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サイコパスとテック企業の関係

Psychopath and tech businesses

2019.10.25

Updated by Mayumi Tanimoto on October 25, 2019, 17:35 pm UTC

最近イギリスでちょっと話題になっていたのが、著名心臓心臓外科医による告白です。

この医師は業界では有名な優秀な医師で、数々の難しい手術をこなして来たのですが、自らを「自分はサイコパス的な性格だが、それがキャリアを成功に導いた」と述べているのです。

彼は、ラグビーの試合中に受けた頭蓋骨陥没の後遺症で性格が変わってしまいます。

イギリスではラグビーは、元々中流以上(日本の今の感覚だと家計年収2000万円を超えるような家庭)の子供が通う私立男子校で取り組むスポーツで、昔は今よりもルールが荒く、かなり危険なプレーも珍しくありませんでした。

最近亡くなった私の義父も、寄宿舎のある私学に通っていましたが、ラグビーの怪我の後遺症で左手が若干不自由でした。

この医師は、かつては控えめで情緒的だったのが、大胆で冷酷、リスクを恐れない性格に激変したために、リスクの高い手術や失敗、患者の死を恐れないようになり、数々の挑戦的な手術をこなせたと語っています。

つまり共感性のなさ、空気を読まない、挑戦するといったサイコパス的な性格が良い効果を産んだというのです。心臓手術は、特に幼児が患者だと死亡することも少なくないので、いちいち死を悲しんでいたら危険な手術には挑めないというのです。

他の医師も、サイコパス的な性格は医師に必須だと同意。共感性が強くリスクを取らない性格は新規性のあることを大胆にこなす職業には向かないようです。

この医師のような特質は、実は多くのテック系起業家にも見られます。

良い意味で「空気」を読まず、既存の仕組みを破壊し、常に挑戦する。失敗しても悔やまず次に進む。ときには従業員のリストラや企業の統廃合もやらなければならないでしょう。

共感性や情緒性が高すぎると、起業家として前に進めないので大成しにくいかもしれません。

起業が盛んな国、盛んではない国というのはかなりはっきりしているわけですが、高くない国は、共感性や情緒性が高すぎるというのもあるかもしれません。

例えば日本は、起業が盛んだとはいえませんし、秩序の破壊を嫌いますが、その一方で、共感性や情緒性が高く、芸術作品や繊細な食は優れていますし、相手の感情を読んだコミュニケーションや集団行動が得意です。起業家もサイコパス的というよりは、企業を疑似家族としてみて、家長的な振る舞いをする人が多いですね。

共感性や情緒性の高さ、空気を読む力の高さは良い点も多いのですが、大胆な発想や既存秩序の破壊が必要なテック系ビジネスには向かないのかもしれません。英米や中国が日本に先んじているのは、こういう特性の違いもあるのかもしれません。

 

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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