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3.11でも生かされなかった大量の地球観測データ、本気で公開の検討を

2023.11.30

Updated by WirelessWire News編集部 on November 30, 2023, 06:40 am JST

年間800億円をつぎ込んでいる情報収集衛星

以前の記事で「高分解能地球観測衛星を8機も擁するようになった情報収集衛星システムは、今や日本にとって未来の情報環境に向けての試金石となる可能性を持っているのである。」と書いた。

既にこの文章は、訂正が必要になっている。2023年1月26日にH-IIAロケット46号機で、レーダー衛星7号機が打ち上げられた。従って、この文章は「高分解能地球観測衛星を9機も擁するようになった情報収集衛星システムは」と書き直す必要がある。

さらに2023年度中には、光学衛星8号機も打ち上げられる予定となっており、2023年度末には再度の書き換えが必要になるかも知れない。現在、最も古い稼働中の衛星は2011年打ち上げのレーダー3号機なので、これがいつ運用を終了するか、という問題はあるが。

一切公開されない観測データだが総理への報告タイミングは推測可能

では、これら高分解能地球観測衛星が取得する観測データが、現在どのように扱われているかというと、そのすべてが2013年に制定された「特定秘密の保護に関する法律」に基づいて秘密指定され、一切表に出せないことになっている。

直接観測データを処理できるのは、衛星を運用している内閣官房・内閣衛星情報センターの情報処理部門だけで、直接の画像データは内閣メンバーにも公開されていないという。内閣衛星情報センターでは画像から有用な情報を抽出し、その情報を持って分析官が首相官邸に向かい、内閣総理大臣以下の閣僚に対してブリーフィングを行っている。

つまり、政治が判断材料として手にするのは、情報収集衛星の画像ではなく、そこから得られた情報のみ。これは、衛星取得画像をなまじ素人である閣僚が勝手に解釈したら、かえって判断を誤るということなのだろう。

※本稿は、モダンタイムズに掲載された記事の抜粋です(この記事の全文を読む)。
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