The significance of international exchange and collaborative research in natural sciences
July 28, 2026
シュレディンガーの水曜日事務局 Schrödinger
オンラインイベント「シュレディンガーの水曜日」の運営事務局です。東京工業大学・物質理工学院・原正彦研究室で始まった、WirelessWireNewsが主催するオンライン・サイエンスカフェです。常識を超えた不思議な現象に溢れた物質科学(material science)を中心に、日本の研究開発力の凄まじさと面白さを知っていただくのが目的です。
量子コンピュータの大規模化には、多数の量子ビット(Qubit:「0」と「1」を同時に持ち合わせた「重ね合わせ」の状態をとれる)の状態を高速かつ高精度に測定する読み出し技術が不可欠です。半導体量子ビットは、電子のスピン状態を電荷の変化に変換し、電荷センサーから得られる微小な信号を検出することで量子状態を読み出しますが、量子ビット数の増加に伴い測定配線の本数や読み出し回路の消費電力が増大すると、極低温環境への熱流入や実装面積などが大きな制約になります。そこで、量子ドットから得られる微小信号を極低温環境で低雑音に増幅し、高速に検出するための読み出し回路技術を実現することで、チップ上で 100~1,000 個のデバイスを同時に動作できるよう開発を進めているのが、小寺 哲夫氏(東京科学大学 工学院 教授)と片岡 真哉氏(英国国立物理学研究所(NPL) 量子技術部門 主任研究員)です。ここにシリコン量子ドット単電子素子の権威、藤原聡氏(NTT物性科学基礎研究所上席特別研究員)が加わります。電流は1秒間に流れる電子の数でその大きさが決まりますが、藤原氏は、数十ナノメートル程度の単一電子素子(電子を一粒ずつ閉じ込め、静電的に制御するための素子)であるシリコン量子ドットで、電子を“一粒ずつ”制御し、1秒間に10億個の電子を運んで微小電流を発生させ、素子の違いによらず大きさのそろった一定の電流を発生させることに成功しました(この精密な電流発生技術と電流比較技術は量子電流標準となり、電流計測の高精度化に貢献しています)。
この最先端研究の現場にいる3名に話題提供いただくのが8月5日に実施する「シュレディンガーの水曜日」ですが、実は、この3人の研究者に共通しているのは「若い頃から積極的に国際交流を重ねていること」ですね。「Jリーグのレベルが向上したのは欧州のクラブチームで活躍する日本人選手が増えたから」という言説がありますが、やはり日本という国全体の研究開発のレベルを上げるためには、若くて優秀な研究者が率先した海外に打って出るべきなのですね。しかし、例えば国際共著論文の割合(日本は35%程度)は、欧州主要国や米国と比較し極めて低い水準で、加えて日本の大学教員に占める外国籍研究者の比率は約5%程度、そして海外へ出ていく日本人研究者も極めて少ない、つまり「交流がほとんどない」状況です。それでJST(科学技術振興機構)などが ASPIREのようなトップダウン型の戦略的国際共同研究プログラムを立ち上げざるを得なくなるわけです(先にご紹介した小寺、片岡、藤原の各氏はこの ASPIREにおいて量子分野・日英共同公募プログラムとして採択されたチームのメンバーです)。
今回の「シュレディンガーの水曜日」は半導体量子デバイスが技術的テーマではありますが、それ以上に、国際ネットワークにおける人的交流の価値と重要性について語る会にしたいと思います。国際交流経験が豊富な入來篤史氏(帝京大学/理化学研究所)、原正彦氏(JSPSロンドンセンター)にも加わっていただいて、5人で国際交流のメリットを語り合うことにします。特に大学院在籍中の学生の皆さんにお聞きいただきたいですー。
| 名称 | 「シュレディンガーの水曜日」 半導体量子デバイスの大規模スケール化と国際交流/国際共同研究の重要性 |
|---|---|
| 開催日時 | 2026年8月5日(水) 19:00~21:00 |
| 話題提供者 (敬称略) | 藤原聡/NTT物性科学基礎研究所上席特別研究員 |
小寺 哲夫/東京科学大学 工学院教授 | |
片岡 真哉/英国国立物理学研究所(NPL) 量子技術部門 主任研究員 | |
入來篤史/帝京大学 先端総合研究機構 AI活用部門 特任教授/理化学研究所 数理創造研究センター 量子数理科学チーム 客員研究員 | |
原正彦/JSPS(日本学術振興会) London センター長・東京科学大名誉教授 | |
| 実施形態と参加方法 | Zoomウェビナー(Webinar)を利用したオンラインイベントです。 お申し込みはこちらから |
| 参加料 | 無料 |
| 申込期限 | 2026年8月5日(水)の18時まで |
| 主催 | 「シュレディンガーの水曜日編集委員会」/スタイル株式会社 |
※プログラムの内容・時間などは予告なく変更となる可能性があります。ご了承ください。