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未知のサイバー攻撃から重要インフラを守る技術--三菱重工とNTTグループが製品化

2018.04.26

Updated by Naohisa Iwamoto on April 26, 2018, 06:25 am JST

火力発電設備や化学プラントなどを含む重要な社会インフラをサイバー攻撃から守ることは、安全・安心な社会を作るために不可欠だ。一方、サイバー攻撃は高度化しながら最新の手法が生まれており、重要インフラが未知のサイバー攻撃にさらされることも起こりうる。三菱重工業(三菱重工)とNTTグループの3社は共同で、重要インフラなどの制御システム向けのサイバーセキュリティ技術「InteRSePT」を開発、製品化し、サイバー攻撃に対するリアルタイムの異常検知と対処を可能にする。

InteRSePTは、重要インフラなどの制御システムへのサイバー攻撃に対応するセキュリティ技術。具体的には、「リアルタイム検知・対処装置」と「セキィリティ統合管理装置」からなる。リアルタイム検知・対処装置は、対象となる機器のセンサーやアクチュエータとやり取りして、情報収集と異常時の機器の制御などを行う。セキュリティ統合管理装置は、重要インフラなどのセキュリティ制御装置と連携して、システム全体の挙動を監視する。

ネットワークに流れるセンサー情報などのデータを統合的に監視する「ふるまい検知処理」により、特定の運転状態用ルールでは検知できない「制御指令を悪用したサイバー攻撃」などの検知を可能にした。また、検知した異常情報などをもとに、対象となる機器ごとに適用するセキュリティルールをリアルタイムに変更できるようにすることで、異常の早期発見と同時に、可用性を維持した未知のサイバー攻撃への迅速な対応を可能にする。

三菱重工とNTTは、2016年3月にセキュリティ技術の研究開発を開始。三菱重工が防衛・宇宙分野で培った信頼性・安全性の高い制御技術と、NTT研究所が持つセキュリティ統合管理・制御技術を組み合わせて、2016年11月にInteRSePTの施策を完成させた。その後の評価、検証を経て今回の製品化・販売開始に至った。製品化に当たっては、汎用ハードウエアの採用やネットワークスイッチとの一体化により、低コスト・省スペース化を実現。また、セキュリティ統合管理装置の処理を並列化することにより、ふるまい検知処理の高速化を可能にした。発電プラント、新交通システム、化学プラントなどへの市場展開を目指す。

三菱重工は、InteRSePTの販売および、制御システムに応じたデータ分析・運転状態推定、異常検知手法、対処・復旧手法の開発および最適化設計を担当。NTTグループでは、NTTが前述のNTT研究所のセキュリティ統合管理・制御技術およびリアルタイム検知・対処技術を提供するほか、NTTデータがInteRSePTをベースとしたセキュリティ対策ソリューションの市場展開支援を実施、NTTコミュニケーションズがデータ集積や異常検知に関する技術開発、およびセキュリティ対策ソリューションの商用化を担う。

【報道発表資料】
制御システムの安心・安全な運用を実現するサイバーセキュリティ技術「InteRSePT」の販売を開始

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。