画像はイメージです original image: © alexshyripa - Fotolia.com
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「NanoPackプロジェクト」は、イスラエル工科大学(テクニオン)が主導する国際的なプロジェクトで、食品の流通販売の変革を目指している。その名が示すように、ナノテクノロジーを応用して、微生物を侵入させないパッケージを作るのが目的。EU(欧州連合)が進める「Horizon 2020」のプロジェクトの一つで、欧州のみならず世界を変えるような革新的研究開発と認められている。
食品を保存するには、低温にするか気密性を高めるかだが、NanoPackプロジェクトではハロイサイト・ナノチューブ(HNT)の高分子化合物(ポリマー)の表面に天然の精油(エッセンシャルオイル)を含ませてバクテリア、黴、酵母などを防ぐ。HNTは生体への適合性や強度などが十分で安価に入手できることから有望視されており、オイルについても安全性が確認されているという。
食品を簡単に常温で長期保存できるようになれば、地球の人口が増加する中で年間13億トンもの食料が無駄になっている現状を改善することに大きく貢献することが期待されている。
単に素材の科学や製造技術を研究するだけでなく、経済性、安全性などの課題をクリアしなければ現実世界で広く使われるようにはならない。保存期間が延びても既存の真空パックや冷蔵、冷凍保存に比べてコストが格段に高いとか、使用方法が難しいとなれば実用化への道は遠いということになってしまう。
NanoPackプロジェクトはテクニオン主導で、イスラエルのほかドイツ、ベルギー、オーストリア、スペイン、アイルランド、フランス、ポルトガル、デンマーク、ノルウェー、オランダの18の研究機関などから構成されるコンソーシアム。2017年にEUから7700万ユーロの資金を得ている。
【参照情報】
・Nanotechnology project to develop antimicrobial packaging
・EU Awards 7.7 Million EUR to NanoPack Project to Introduce Nanotechnology-Based Antimicrobial Packaging to Enhance Food Safety and Reduce Waste
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