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オンライン教育とコロナ

Online learning and Corona

2020.04.25

Updated by Mayumi Tanimoto on April 25, 2020, 07:00 am JST

前回は、イギリスで大人気のボディコーチであるJoe Wicksの動画が、国民的な体育の番組になりつつあり、多くの学校で視聴が必須になっている点を指摘しました。

しかし衝撃的なのは、こういったコンテンツを学校のような公的な機関が教育コンテンツとして盛り込むことを既に当たり前にしていることです。

これまでは、学校側でさまざまな議論をした上で、閉じたプラットフォームなどの動画を使うことはありましたが、インスタグラムの有名人が出演していて、一般公開されているものを使用することを公式に認めてしまう。これは、これまでだったらありえなかったことでしょう。

なにせ学校というのは、権威主義のお手本のような所ですから。

つまり、学校が公的に「ネット動画のようないかがわしいものを、オフィシャルな教育として認めた」ということです。

次に興味深いのは、ネット動画により多くの生徒が体験を共有するという現象です。

これまで、イギリスを始めとする先進国では、教育の階級化というものが進んでいて、経済格差によって体験や教育というものが大きく異なっていたのですが、コロナによって多くの人が同じ動画を見て同じ教育を受けています。

学校側が独自のコンテンツを提供できないからです。つまり、デジタルな形で公教育が復活してきているといえるのかもしれません。ある意味、デジタル共産主義です。

その体験を牽引するのが、インスタの有名人やYoutuberであるというのが、実にネット社会的です。

さらに、学校教育というもの自体がオープンプラットフォームになっていく可能性もありますね。

コロナ騒ぎによって、オンライン教育をやらざる得ない学校が大半になってしまったわけですが、学校独自でコンテンツを作る時間も資金もないので、こういった一般に入手できる動画やコースを使います。

これまでは閉鎖空間だった学校というものが、ある意味でオープンソースのような形になって、誰でもアクセスできるようになるわけです。

アメリカやイギリスの大学がオンラインコースの無償提供を始めていますが、これだけ大規模に需要が高まり、大学だけではなく小中高もそれを当たり前のものとして受け入れるというのは、社会的な大変革です。これは思った以上の衝撃かもしれません。

なぜかというと、英米を始めとする先進国は、教育格差が就労機会や経済格差に直結していたので、高いお金を出して教育を買える層が経済的な優位性を独占してきたのです。しかし、アクセスできるのが同じものになてしまうと、その優位性はなくなります。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。