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日本のDXが上手くいかない組織的な理由

The main issue of Japanese DX is organisational structures

2021.03.15

Updated by Mayumi Tanimoto on March 15, 2021, 15:54 pm JST

日本では、DXがなかなか進んでおりませんが、その理由の一つに日本の企業や官公庁の組織の仕組みがあります。

1番の問題が、ITの責任者の立ち位置です。

アメリカやイギリスの場合、通常CIOとかITの部門長は元々IT畑の専門家で、他社からヘッドハントされてきたり、IT部門の上級管理職が昇進します。彼らは四半期から1年程度の間に実績を出して昇給を狙ったり、さらに上のポジションに行く、もしくは実績を掲げて転職をするという目的があります。

ですから、大きなリスクを取ったとしても、実績を出すことが非常に重要になります。キャリアアップにつながる動機があるので、業務のプロセスを洗い出してデジタル化したり、組織の仕事のやり方自体をデジタル化して合理化する提案をする理由があります。

実績を出してなんぼですから、前例に従っていたら何の結果も出せません。日本人から見ると、かなり無理のある計画を勢いで押し切ってしまうことも少なくありません。特にヘッドハントされてきた人の場合は、前例をひっくり返し、部分ごとに人を解雇して入れ替えたり、業務のプロセスを完全に変えてしまうことも多いのです。

ところが日本の場合、CIOを始めITの責任者は他の部門から持ち回りで異動して来る人が多く、場合によっては左遷です。IT部門がいまだに傍流だからです。

結果として、業務部門や他の幹部、社長などに盾突かないように、失敗しないようにすることが最大の目的になります。波風を立てた場合は定年までいられなくなりますので、長いものに巻かれ、前例に沿うことが多くなります。

DX自体は、業務の流れを変えてしまったり、合理化したりするものなので、波風が立ちまくりです。ですから、あえてDXを進めない方が自分のキャリアは安泰なのです。

つまり、DXを成功させたければ、組織体制どころかキャリアアップの仕組みから見直さなければなりません。そうしないと、絶対に上手くいかないわけです。

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。