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高速道路 入口 イメージ

⑤人間機械系の研究者として感じる自動運転の問題点

2017.05.19

Updated by Toshihiro Hiraoka on May 19, 2017, 11:56 am UTC

レベル3以上の自動運転はとうぶん実現しない。事故の責任についての法的・哲学的問題や、センサーの検出精度を高めるためにかかるコストなど、解決すべき問題が山積しているためだ。可能性があるとすれば、高速道路に自動走行車専用レーンを作る、過疎地域のパーソナルモビリティとして最高速度を30km/hに限定したものを認めるなどだろう。

自動運転にまつわる問題点のなかでも、人間機械系(HMS: Human-Machine Systems)の研究者として看過できないのが、
(1)自動運転車が、他の運転者・歩行者・自転車等とどうコミュニケーションを取るかという問題と、
(2)レベル3の自動運転における手動モード⇔自動モードの切替え
についてだ。

もしある自動運転車(レベル3)が、高速道路でしか自動走行できないとする。その車が出口(インターチェンジ)に近づいたとき、ドライバーが寝ていた場合はどうなるのだろう。ある自動車メーカーの技術者によれば、ドライバーをモニタリングし、このまま手動運転に切り替えたら危ないとシステムが判断した場合、出口手前で安全に路肩に自動停車することで対応するとしている。これでは、インターチェンジ手前で自動運転車がたくさん停車する事態が発生することにならないだろうか。

人間にとって、何もしないのに監視しなければならないタスクは苦行に過ぎない。そういった状況下では、人間はそのようなタスクをしなくなるものだ。

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平岡 敏洋(ひらおか・としひろ)

京都大学大学院 情報学研究科 システム科学専攻 助教。1970年福岡生まれ。1994年京都大学 工学部 精密工学科卒業。1996年京都大学大学院 工学研究科 精密工学専攻 修士課程修了。同年松下電器産業(株)入社。1998年京都大学大学院 情報学研究科 助手、2007年同研究科 助教となり現在に至る。博士(情報学)。人間機械系の研究、とくに自動車の運転支援システムに関する研究に従事している。車両運動力学、制御工学、インタフェース設計論、心理学、ゲームニクス理論などといった複数の分野を横断する学際融合的なアプローチで、運転者に対して、運転技能の向上を促すだけでなく、より良い運転に対する動機づけを行う運転支援システムの構築を目指している。2013年に計測自動制御学会論文賞(友田賞)、2014年に自動車技術会論文賞を受賞。計測自動制御学会、自動車技術会、日本人間工学会、国際交通安全学会、IEEEの会員。