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SIM利用時の費用負担軽減、IoTデバイスとのセキュアなリンク提供などソラコムが新サービス

2021.06.28

Updated by Naohisa Iwamoto on June 28, 2021, 06:25 am JST

ソラコムがプライベートイベント「SORACOM Discovery 2021」に合わせて、IoT関連のサービスや新製品を発表した。利用開始までの費用負担を抑えたIoT向けのSIMの新プラン、SORACOM Airのセルラー回線以外でもSORACOMとの間にセキュアなリンクを提供通信回線の種別に関わらずセキュアなIoT通信ができる新サービスをはじめとして、多彩な新サービス、新製品が紹介された。

イベントに先立つメディア説明会に登壇した同社代表取締役社長の玉川憲氏は、まずソラコムの事業の概要のアップデートを報告した。「IoT通信から始まって、1個から買えるIoTデバイスの提供、クラウドサービスの提供と、“IoTのつなぐ”を簡単にするための製品やサービスを提供してきた。2021年にはIoTの契約回線数が300万を超え、顧客数は2万を突破、公開できる事例も100を超えた」と、順調な事業の成長をアピールする。

SORACOMの導入事例は数多くの紹介があったが、その中でも玉川氏は、メルカリの無人投函ボックス「メルカリポスト」や、Luupの電動キックボードシェアリングサービス、ライナフの集合住宅への置き配ソリューションなどでのSORACOMサービスの利用を冒頭に掲げた。生活や社会の様々な場面でSORACOMサービスがIoTソリューションを支援していることを示した。

新製品、新機能は複数の発表があった。第一にアナウンスしたのは、IoT向けのSIMの新プラン「plan-D D-300MB」だった。購入してから利用開始までの費用負担の軽減と、毎月の支払額の平準化や料金の予見可能性を高めるもので、顧客からの声に応える形での提供となる。初期費用は1回線あたり902円で、最大2カ月分の準備完了基本料を含むことで、利用開始までの負担を抑えられるようにした。また月額基本料金も330円で300MBのデータ通信量を含み、料金の平準化への要望に応えた。7月1日から提供を開始し、「8割ぐらいのユーザーが新プランにすることで安くなる」(玉川氏)という。

IoTの利用時の利便性を高める新サービスとして、セキュアリンクサービス「SORACOM Arc」も発表した。SORACOMの各種プラットフォームサービスは、これまではセルラー通信のSORACOM Airの利用が前提になっていた。一方で、Wi-Fiや有線で接続しているIoTデバイスやLTE圏外での利用などでも、SORACOMプラットフォームサービスを使いたいという声もあった。これに応える形で提供するのがSORACOM Arcである。SORACOM Arcは、仮想SIMを各デバイスに対して発行して認証することで、各デバイスとSORACOMの間で安全で保護された通信経路を確立する。これによりSORACOM Airによるセルラー通信によらないWi-Fiや有線接続の端末からの、セキュアなSORACOMとのリンクが利用できるようになる。サービス開始は6月23日、初期費用は仮想SIM作成手数料が55円、基本料金は1仮想SIMあたり月額55円(1GBの通信量を含む)となる。

セルラー通信を実現するための「SIM」の技術の進展のアナウンスもあった。1つは持続可能な社会に向けた環境対策としての小型のSIM「エコIoT SIM」の提供。サイズも重さも従来のIoT SIMカードの4分の1に抑えることで、年間約4億トンのプラスチック消費を削減する。海外市場向けから導入を開始する。

もう1つは、SoCにSIM機能を取り込んだ「iSIM」の実証について。SIMカードの利用でも、eSIMの利用でも、SoCとは別にSIMスロットやeSIMチップが必要になる。このSIMの機能をSoCにワンチップ化するのがiSIMだ。ソラコムでは、ソニーが提供するセルラーIoT向けチップセット(Altair ALT1250)の評価ボードに、ARMから分社したKigenのiSIM OSを搭載し、従来のSIMと同等の機能を提供できることを実証した。今後、SoCとSIMの2つの部品を用いることなく、ワンチップでセルラー通信を実現するための足がかりになる発表である。

また、IoTデバイスとしては、LTE通信内蔵AIカメラの「S+ Camera Basic」(サープラスカメラベーシック)に、AI処理機能を搭載したイメージセンサーを組み込んだ高性能モデル「S+ Camera Basic Smart Edition」を追加した。ソニーセミコンダクターソリューションズのAI処理機能搭載イメージセンサー「IMX500」を組み込んだもの。イメージセンサー内でAIアルゴリズムを走らせることで、画像に対する高速な処理を必要とする用途に向くという。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。