画像はイメージです original image: 有紀 朝倉 / stock.adobe.com
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最近、YouTubeでよく見かけるのが、「渓流釣りなどで沢に入って、急な雷雨で増水、あるいは沢に下った道をロスト、などで大変な目に遭いつつ命からがらクルマの所まで戻ってきた」という動画である。知床の渓流で熊に遭遇などというものもある。
GoProなどのカメラで一部始終を記録しているのだけれど、林道に戻ってきてホッとして泣いたりしている場合もあり、ベテランだからこそ本当に遭難一歩手前で危なかったことを認識していた結果なのだと思わされる。状況などがとても勉強になる。
いまどきは、スマートホンのマップやGPSのおかげで命が助かった人もたくさんいるだろう。雨雲レーダーなどの精度もかなりのものだし、行った先についての経験や知識が乏しくても、それを補ってくれるのがスマホだろう。マップとGPSなら、バッテリ残量さえ注意していれば「圏外」でも使える。
スマホといえば、1年ほど前に何かのきっかけで設定していて、
・スマホを1回振るとカメラ、2回振ると電話が起動
・「したっけ」(北海道弁で「じゃ、また」くらいの意。全国の方言に対応らしい)といって電話を耳から離して、画面を下にして置くと電話が自動的に切れる
という機能を有効にした。
その後1年経過して、一つ目はスマホを落としたりしたときに勝手にカメラが起動しただけ、二つ目は設定したこと自体を忘れてしまい一度も使わずに1年経過、という顛末であった。
ソフトウエアというものは、おそらく動かないであろう機能、あるいはその機能が動作するときはエラー発生など望ましくない状況にあるとき、という例外処理ルーチンの方が、通常の正しい使われ方のときに動作する部分よりも圧倒的に多いのが普通ではあるだろう。とはいえ、1年間使わないような機能が他にどのくらい搭載されているのかと考えると、気が遠くなる。
クリティカルな状況に遭遇する可能性があるアウトドアや山歩きなどでは、既に必携機器ともいえるスマホではあるが、誰の端末にもそういった機能が必要かといわれると、必ずしもそうではないだろう。危険な状況になる可能性がほとんどない人もいれば、地図や気象などのデータを理解して活用するのが苦手な人もいる。
危険な状況と無縁でいられることはまったくの幸運だと考えて、万一のために様々な機能を用意しておく、というアプローチも間違いとはいえないし、デジタルであればアプリをインストールするかどうかを選べば済む話でもある。しかし、例えばキャンプ用品などアウトドアのツールは、機能をそぎ落としたところに良さがあるものだし、決して安くはない7人乗りのワンボックスカーをかなり多くの場合に1人で乗って移動している、などというのと同じ様な問題も含んでいる。
いくら便利な機能があったとしても使うのは人間である。基本的な知識があった上でのデジタルツール、という側面は間違いなくあるはずだ。
Modern Times に掲載された伊勢湾台風並みの台風がもし上陸したら、という内容の記事を読んで、こんなことを考えた。山や海の気象などの基本を知っておくのは当然のこととして、災害時や遭難時にスマホを使って生き延びるためのデジタルのノウハウ、というものがそれとは別にあるはずだ。台風やきのこ獲りのシーズンである。平時に機能や使い方をしっかり確認しておきたい。
・伊勢湾台風レベルの台風がやってきたとき、我々はどうすべきか
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登録はこちら北海道札幌市出身。システムエンジニア、IT分野の専門雑誌編集、Webメディア編集・運営、読者コミュニティの運営などを経験後、2006年にWebを主な事業ドメインとする「有限会社ハイブリッドメディア・ラボ」を設立。2014年、新規事業として富士山麓で「cafe TRAIL」を開店。2019年の閉店後も、師と仰ぐインド人シェフのアドバイスを受けながら、日本の食材を生かしたインドカレーを研究している。