんの介護をされている方や、子育て中の方から、自宅から仕事できる仕組みも欲しいという提案があったので、在宅勤務にも取り組み始めました。

2015年4月からは 会社の外からも仕事ができる(リモートワーク)の仕組みである「ワークフロムホーム」をはじめました。セールスフォース・ドットコムのクラウド型コラボレーションツール である Chatter(チャター)、 モバイルツール、メール、Google hangoutなど、使えるツールはすべて使用して環境を整えています。

総務省の「ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業」への参画もフェーズ2推進に役立ちました。 2015年10月には、和歌山県白浜町に、本社機能の一部を移転した「Salesforce Village」を設立しました。セールスフォース・ドットコムのクラウドサービスや様々なツールを活用して、東京本社で行っていたのと同様の仕事をするという取り組みです。実際に取り組んでみると、業務に支障はなく、東京にいた頃とほぼ同じ様に働けた上に、業務効率が11%も改善したという結果が出ました。

- 「ワークフロムホーム」はどんな風に活用されているのでしょうか?

使用パターンは様々で、週に1−2日の方もいれば、月に1−2回の方もいて、自宅で集中作業したい方、通勤時間をかけず1日のバランスを取りたい方、お子様の状態で自宅で仕事する、と様々です。

開始から2年たちましたが、 かなりうまく行っているので、将来的には会社外からの勤務を週に4−5日に増やしていくかどうかを検討しているところです。現時点で、74.1%の社員が「ワークフロムホーム」を使用した経験があります。利用者の満足度は高く好評です。特に「通勤のストレスからの解放」をあげた方が最も多く、利用者の 49.1%、ついで38.1%の方が「仕事に対する集中力があがった」と回答しています。

- 日本とアメリカ本社での利用の違いはありますか?

アメリカ本社の場合は週に2−3日程度使用する方が多いです。使用率は100%で、 一度は使ったことがある方がほとんどです。

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次回の記事では管理面に関して伺います。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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