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新宿 駅 混雑 イメージ

中央線遅延から考えた日本のITの生産性が最悪な理由

Think about Japanese Tech industry's productivity from train delay

2019.02.25

Updated by Mayumi Tanimoto on February 25, 2019, 11:28 am UTC

2月25日の月曜日の朝から、停電のために中央線と総武線が朝の通勤時間帯に止まってしまい、散々な目にあった方が多いのではないでしょうか。

Twitterをのぞくと三鷹やその他の駅で、改札口やプラットフォームに入れない人の写真がたくさんツイートされていました。

なんとか会社に行こうとする人が大勢いたようなのですが、これが仮に私が住んでいたイタリアやイギリスの場合だと、ずいぶん違った光景になります。

主要路線でこのような不可抗力の事故があると、さっさと通勤をあきらめて会社や学校に電話やメールを一本入れて家に帰ってしまう人の方が多いです。

そのような人々の表情は大変晴れやかであります。その足で駅の外にあるバールやパブに繰り出す人も大勢います。

イタリアやイギリスの電車というのは何分古く、車両も線路もメンテナンスにはあまりお金をかけていませんから、こういう事故が普段から多いです。

そもそもロンドン郊外から中心部に行く通勤電車の定時運航の割合というのは80%以下、といった状況です。 遅延があまりにも多いので料金の払い戻し方法がよくできています。そもそも電車がちゃんと走らないということが前提になっているので、クレーム処理の仕組みが発達しています。

イタリアの場合は、イギリスよりもさらに野性味溢れる対応で、電車が止まってしまうとその場で車両を降ろされて数キロ 歩けといわれることが結構あります。ですからヒールでは通勤できません。

私も最初は、こんなことがしょっちゅう起こるので頭に来ていたのですが、半年もすると慣れてしまい、まあこんなものだと思うようになってしまいました。

むしろ不可抗力のために堂々と休みが取れるわけですから大変喜ばしいことです。

鉄道会社や航空会社、バス会社もよく承知していて、お客さんが休みを取りたい時期の昼間に大々的な工事を入れて主要路線を2週間不通にしてしまったり、夏休みや連休前後にやたらとストを入れたりします。紳士協定的に「お互い様」のお約束があるわけです。

では会社側はこんなことがあった場合に会社に来れない人を怒るのかというと実は正反対で、どうぞ通勤をしないでくださいといいます。

こんな状況では他社の路線も大混雑ですし、混雑した電車で通勤した場合、イライラしている人も多いですから喧嘩に巻き込まれたり事故にあう可能性も高くなります。

苦労して会社に来てもらっても到着する頃にはヘトヘトになっていますから、その日はおそらく大した仕事にはなりません。

1日程度の遅れは他の日になんとかすれば追いつきますから重要なことではありません。

会社にはたくさんの人がいますから、その人がいなくて困るという仕事は実はあまり多くはありません。

打ち合わせだって他の日にやれば困りません。

さらに訴訟社会のイギリスの場合は、こういった不可抗力の状況で従業員を通勤させたために事故や病気になってしまうと、会社側は「従業員の安全を確保する」という「安全管理義務違反になりますので、責任が追求され、下手したら訴訟を起こされて莫大な賠償を払うことになります。ですから会社に来いと無理を言うことはできません。

労働審判や労働訴訟がきちんと機能している国だと、電車遅延で我先にと通勤しようとする人の姿も消えるわけです。

会社に行こうとする人が大勢いる光景は、日本の職場の非合理的な思考をよく表していますね。なぜイギリスやイタリアの企業が来なくていいというのか、特にプロジェクト・マネージャや工数管理を担当する方、品質管理担当の方はよく考えてみてください。

通勤しようとしたIT業界の方も大勢いたと思いますが、絶対に出勤してこいなどといった職場はさっさと退職すべきです。

人生は短いので合理的な思考を持った職場で気持ちよく働きたいものです。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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