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オンラインショッピングから学ぶ各国の社会構造の違い
Online shopping is popular due to different reasons
2018.07.28
Updated by Mayumi Tanimoto on July 28, 2018, 07:28 am JST
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Online shopping is popular due to different reasons
2018.07.28
Updated by Mayumi Tanimoto on July 28, 2018, 07:28 am JST
オンラインショッピングは、いまや全世界で当たり前になりつつありますが、流行る理由は各国、各地域ごとに異なるのが興味深く、市場や社会の仕組みの違いがよくわかります。
例えば、アフガニスタンでは爆弾とセクハラを避けるためにオンラインショッピングが人気です。外出が危険なのでネットでモノを買う人が急増しています。配達人はバスやバイクで品物を配達し、月収は月112ドル程度。特に女性の場合は店舗でセクハラを受けることもあるので外出を控えている人が多いのです。
私がオンラインショッピングにはまったのは1990年代に米国留学していた頃で、大学と大学院のあった街は大変な田舎で様々な店があるという状況ではなかったため、仕方なくネットでモノを買い始めました。
特に、学部時代に交換留学で滞在していた町の環境というのは大変きついもので、米国南部のバイブルベルトという所にありましたから、本屋で売っている本の大半はキリスト教関係のもので音楽のCDのほとんどはカントリー・ミュージックでした。
HR/HM(ハードロック/ヘビーメタル)好きの自分にはとても辛い環境で、同級生から耳にした「コロンビアCDクラブ」というものに加入し、通販でCDを取りよせ、当時はまだまだ怪しげなサービスであったAmazonから旅行ガイドブック「ロンリープラネット」のメキシコ編やロシア編を取りよせていたのです。
元々米国は、国土が広いため、通販が盛んな国です。
ネット通販が登場する以前でも様々な通販が普及しており、私も留学する前の90年代前半には、高校生だったので親のクレジットカードを使ってテキサスからウエスタンブーツを取りよせたり、バンドのデモテープを買ったりしていました。
米国でネット通販が日本に先んじて爆発的に普及したのは、こういった地理的な要因があるからでした。
欧州の場合は、米国ほど土地が広くはありません。大都市と言っても米国に比べるとこじんまりとした町が多く、日本と比べても規模の小さな町が多いです。多くの国の首都は、日本の感覚で言うと横浜や大阪くらいの感じです。また、町同士も日本のように隣り合っていることが多いですし、自動車で走る距離も米国に比べると短くなります。
移動距離が短いですから、大型車はあまり人気がなく小型車の方が一般的です。
このように、米国とは異なる地理的、社会経済的な条件がありますが、欧州においてもオンラインショッピングは大人気です。
その理由の一つは、税金や物価がかなり高いため、共働きではないと生活できない家庭が多く、そういった多忙な家庭では、雑貨や家具、食料品などをオンラインショッピングで調達することが多いということです。
欧州北部だと生鮮食品のオンラインショッピングは日本よりもはるかに便利です。
二つ目の理由は、店舗が営業する時間が日本より短いということです。人件費が高く、日本のようにサービス残業もしませんから、店舗が早く閉まってしまうことが多いのです。費用対効果が期待できなければ長い時間営業しないわけです。
またこれには、各国の小売市場の規制も関係があります。 国によっては、未だに営業時間が規制されています。
英国の場合は、欧州大陸よりも早くに小売市場を自由化しましたが、未だに日曜日のスーパーは大体夕方4時で閉まってしまいます。これは欧州の国々はキリスト教国であり、 宗教的慣習と労働者保護のために、かつては日曜日は店舗が閉まっていたという名残があるからです。
1970年代くらいまでは、日曜日は家族で教会に行くのが当たり前でした。
三つ目の理由は、店舗でのサービス品質がかなり低いということです。日本とは異なり、多くの店舗では「お客に売ってやる」という意識でサービスをするところが多いので、店員は商品知識が素人以下ですし、ごく一部の高級店を除くと商品の取り扱いも荒く、ショッピングの体験は日本に比べると決して楽しいものではありません。
これは、日本と欧州では働き方の考え方が異なるからです。
欧州では、賃金が安ければそれなりのサービスしかしない、という考え方が徹底しています。サービス業に従事する人々は日本と同じく低賃金で、 ひどい企業だと日雇い派遣のような状態で雇われている人もいます。日本よりは時給は高いものの、現地の水準で見ると社会の最底辺の仕事であることが多いです。
顧客側も、お互い様だという感覚なのでスーパーや家電量販店で素晴らしいサービスを期待する人は多くはありません。超高級デパートでも商品を日本のレベルで上手に包装してもらえることは稀です。
また、日本に比べると物質的に恵まれていない国が多いので、リアル店舗での商品の品揃えが悪く、品切れが多かったり食料品の場合は賞味期限が切れていることもあります。
欧州大陸の場合、例えばスペインやイタリアに行ってしまうと、かなり大都市でも日本の基準では相当な田舎ですから、店自体があまりありません。
こういった理由があるので、配送のサービスも日本よりはかなり質が低いのではありますが、リアル店舗よりはオンラインショッピングのほうがマシなので、ネットでモノを買う人が増えています。
値段もオンラインショッピングの方がはるかに安いことが多いですから、消費者はますます実店舗に行かなくなってしまいます。
ネットで買う人が増えたので店舗の儲けはさらに減り、品揃えやサービス品質がさらに低下するという悪循環に陥っています。
日本でも、ネットの方が安いのでネットで買うという人が増えてはいるわけですが、 欧州に比べるとまだまだ実店舗がたくさんありますし、サービスの質が高いので、店舗がどんどん消えていくという状況にはなっていません。
しかし、今後、消費税と社会保障費がどんどん上がっていき、実質賃金はどんどん下がっていくのであれば、日本でもオンラインでさらに安いモノを求める人が増え、実店舗が消滅していくでしょう。
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登録はこちらNTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。