photo by 野原佳代子
サイエンスコミュニケーションがうまくいかないときに考えてみてほしいこと
2023.04.13
Updated by WirelessWire News編集部 on April 13, 2023, 06:43 am JST
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2023.04.13
Updated by WirelessWire News編集部 on April 13, 2023, 06:43 am JST
専門家と非専門がコミュニケーションをする場合でも、情報は一方通行ではない
サイエンスコミュニケーションという分野がある。この場合のサイエンスは、広く科学技術、テクノロジーを含むことが多い。文字通りサイエンスを伝えることだが、専門家と非専門家の間のコミュニケーションであることが特徴である。これは実践活動でもあるし、それを対象とする研究分野でもある。
日本は科学技術立国だと言われるが、一般人が日常生活で科学を意識し、議論する場面はさほど多くない。テクノロジーは日常にあふれ、人や家電はもちろん、車やパソコン、タブレット、スマートフォン、ゲーム機などに囲まれて日々暮らしているのだが、それらの技術的なしくみや成り立ち、背後にある科学的理論、それらが可能になった歴史や経緯などについて知る人は少ないだろう。
また『日経サイエンス』のようなポピュラーサイエンス系の雑誌を購読していて、リビングルームにバックナンバーがちらばっている、という家庭はどのくらいあるだろうか。インターネットが普及し、サイエンス情報へのアクセスはさらに容易になったが、むしろ分野や対象により、ユーザを分断してはいまいか。
何が言いたいかというと、人はテクノロジーのある生活を享受はしていても、それを可能にしている科学技術という文化そのものに広く触れる機会はあまりない。これは、わりともったいない。たとえ専門家ではなくとも、意識し始めると、なかなかおもしろいことが多々見えてくるからである。
サイエンスコミュニケーションは、専門家から「素人」である一般人に対し、科学や技術を平易な表現でわかりやすく伝える活動やスキルのことだと思われがちである。確かにその面は重要で、新聞の科学欄やTVやインターネットの科学コンテンツ番組など、人は科学ジャーナリズムを通してこそ、専門的知識がなくとも最先端科学の一角に触れることができる。
ただし、わかりやすく教示することは、コミュニケーションのほんの一画に過ぎない。科学技術のトピックをめぐって専門家と非専門家がコミュニケーションをとる場合、情報の流れは一方向とは限らない。
※本稿は、モダンタイムズに掲載された記事の抜粋です(この記事の全文を読む)。
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