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小平波平

【加藤兼司氏による イノベーターを知る私塾】渋沢以外の本当のイノベーターたち 第1回・小平浪平(日立製作所)

2021.04.06

Updated by Kenji Kato on April 6, 2021, 17:50 pm JST

渋沢以外の本当のイノベーターたちを探訪する私塾(全6回シリーズ)がスタートします。

イノベーションとはなにかを改めて考えることのできるオンライン私塾がスタートします。講師は株式会社日立製作所グローバル渉外統括本部 産業政策本部 担当部長の加藤兼司氏。私塾は6カ月間連続で開催され、塾生は月1回のウェビナーとオンライン交流会に参加が可能です(第1回はウェビナーのみ)。テーマは「渋沢以外の本当のイノベーターたち」。日本らしいイノベーションが数多く生まれた幕末から明治期に活躍した真のイノベーターたちの方法論を深堀りしていきます。

渋沢栄一だけではないイノベーションの達人

現代は第四次産業革命の時代と言われ、データ駆動型の新たな資本主義がその姿を現し始めています。新たな資本主義の担い手は、米国のGAFAや中国のBATなどに代表されるように、膨大なデータを手にしたプラットフォーマーと呼ばれる新興企業群です。残念ながら日本はデータ資本主義への構造転換(トランスフォーム)について周回遅れとの指摘がなされていて、この遅れを取り戻すイノベーションを起こし、ブレイクスルーを果たすヒントは、戦後~高度成長期の起業家の中には存在しない、というのが今回の講義の大前提です。

今年のNHK大河ドラマは、江戸期に生まれ、明治・大正・昭和とイノベーターとして活躍し、日本の資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一を主人公ですが、彼が生まれた江戸期の日本には馬車すら存在せず、郵便という制度もなかったのです。明治になって第一次産業革命と第二次産業革命が一挙に日本に押し寄せました。明治期の日本は周回遅れどころか、欧米に100年遅れていたのです。しかし、日本は第一次・第二次産業革命の社会変革を見事に乗り切り、電力、鉄道などの社会インフラを整え、新しい産業資本主義に相応しい社会の制度設計を実施し、欧米諸国に追い付き、いわゆるリープフロッグを成し遂げました。

ここには渋沢以外の多くのイノベーターの活躍がありました。江戸期には商業資本主義が発展し、例えば大阪の堂島米市場は世界に先駆け先物取引が行われたと言われ、豪商と呼ばれる商業資本家を数多く生み出しました。しかし、江戸期の商業資本家のうち、明治期以降に、産業資本家としてトランスフォームに成功した豪商は三井家などごくわずかです。ある研究によれば、明治期以降に生き残った豪商は10%に満たないとも言われています。リープフロッグに成功したイノベーターたちは既存の商人ではなく、多くがまったく新しいアントレプレナーだったのです。

現代は産業資本主義が行き詰まりをみせ、データ資本主義へと市場が構造転換しようとしています。データ資本主義への転換に周回遅れとされる日本で、どのようなリープフロッグが可能なのかは、第二次世界大戦後の起業家よりは、明治・大正・昭和初期のイノベーターの挫折や苦闘の方が参考になるはずです。

第一回:小平浪平(日立製作所)の「社会関係資本力(ソーシャルキャピタル)」によるイノベーションとは(2021年4月22日開催)

初回の第一回目は(筆者が同社の社員だから、でもありますが)日立製作所創業者の小平浪平(おだいら・なみへい)に焦点を当て、以下のアジェンダでセミナーを進行します。

1.イノベーターは普通の青年だった(その生い立ち)
2.産業報国の志が芽生えたきっかけはどこにあったか
3.実は小さな社内ベンチャーとしてスタートした日立製作所
4.小平を支えたイノベーター、久原房之助と鮎川義介
5.ソーシャルキャピタルによるイノベーション(才能よりも社会関係資本力)
(*アジェンダは予告なく変更することがあります)

開催スケジュール:4月22日(木曜)19:00開始

日 程:2021年 4月22日(木曜)19:00〜(2時間程度を予定)
会 場:Zoomを利用したオンラインイベントです。渋谷キューズ(SHIBUYA QWS)からの中継になります。
参加料:¥1000(税込):第1回は全体(6回開催)のオリエンテーションを兼ねていますので特別価格になっています(オンライン交流会は2回目の講義終了後からスタートします)。なおチケットの購入期限は当日4月22日の午前中までとさせていただきます。
申込み:Peatixよりお申し込みください。(申込みはこちら)事前招待メールをお送りします。
主 催:WirelessWireNews編集部(スタイル株式会社)+日立アカデミー渋谷キューズ(SHIBUYA QWS)

〈講師プロフィール〉
加藤兼司
株式会社日立製作所 グローバル渉外統括本部 産業政策本部 担当部長。1990年日立製作所入社、情報事業部門にてSOHO向け事業、ネットビジネスなど新規事業立ち上げに従事。20代は仕事のかたわら、大前研一氏が主宰した平成維新の会事務局でボランティアスタッフとして活動。「大前研一の政策学校一新塾」設立に参画、企画委員を務める。1994年総務庁主催「国際青年育成交流」(現、内閣府主催 青年国際交流事業)団員に選抜され、英国に派遣されるなど社会活動に参画。2001年より国際事業戦略部門にて、中東・アフリカ、ロシアなどの新興市場開拓、欧州、北米等の事業開発、戦略策定に従事。2014年~16年海外M&Aなど投資案件に関する経営会議の諮問機関である投資委員会の事務局長役を務める。2014年~19年ダボス会議を主催するWorld Economic Forumとの渉外を担う。現在、技術論文誌「日立評論」にて連載コラム「Global Foresights」を執筆中

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加藤 兼司(かとう・けんじ)

株式会社日立製作所 グローバル渉外統括本部 産業政策本部 担当部長。1990年日立製作所入社。仕事のかたわら「大前研一の政策学校一新塾」設立に参画。2001年より国際事業戦略部門にて新興市場開拓、欧米等の事業開発、戦略策定に従事。2014年〜16年投資委員会の事務局長役を務める。2014年〜19年ダボス会議を主催するWorld Economic Forumとの渉外を担う。現在、技術論文誌「日立評論」にて連載コラム「Global Foresights」を執筆中