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富士通45歳リストラが象徴する日本のIT没落の理由

Fujitsu's lay-off reflects decline of Japanese tech

2019.03.29

Updated by Mayumi Tanimoto on March 29, 2019, 10:49 am UTC

富士通が45歳以上の社員をリストラ対象にする件が注目を集めていますが、大企業でもアラフォー以上でも残れるのは、ごく一部だけという厳しいご時世を象徴するような事件です。

富士通といえばIT業界の御三家、N・F・HのFであり、大型入札案件に登場するのが当たり前。

私が学生だった頃はパソコンといえば富士通は御三家の一つであり、同級生の中にもFM TOWNSを誇らしげに持っていた子がいるのを思い出します。CD-ROMドライブ標準搭載のあの独特の外観、美しい音源、学校に行く前に流れる宮沢りえさんのCMに心が踊ったものです。

(すみませんちょっと懐かしくて感傷的になってしまいました)

日本が一番豊かだった頃を象徴するようなFM TOWNS。Fに入社したといえば近所は「すごいわね~」でもちきり。

そんな企業だった富士通がなぜこんな事になったのか。

ところで私が今回違和感を感じたのは45歳で一律に社員の足切りをしていることでした。

私も年齢的に近いので、45歳といえば中年とは自覚しておりますが、まだまだ体力もありますし、学習能力も若い人に劣っているとは言えません。

現にイギリスや欧州大陸だと、投資銀行やテレコム、巨大IT企業の開発や運用には60歳を越えた方や50代が少なくありません。35歳はまだ若い、という感覚です。

ビジネスアナリシスやレガシーシステム開発運用、巨大プロジェクトの管理、戦略策定などは、数々の職場を渡り歩いてきた経験豊富な方の方が歓迎されます。スパゲティ状になったシステムの「解読」は若手には不可能です。

GoogleやUberのようないわゆるネット系企業ではなく、金融や製造業、インフラ系の方が多いわけですから、枯れたシステムを扱えるベテランの需要が高いわけですが。

なにせ知識の蓄積がすごいので、若手が悩んでいることも「これはこうじゃないか?」とさっと解決してくださいます。経験があるので新しい言語や知識の習得も実は速いです。

一方でいくら若いとはいっても、専門知識がなかったり、適正がなければ、開発も運用もできませんし、顧客対応も全然できないこともある。若いから仕事ができるとは限りませんので、年齢での足切りは意味がありません。なにせITは知識産業で、丸太を運ぶ仕事ではないので、腕力は関係ないわけですから。

それに欧州や北米だと、仕事は年齢ではなく実績や専門別でのアサインなので、何歳だから一律でこうだ、とはなりません。個人個人の適性や実績での評価となるのは、実に合理的で当たり前ではありますね。俺はこういうことができるからいくら払ってくれ。実にシンプル。マグロの握り2貫でいくら、窓をいくつ付けたからいくら、大根3本でいくら。同じことです。

しかし日本企業は富士通の様に年齢で一律にリストラを決めたりするなど、この個人個人の適性や専門性の定義と評価が全くできていない。

年功序列の人事体型だから仕方がないだろうとおっしゃるかもしれませんが、それがまさに日本のITが没落している原因です。

人的資源と正しく評価して適切に投入する、という経営の基本がなってないわけですから、無理に決まっているのです。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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