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なぜエンジニアには書く力が重要か?

Why enginners need to train  writing

2018.08.26

Updated by Mayumi Tanimoto on August 26, 2018, 02:00 am UTC

以前の記事で、日本の組織においては禁止事項や内規、雇用契約書などにおけるルールが明確に書かれていないので、社会全体や企業内に外国人が増えた場合はトラブルが起こりやすくなる、ということを説明しました。

他人種、多文化である北米や欧州北部というのは、文化的背景が全く異なる人に対しても明確にメッセージを伝えることのできる表現や文章の作成が大変得意です。これは日本人が、例えば米国やカナダ、英国などの政府の政策文書や企業の利用規約などを読んでもよく分かると思います。

大変分かりやすい英語で禁止事項や合意条項が細かく書かれています。

またテック企業の方であれば、プロジェクトの内容や戦略などが大変分かりやすいことに気が付かれるのではないでしょうか。

日本の組織の文書というのは、様々な色を使ったりイラストをたくさん入れて細かく作ってはあるのですが、一体何が書いてあるのかよく分からないことが多いものです。

北米や欧州北部などの地域で、明瞭なメッセージを伝えることやそのための表現や文章表現が上手なのには、子供の頃からの積み上げがあります。

私が英国で幼児の躾を見ていても強く感じることで、英国の幼児教育では2歳の子供が何か悪いことをした場合に、大人が徹底的に悪い理由をじっくりと話して聞かせます。まだ言葉があまりわからないような小さな子供にもそうやって説明をするわけです。

単に怒るのではなく

・なぜその行動が社会的に受け入れられないか

・親や先生はどう思っているか

・あなたは何をするべきか

ということを強めの口調で伝えます。

子供は、小さな頃からそういった環境に置かれるので、小さな子供でも「なぜか」という事を質問するようになり自分の希望を言葉で伝えるようになります。

この「なぜか」を繰り返すことは、個人主義の社会では、そもそも自分と相手は異なる存在であるといった前提があります。思想も感じ方も全く異なる他人と自分は、分かり合えない存在です。

分かり合うことはありませんが、同じ社会の中で対話をし、様々な情報交換をして生活していくには、お互い違う意見を持っているとして、自分の意思をはっきり伝えることがとても重要ですから、「なぜか」を考えたり、他人に説明できるスキルを小さい頃から身につけることは理にかなっているのでしょう。

文化背景が異なる他者と摩擦を起こさずに自分の意見を伝えていく手法は生存のための知恵であります。

この考え方は、躾だけではなく教育でも同じです。

教育熱心な幼稚園や保育所では、3歳や4歳から、子供が自分の意思を言語化して説明をすることを重要視しています。 小学校に入ればプレゼンテーションを行うこともありますし、文章を書く場合は「自分の感じたこと」を書くのではなく物事を客観的に説明する訓練を徹底的に行います。

例えば

・エジプトが発展したのはなぜか

・なぜトマトは赤いのか

・なぜ冷蔵庫は四角いのか

などなどです。

幼少期からこういった訓練を受けているので、大人になると北米や欧州北部のある程度教育を受けている人であれば、様々な背景を持った人でも理解ができる文章を明瞭に書くことができるようになります。大学や大学院に入ると大量のレポートや論文執筆を通して、この能力をさらにブラッシュアップします。

北米や欧州北部の経営幹部やマネージャーがプレゼンテーションをこなし、現場の従業員にもよくわかる文章をささっと書けるのはこういった下積みがあるからです。

例えば

「エジプトが発展したのはなぜか」

という説明の練習を何回も繰り返していれば

「なぜこのシステムを開発するか。そしてそのベネフィットはなにか?」

というプロジェクトの説明資料を書くことは容易になります。トピックは違いますが、論理の流れは同じだからです。

テック業界にいる方で、外資系企業や海外の企業で働いてみたいと思っている方もかなりいると思われますが、そういった環境でサバイブして行くには、技術的な知識だけではなくメッセージを明確に伝えるスキルというのも大変重要です。

転職や移住を目指す方は、こういったスキルが身につくように普段から意識してみることをお勧めいたします。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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