画像はイメージです original image: © vectorfusionart - Fotolia.com
速報「AR、VR&MR in the Robotic World」 日本・イスラエル ビジネスマッチングイベント
2018.06.06
Updated by Hitoshi Arai on June 6, 2018, 13:39 pm JST
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2018.06.06
Updated by Hitoshi Arai on June 6, 2018, 13:39 pm JST
2017年に締結された、日本・イスラエル間の経済交流促進を目的とした覚書に基づき、JIIN(日本・イスラエルイノベーションネットワーク)という仕組みが動き出している。その枠組を利用し、イスラエルからAR(拡張現実)/VR(仮想現実)/MR(複合現実)分野の先端企業7社を招いたビジネスマッチングイベントが、5月29日に東京都内の日本貿易振興機構(JETRO)で開催された。
イスラエル・イノベーション・オーソリティー APAC担当エグゼクティブ・ディレクター アヴィ・ルプトン氏らのスピーチに続いて、参加のスタートアップ企業から、それぞれの商品・技術のプレゼンテーションがあった。
参加者は200名ほどで、各企業のプレゼンテーションが終わった後、興味ある企業と事前予約した参加者との個別打ち合わせが開催された。
都市に存在するPOI(Point of Interests)を位置情報から特定し、拡張現実(AR)の技術を使って、POIの情報をディスプレイにマッピング表示するビジュアル検索エンジンを開発している。
現在、ロンドンで実証実験を行っている。バスに搭載されたカメラとインフォテイメント・システムのミドルウエアとして機能し、車窓から見える建物や店を認識して、それらに関する情報をバスの乗客に提供する。
同じバスに乗車する乗客でも、インタフェースデバイスを個別にすれば、60名の乗客それぞれに異なる情報や体験を提供することができる。
2013年創業、現在の社員は11名。
▼ロンドンでの実験の写真
最先端のCMOSイメージセンサーチップを開発する。従来のCMOSイメージセンサーはカメラで画像を撮影するのに使われるが、彼らはレーザーの反射光から3Dイメージを計測する。
軍事応用だけではなく、産業分野では自動車やドローンのLiDAR(レーザー画像検出と測距)、産業用ロボットなど様々な応用が考えられており、既存のCCDセンサーやカメラモジュールを置き換えつつある。
2016年創業であるが、すでに中国で大口顧客のための大量生産をしており、中国からの投資も受けている。役員のうち2名は中国人。7件の特許を保有する。
3)Inuitive
Inuitiveはファブレスで、画像処理のためのマルチコア・プロセッサの設計を行う。
彼らの設計するNU4000というプロセッサは8テラOPS(Object Per Second)という処理能力を持ち、3Dイメージング、コンピュータビジョン、ディープラーニングの機能を持つ。応用分野は、AR/VR、ドローン、ロボット、自動運転車など多岐に渡る。
現在の主な顧客は米国と台湾で、日本にもローカルマネージャがいる。2012年創業。
他のスタートアップ企業とは異なり、エルビットは1996年に創立され、既にイスラエルだけではなく世界中でビジネスを行っているハイテク防衛分野の大企業である。
Land and C4Iは、自動運転向けにリアルタイムで地形や障害物情報を理解し、自動車のタイヤと地面の相互作用など、各種パラメータを計算しながら、最適な経路選択、シミュレーションを実行する。高速道路であれば、車線のラインや前後の車両を認識することで自動運転が可能だが、自然のオープン環境ではそう簡単には行かない。
防衛で培った技術を、農業や土木建設など、オフロード環境での各種産業へ応用している。
▼オフロード環境での自動運転実験
同じエルビットから、
・自律型DMS(Decision Management System)
・自動車のフロントガラスに投影するHUD(Head Up Display)
・3DのPCBプリント
・アナログの超広帯域伝送技術
の4件が紹介された。
HUDでは既存の運転席回りに摂津するディスプレイに比べて大きな表示面積を得られることから、様々な応用が可能であることを紹介。また、ディジタルの時代に、敢えてアナログでの広帯域伝送に取り組んでいるのもユニークである。
▼HUDのデモ
微細な領域の手術を非常に高精度で可能にしたファイバースコープ、手術用レーザーツールを開発。腹腔鏡や内視鏡に組み込まれて、ピンポイントで患部だけを手術するため、体へのダメージを最小にすることができる。
様々な手術事例のビデオ映像がデモされた。2012年創業。
▼手術ツールの先端例
▼内蔵の一部を切除してゆく
7)Actiview
人事、採用向けにMR(Mixed Reality)技術を応用する、という独自分野を提案する企業。
既存の面接やテストによる人材採用では、担当者の直感やマクロな評価に頼るため、対象とする業務やポジションへの個々人の適性を正しく把握できないことがある。
彼らの開発したAssenseというソリューションは、候補者や従業員にCognitive試験と呼ばれる特定のシナリオを与えたときの行動・認知プロファイルを測定し、取得したデータをディープラーニングで解析することで、その適性を予測する。
この「様々なシナリオを与える試験」にMR技術を利用し、AIを活用することで、感覚的中心の人材分野に「科学」を導入した。
2016年創業。多くの心理学、神経科学、データサイエンスなどの専門家を擁している。
▼開会挨拶をするイスラエル・イノベーション・オーソリティ APAC担当エグゼクティブ・ディレクター アヴィ・ルプトン氏
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登録はこちらNTT武蔵野電気通信研究所にて液晶デバイス関連の研究開発業務に従事後、外資系メーカー、新規参入通信事業者のマネジメントを歴任し、2007年ネクシム・コミュニケーションズ株式会社代表取締役に就任。2014年にネクシムの株式譲渡後、海外(主にイスラエル)企業の日本市場進出を支援するコンサル業務を開始。MITスローンスクール卒業。日本イスラエル親善協会ビジネス交流委員。E-mail: hitoshi.arai@alum.mit.edu