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電動スクーター シェアリング イメージ

シェアリングスクーターは流行るのか?

Would e-scooter to be popular?

2019.12.04

Updated by Mayumi Tanimoto on December 4, 2019, 19:32 pm UTC

今年は、シェアリングエコノミー系のビジネスの後ろ向きな話題が目立っていますが、最近気になったのが「Lyft」のシェアリングスクーター事業の縮小です。

一時期は、自転車の次はスクーターが来るんじゃないかという雰囲気でしたが、どうも事業化という観点からはいまいちだったらしく、撤退も思った以上の早さです。

それでも欧州大陸の国は道も街も狭いため、今年に入ってからは電動スクーターのシェアを提供するスタートアップがベンチャーキャピタルから資金調達するなど盛り上がって来てはいるのですが、実装となるとちょっと前に流行ったシェア自転車以上に問題が多いようです。

まず一つ目は、シェアとなると自家用に比べると使い勝手が悪く、それまでして共有したくないという人も少なくないことです。

問題の2点目は、ユーザーの使い方があまりにも荒くメンテが追い付かない点です。自転車と違って電動スクーターは、モーターを積んでいたりGPSも搭載しているために、どうしても壊れやすいのです。スクーター自体が高価ですし、直す手間暇もかかりますので、メンテナンス費用が高額になりがちです。しかし、高い利用料は請求しにくいので事業としてはなかなか難しいと言えます。

借りているものをそんなに荒く扱うのか、と驚かれる人が多いかもしれませんが、これが欧州の実態です。盗まれないだけマシだと思わなければなりません。

例えば中国の「Mobike」は、以前にイギリスのマンチェスターでサービスを開始してからたった4カ月で撤退していますが、その理由がユーザーの使い方があまりにも荒く自転車のメンテナンスコストがかさみ、料金を上げても収益の目処が立たなかったことです。

問題の3点目は安全性です。

欧州は、日本のように自転車が歩道を走ることは厳禁です。自転車道が整備されていない街も多いです。意外ですが、道路がぼろぼろだったり狭い所も多いです。

ところが、電動スクーターは今のところ規制がない国が多いので、歩道を走りまくったり、自転車道や車道を走ってしまうなど、メチャクチャな状況です。

実際に死亡事故も起きており、イギリスではロンドンの真ん中で車用のロータリーに入ってしまった人がトラックに轢かれて亡くなりました。フランスでは歩行者との衝突事故も起きています。

さらに、道路も石畳だったりガタガタだったりするので、転んだりする人も少なくありません。現在は、保険や障害補償などをかけることが規制で決まっていない国が多いので、安全性が保証されません。

規制が実装されたら、当然、車両価格や保険代にコストが跳ね返ってきますので、利用料金が上がるでしょう。その場合に、シェア自転車の様な気軽な感覚のサービスとして提供していけるのかどうか? こういうコストの問題は他のシェアリングサービスも同様でしょう。

サービス提供事業者が車両や製品を所有する場合は、コストがネックになり収益化は難しくなります。

ユーザーの所有する製品や不動産を使う場合は、事業者側は負担が低くなるのでサービス提供自体は容易になりますが、品質保証や安全性確保のコストが掛かります。

そうなると、シェアリングサービスより単なる従来型のレンタルビジネスの方が安くできる可能性がありますから、従来の商売との差異はアプリがあるかどうかということにしかならないかもしれません。

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。