イスラエル「サイバー・セキュリティ業界」の鳥瞰図 2018年9月版
2018.10.12
Updated by Hitoshi Arai on October 12, 2018, 17:25 pm JST
2018.10.12
Updated by Hitoshi Arai on October 12, 2018, 17:25 pm JST
7月9日に公開した同じタイトルの記事(「イスラエル「サイバー・セキュリティ業界」の鳥瞰図」)では、2018年6月時点のイスラエルにおけるサイバーセキュリティ企業のLandscapeを紹介した。あまり大きな変更はないものの、定点観測の意味も込めて、9月時点で6月との差分で目についた点を紹介したい。
▼図1 Israel Cybersecurity Landscape Slide September 2018 出典 Cyber Startup Observatory
※高精細なオリジナルは「こちら」からダウンロードできます。
カテゴリレベルでは、前回からの変更はない。内容に変更のないカテゴリは、CyberIntelligence、Email Security、UEBA、DECEPTION、CyberPosture、INSIDER Threats、BLOCKCHAIN、UAVs、ICS/SCADAである。
これらの分野については、この3ヶ月の間には注目すべき動きはなかった、といえるだろう。それ以外の分野では、いくつかの企業が抜け、新たな企業が追加された。抜けた理由・選定基準などを議論できるだけの材料は示されていないが、新たに追加された企業は注目すべき対象である、ということだと考えられる。
これらの変化の中での注目点としては、まず、
・EndPoint Securityのカテゴリから4社が抜けたものの新規追加はない
ということが挙げられる。3ヶ月の変化だけで判断するのは早計ではあるが、この分野は競争が厳しく、新たな切り口で参入してくる企業は少ないと考えて良いかもしれない。同様の動きは、Mobile Security、SOC、Incident Responseの各カテゴリでも見られる。
新たに追加された注目すべきであろう企業を紹介する。
・ForceNock
自律的にウェブアプリケーションのセキュリティを守る。
Network Security、Cloud Securty、WEB Security のカテゴリに追加された。
・nanolock
IoTに接続されたエッジデバイスのセキュリティを守る。
プロビジョニングの管理もし、MoT(Management of Things)という概念を提唱。
IoT - IIoT、Automotiveのカテゴリに追加された。
・Karanmba Security
既に、自動車向けのセキュリティソリューションとして、
日本のアズジェントが扱っている。IoT - IIoTのカテゴリに追加された。
・D-ID
顔認識アルゴリズムを提供。Compliance & Data Leakage Prevention、
Identity & Fraud、Data Privacy のカテゴリに追加された。
・NeuralLegion
AIベースのアプリケーション・セキュリティ・ソリューション。
Application Security、CyberPostureの中のBREACH&ATTACK Simulation
のカテゴリに追加された。
その他では、DCOYA、CiBEREADY、Cynet、SEGASEC、IRONSCALESといった企業がDetection & Priventionのカテゴリに追加された。
さらに、ENIGMATOSがAutomotiveに、CyberRedがHealthcareに追加されている。
これらの中で注目すべきは、nanolockとNeuralLegionではないだろうか。前回は、Emerging Startupというカテゴリはあったものの企業名は記述されていなかった。ここにこの2社が記載された。これは、最近出てきた注目株、ということを示しているのではないだろうか。
nanolockは、Eran FineとShlomo Orenにより、2016年6月に設立された。2017年10月に450万米ドルを集め、現在はReound Aである。ターゲットとする市場はコネクテッドカー、スマートメーター、監視カメラ、重要インフラなどと幅広い。
NeuralLegionは、Bar Hofesh、Art Linkov、Trlinu Magi、Ori Sの4名により、2017年10月に設立された。資本は公開されていない。ウエブ上のあらゆるサービス、Fintech、ブロックチェーンなどをターゲットとしている。
本稿は、鳥瞰図のアップデート内容の紹介とし、個々の注目企業やソリューションについては、別の記事として紹介したい。
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登録はこちらNTT武蔵野電気通信研究所にて液晶デバイス関連の研究開発業務に従事後、外資系メーカー、新規参入通信事業者のマネジメントを歴任し、2007年ネクシム・コミュニケーションズ株式会社代表取締役に就任。2014年にネクシムの株式譲渡後、海外(主にイスラエル)企業の日本市場進出を支援するコンサル業務を開始。MITスローンスクール卒業。日本イスラエル親善協会ビジネス交流委員。E-mail: hitoshi.arai@alum.mit.edu