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日本初のデータサイエンス学部が育てる「データで説得できるゼネラリスト」

2024.02.27

Updated by WirelessWire News編集部 on February 27, 2024, 07:18 am JST

データサイエンス系の人材が不足することはわかっていた

Modern Times編集部)
日本で最初にデータサイエンス学部を創設したのが滋賀大学です。経緯や狙いを教えてください。

滋賀大学データサイエンス学部長 椎名洋教授)
データサイエンス系の人材が不足することは、政府の座談会や審議会でも議論されていました。データサイエンスは学問的には、情報学と統計学から成り立っています。私は統計学が専門ですが、実は日本の大学には統計学部がないのです。欧米にはたくさんあるのに、日本はこのままで良いのだろうかという思いが根底にありました。

もう一つ、滋賀大学の固有の課題もありました。当時、滋賀大学は教育学部と経済学部の2学部で構成されていました。国立大学に文系学部は不要といった議論もあり、滋賀大学にも危機感がありました。当時の佐和隆光学長は経済学が専門で、中でも計量経済学の第一人者でした。新学部の設立に当たって、統計を使った学部が良いのではと音頭を取られたようです。

編集部)
そして、データサイエンス学部ができたのですね。

椎名教授)
統計出身の教員も多いですから、統計学部という名称にする方法もあったでしょう。でも、幅広くデータを扱う学問としての「データサイエンス」を学部の名称にしました。データ分析、データアナリティクスの道具として統計は重要です。しかし、データを集め、課題を見つけるといった前後のプロセスも含めると、幅広い意味でのデータサイエンスを扱うことにしたのは良かったのではないかと思っています。

分析したところで、相手に「は、それで?」と言われたら終わり

編集部)
日本で最初のデータサイエンス学部として「文理融合」を掲げています。

椎名教授)
データサイエンス学部では文理融合の学問を謳い、文系の人も怖がらずに来てくださいとメッセージを伝えてきました。そうした取り組みにより、初年度の入学生は4割ぐらいが文系出身でした。文系と理系の出身者が混じり合ってコラボレーションしてほしいという狙いに合致したのです。

ところが、最近は文系出身者が3割を切るようになって、少し問題だと感じています。入試の数学は文系でも学ぶ範囲から主に出題していますし、大学のパンフレットも文系出身者の学生を紹介してアピールしています。

それでも文系出身者が減っている理由の一つは、SNSなどの情報でしょう。在学生の「数学を鍛えられる」「苦労する」と書かれている投稿を読むと、受験生が躊躇してしまうようです。文理融合の良い点を生かすためにも、文系出身者の確保は課題です。

※本稿は、モダンタイムズに掲載された記事の抜粋です(この記事の全文を読む)。
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