WirelessWire News Philosophy of Safety and Security

by Category

ビジネス ネットワーク IT イメージ

データ活用の重要性は認識してもIT投資には消極的、テラデータ調査で見えた日本企業の実情

2021.10.06

Updated by Naohisa Iwamoto on October 6, 2021, 06:25 am JST

「QRコード決済やオンラインショッピングの増加に見られるように、コロナ禍はDXを加速させていて、生まれるデータは増え続けている。そうした中で、テラデータは日本企業がDXの推進に遅れを取らないようにサポートしていきたい」。こう語るのは、日本テラデータ代表取締役社長の高橋倫二氏。記者説明会での一コマだ。テラデータは、クラウドデータ分析プラットフォーム「Teradata Vantage」(以下、バンテージ)を提供し、DX化を支援している。

記者説明会で高橋氏は、日本企業も対象にしたグローバル調査の結果の1つとして、「日本のIT意思決定者の92%がデータ管理とアナリティクスの改善が重要な投資と認識している。グローバルでは93%と認識のレベルではほぼ変わらない。一方で、IT投資計画を大幅に変更すると答えたIT意思決定者は、日本では62%にとどまるが、グローバルでは87%、米国では90%以上にもなる」と説明する。日本企業は、認識はすれど、IT投資先の変更に消極的という傾向が見られるのだ。「日本がDXに遅れを取らないように」という冒頭のコメントは、この状況に対してのものだ。

そうした中で高橋氏は、クラウドデータ分析プラットフォームとしてサブスクリプションモデルの提供にシフトしているバンテージを利用するメリットとして、クラウドとオンプレミスの双方を組み合わせて使える「ハイブリッド」環境への対応を挙げる。データには、自社内に置いておきたいものと、クラウド上に蓄積したほうが効率的なものがあり、いずれも統合して分析対象にできることを強みとする。

そうしたバンテージの最近の特徴を生かした例として、高橋氏は三井住友海上火災保険の用途を紹介した。「三井住友海上では、データプラットフォームとしてバンテージを採用し、一元的にデータを収集、活用することで、データのサイロ化を排し高い業務効率化を実現している。一元的にデータを活用できるようになったことで、自部門以外のデータを積極的に利用するようになったという。自分たちが所管する商品以外の事故データを見に行ったり、コールセンターの受電履歴を見に行って何かと掛け合わせて分析したりするようになり、業務の改革につながっている」。

バンテージの活用事例として、同社ビジネスコンサルタント事業部の小野尚人氏は、金融業界でのトピックを紹介した。「金融業界では、フリクションのない顧客体験(CX)の提供が求められている。ショッピングの流れが変わり、ハードルが高い決済の部分で脱落する顧客を減らす必要があるためだ。近年では、スターバックスやマクドナルドのように注文から決済をスマートフォンであらかじめ終えて店頭では商品を受け取るだけといった前払い、買い物してからの後払いのBNPL(Buy Now Pay Later)の導入や利用が進んでいる。こうした新しい決済方法を自社のサービスに組み込む『組み込み型金融(プラグイン金融)』が注目されている」。

これまでは事業者が銀行免許を取るのが難しく、一部の流通業で銀行免許を取得して利用するにとどまっていた。今後は、事業会社が銀行サービスを提供したり、シームレスなCXを実現したりするために、金融サービスをクラウド上に部品として提供する時代が来ていると小野氏はトレンドを分析する。

そこにバンテージがどのように関係してくるかというと、複数の企業のデータ基盤をクラウドやオンプレミスを混在させた形で一元的に分析できる特徴を生かすというのだ。小野氏は、「住信SBIネット銀行が全社データ基盤にバンテージ(Teradata Vantage on AWS)を採用された事例を紹介する。同行は自社のバンキング機能を切り出して他の事業者に組み合わせて利用できるバートナー企業にBaaS(Banking as a Service)としてネオバンク事業を提供している。クラウド上に全社データ基盤を構築し、実際に日本航空(JAL)やヤマダ電機、Tマネーがネオバンクサービスを活用する」という。データ基盤が1社だけの顧客に限られるのではなく、複数の企業の顧客情報を集められるようになることで、銀行だけでは得られないより深いインサイトが得られることを期待している。

説明会では、バンテージの新機能として、「マスターデータ管理(MDM)」と、「Bring Your Own Model(BYOM)」の2つの紹介があった。多くのシステムのデータを統合利用するためには、例えば「CHIBA」「千葉」「千葉県」「ちば」のようなシステムごとの表記のゆらぎなど、違いを吸収する前処理が必要になる。これらをマスターデータ管理(MDM)機能で実現するが、一般的にはデータウェアハウスとは別にMDMを導入する必要がある。テラデータではバンテージにMDM機能を統合することで、管理を容易にできるようにした。Bring Your Own Modelは、AIや機械学習で分析する際のモデル開発の部分を切り出して、使い慣れたデータモデリングツールでモデル開発ができるようにする機能。データモデリングツールとバンテージをコラボレーションさせて実現し、効率良い開発や自動開発などを容易にして、ビジネス価値を生み出しやすくすると説明した。

【報道発表資料】
テラデータ、企業のDX加速に向けたIT投資に関する調査結果を発表
住信SBIネット銀行、クラウドデータ基盤にTeradata Vantage on AWSを採用
テラデータ、マスターデータ管理(MDM)ソリューション「Teradata Master Data Management」を日本で提供開始

WirelessWire Weekly

おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)

登録はこちら

岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。