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シェアリングエコノミーはシリコンバレー的

Sharing economy is very Silicon Valley like

2019.12.14

Updated by Mayumi Tanimoto on December 14, 2019, 12:39 pm JST

前回の記事では、イギリスの北部でシェアリング自転車のサービスがうまくいなかかった件をご紹介しました。

こういうビジネスというのは、ユーザーの性善説に基づいてコンセプトが設定されています。

図書館や公衆浴場といった公共の空間を利用するようなモラルが共有されている、ということが前提になります。

また、シェアリングサービスというのは、自転車や部屋といったものをユーザーに対する信頼を前提として提供しますから、破壊しようとか盗もうという人がいた場合は、サービスが成り立たなくなってしまいます。

金持ち喧嘩せずとはいいますが、シリコンバレーのように地域全体が豊かでユーザーも教育レベルがある程度高いのであれば、そういった価値観を共有していることが当たり前になります。

シリコンバレーは、一見、多様性があるようですが、実は多様性とは程遠いところです。国籍や人種が違っても、シリコンバレーのテック業界で働く人々というのは、国民の平均よりもはるかに高い教育を受けていて、高度なスキルを持っている人々です。

異なる地域で教育を受けたり幼少期を過ごしていても、実は共有する価値観や哲学、考え方、教育のレベル、好むライフスタイルといったものが似通った人たちが集まっています。例えばアフリカの出身であっても、話す話題は共通していて、清潔さ、価値観、教育レベルといったものが似通っているのです。

そういう同質性が高くて頭の良い人達が作り出すサービスですから、ユーザーは自分達に似ているはずだと思い込んでしまうのです。

要するに世界が狭いのです。

こういうモラルの共有というのは、社会の同質性が高く、全体が経済的に豊かで、教育レベルも比較的高い日本のようなところであれば、比較的容易に実現できます。

しかし、イギリスのようなところでは成り立ちません。 

格差が大きく、他人は信用できないということが前提になりますから、サービスや商品というのはアビュース(不正利用)されて当たり前である、ということを前提として仕組みを設計しなければなりません。

これは、イギリスに行って公共サービスや大きな組織で、内部統制やガバナンスを担当したりリスク管理を行えば、大変よく分かることです。

仕組みやサービスを破壊する人が実際に大変多く、道を歩けばバス停は破壊され、ベンチはめちゃめちゃに落書きされ、道にはゴミが大量に投げ捨てられています。トイレの便座は破壊され、エレベーター前に脱糞してあることがあります。

会社の机に湯呑を置いておくと、すぐに盗まれます。電車やバスでは、大声を出す人やぶつかってくる人も大勢います。 列に並ぶ人もいません。 

会社には、履歴書を偽装するような人が普通に応募してくるので、採用候補者の履歴書は外部の調査機関に調査を依頼します。

「名探偵ポアロ」のような世界というのは、現在のイギリスには存在しないのです。

そんなところで、豊かな人々だらけの地域の思想で設計されたサービスを持ち込んでも、うまくいくはずがありません。 

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。