[2014年第4週]第4世代ヒアリングに4社参加、ソフトバンクがスマホ新プラン、KDDI春モデル
2014.01.27
Updated by Naohisa Iwamoto on January 27, 2014, 12:30 pm JST
2014.01.27
Updated by Naohisa Iwamoto on January 27, 2014, 12:30 pm JST
総務省がLTEの次の世代にあたる第4世代移動通信システムの公開ヒアリングを実施し、実質的に3枠を4社で競い合う構図が見えてきた。ソフトバンクモバイルは音声とパケット通信を「パック」にした料金体系を採用した新サービスを発表。「音声定額化」で音声収入の減少の食い止めを狙う。KDDIは、「ファブレット」2機種を含む春モデル5機種を発表し、「auらしさ」をアピールする。
将来の情報通信環境に影響を及ぼす可能性のあるニュースが相次いだ。
総務省は、第4世代移動通信システムに関する公開ヒアリングを実施した。第4世代移動通信システムは、周波数帯域としては3.5GHz帯を使い、LTE-Advancedにより下り最大1Gbpsといった光ファイバー並みの超高速通信を実現するもの。公開ヒアリングにはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・アクセスの4社が参加し、意見を述べた。各社の主張は、「想定するシステムはTDD方式のLTE-Advanced、利用イメージとしては都市部など高トラフィックエリアに局所的に展開、希望する周波数帯域は40MHz幅以上」といった内容でほぼ一致した。第4世代移動通信システムが当面3.5GHz帯で使えるのは120MHz幅で、40MHz幅だと利用制限のない帯域が3枠割り当て可能になる。3枠を4社が取り合う形になる可能性が高く、様々な駆け引きが活発になりそうだ(報道発表資料:第4世代移動通信システムに関する公開ヒアリング)。
インフラ面での発展の可能性を示す発表もあった。NTTは、スマートフォンなどの端末の近くにあるエッジサーバーでデータ処理を行う「エッジコンピューティング構想」を策定した。スマートフォンなどの端末の近くに分散配置したエッジサーバーでアプリケーションなどを実行。クラウドコンピューティング環境と比べて、通信遅延を最大100分の1に短縮することを目指すほか、端末の負荷やトラフィックの軽減につなげる(関連記事:NTT、スマホの"近く"でデータ処理する「エッジコンピューティング構想」、遅延を100分の1に)。
こちらは超高精細の映像伝送の実証実験のニュース。NHKは、8Kスーパーハイビジョン(以下、8K)の地上波による長距離伝送実験に成功した。8K地上波放送の実現に向けた取り組みだ。実験は、熊本県人吉市のNHK人吉テレビ中継局に設置した実験試験局から、信号を送信して実施した。今回の実験では、現在の地上デジタル放送のエリアと同程度の27km離れた地点でも、8K信号を良好に受信できたという(関連記事:NHK、8Kスーパーハイビジョンを地上波で27kmの長距離伝送に成功)。
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▼ソフトバンク、音声とパケットのパックプラン、月額6980円で1000回の通話と7GBの通信
ソフトバンクモバイルは、音声通話とパケット通信の料金をパックにしたスマートフォン向けの新サービスを4月21日に提供開始する。パックは3種類で、月額5980円のSパックには、1回3分以内の国内音声通話が月間50回と、2GBまでの国内パケット通信の料金が含まれる。月額6980円のMパックは1回5分以内の国内音声通話が1000回と7GBまでの国内パケット通信、月額9980円のLパックは同じく1回5分以内の通話1000回と、15GBまでのパケット通信を利用できる(料金は税抜き)。短い通話が多い利用者にはメリットがあるプランだが、通話、パケットともに超過した場合の料金が割高になるリスクもある(関連記事:ソフトバンク、音声とパケットのパックプラン、月額6980円で1000回の通話と7GBの通信)。
日本通信は、「MVNO市場に最強のSIM」(同社)を投入する。データ通信SIMの「b-mobile X SIM」で、有力な競合他社と同一料金でサービス内容を充実させたもの。3つのプランから毎月選んで利用できるため、使い方に合ったプランを手軽に見つけることができる。プランは高速データ通信が毎月600MB利用できて月額900円(税別、以下同)の「プランI」、高速データ通信が毎日40GB利用できて月額934円の「プランN」、高速データ通信が毎月2.2GB利用できて月額1505円の「プランB」である(報道発表資料:日本通信、MVNO市場に最強のSIMを投入)。
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新製品のトピックを確認していこう。この週にKDDIは、スマートフォン4機種、タブレット1機種の2014年春モデル5機種を発表した。曲面ディスプレイを搭載した「G Flex」、6.4インチの大画面液晶を搭載した「Xperia Z Ultra」など、特徴的なモデルをラインアップして利用者の多様なニーズに対応しようとする。冬モデルですでにメインストリームの製品をラインアップしているだけに、今回の春モデルはより「違い」や「auらしさ」を強調する製品群になっている(関連記事:曲面や大画面など特徴ある製品でラインアップを強化、KDDIが2014年春モデル)。
スポーツのシーンでも「スマート化」が進む。ソニーは、プレイヤーのテニスのショットを即時解析し、スマートデバイス上で表示するラケット装着型Smart Tennis Sensor(スマートテニスセンサー)「SSE-TN1」を、全国のスポーツ用品店およびテニス用品店で発売する。また、発売に合わせて専用アプリケーション「Smart Tennis Sensor アプリ」を、Google PlayストアおよびApp Storeで無償提供する。発売は5月下旬を予定。価格はオープン価格だが、市場推定価格は1万8000円程度(ラケットは別売り)とのことだ(関連記事:ソニー、ラケット装着型スマートテニスセンサーを発売)。
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アプリケーションサービス面のニュースを紹介する。
KDDIは、インキュベーションプログラム「KDDI ∞ Labo」の第5期最優秀チームを発表した。第5期には5チームが選ばれ、3カ月のプログラムでサービスやアプリを開発してきた。最優秀賞に選ばれたのはザワットが提供する女子向けのブランド古着オークションアプリ「スマオク」。近日中に「auスマートパス」でも提供する予定だ。プレゼン会場で観衆による投票で決まるオーディエンス賞には、ズカンドットコムが提供する図鑑作成サービス「ズカンドットコム」が選ばれた。KDDI ∞ Laboでは引き続き新しいサービスやアプリのアイデアを具現化したいチームに対して、1月24日〜2月21日の期間に第6期プログラムの募集を行う(報道発表資料:「KDDI ∞ Labo (ムゲンラボ)」第5期最優秀チームの発表および第6期プログラムの開始について)。
▼「KDDI ∞ Labo」第5期の表彰式で壇上に並ぶ、KDDI代表取締役執行役員専務の高橋誠氏と参加チームの代表者
東京のタクシー呼び出しが便利になりそうだ。東京ハイヤー・タクシー協会は、1つのエリアで複数のタクシー無線グループの車両を呼び出せるアプリ「スマホdeタッくん」の提供を開始した。対応OSはiOS、Android、Windows 8/同 8.1で、アプリは無料でダウンロードできる。タクシーの共通配車アプリの提供は日本初。複数のグループが連携することで多くの車両が配車の対象になるため、より早くタクシーを利用者の元に配車できるようになる(関連記事:日本初、複数社を横断して最寄りのタクシーを呼べるアプリ「スマホdeタッくん」)。
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