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いまさら外資系と騒ぐのは滑稽

Funny to get excited about "Gaishikei"

2017.10.25

Updated by Mayumi Tanimoto on 10月 25, 2017, 06:45 am JST

日本人SEが外資系ITに大量流出、これでいいのか?

という記事がちょっと前に話題になっていました。

この記事が話題になっていることを知って私が驚いたのは、日本では今だに外資系、外資系と騒ぐ人達が大勢いるのか、ということです。

私はこれまで国内にある外資系企業を始め、日本企業にも勤務しましたし、 アメリカ、イギリス、イタリアでも 働いた経験があります。ベンチャーもあれば国連専門機関もあり、多国籍企業、コテコテの日本企業もあります。

ところが日本の外の先進国だけではなく開発途上国や北アフリカでさえも、今時国内の会社か、海外の会社かということを分けて、ああだ、こうだと語る人達というのは少数派です。むしろ珍しいと言っていいでしょう。特にIT業界ではそうです。

そもそも日本の外、 特にIT業界では仕事のやり方というのはどこも似ています。プロジェクト管理のやり方、ドキュメンテーション、オペレーションの流れ。だいたい同じです。ですから転職してもやることは大差ありません。

だから転職先を考える際に、いちいち「どこの国の企業か」ということは考えません。

まず考えるのは「報酬」そして「就労環境がどんなものである」「福利厚生」「キャリアの発展性があるかどうか」「トレーニングの予算はどのぐらいあるか」です。

それに、今日のIT業界においては、その会社が「どこの国の会社か」ということを明確に断定するのは難しくなっています。

例えばイギリスの会社であっても、幹部はインド人やロシア人、オランダ人ということもありますし、そもそも社長がフランス人ということだってあるんです。もちろんその組織のカラーというものがあるのですが、多国籍な職場が増えているので、どこの国組織かということをはっきり断定するのは難しくなっています。

アメリカの大手のIT 企業も同じで、例えば中に入ると人種や国籍によって、なんとなくグループが分かれていることもあるのですが、しかしその中身は多国籍なので、海外か国内かということをハッキリいうことは難しいんです。

そんな時代なのに日本では IT業界でさえも、今だに国内、海外ということにこだわっている。非常に滑稽で時代遅れではありませんか。

この記事で驚いた人は、外資系企業の報酬云々の前に、日本の読者達の反応を危惧したほうがいいです。

この次に驚いたのは、まるで外資系のIT企業がここ数年の間に発見された「珍しい希少動物」のように扱われていることです。

日本にはもう何十年も前から外資系のIT企業が存在しています。

その中には日本IBMのようにかなり日本化している会社もありますし、外国人管理者や技術者が多く中身は日本の組織とはかけ離れているところもあります。外資系企業と言ってもその実態は様々であります。しかし日本には、それらが何十年も前からなかったわけではありません。今だに珍しいもののようにいうのはちょっと勉強不足なのではないでしょうか。

それからひと言に外資系企業といっても、中国系の会社も韓国系の会社もありますし、フランス系やオランダ系もある。ものすごく多国籍化していていったいどこの国の会社かわからない会社もあるわけです。 外資系企業と大雑把にくくるのも、なんだか時代遅れな感じがしてならないのです。

読者の方には、ケンブリッジやショーディッチ、ベルリン、タリン、リスボン、チューリッヒ、あたりに来ていただいて、この業界がどれだけスタートレックの様な世界になっているのか見ていただきたいのです。日本の感覚が30年ぐらい遅れているのを実感するはずです。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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