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ウルトラらくらくフォンKisa

2014.08.06

Updated by Kenji Nobukuni on August 6, 2014, 12:00 pm JST

Kisa
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タッチスクリーンや音声コマンドなどなど、フィーチャーフォンとは違うスマートフォンのインタフェースはよく「直感的」と表現されるが、実際は同期とかインストールとか、いろいろな基礎知識が要求されるし、かなり細かい文字が読める人を対象にしている。

7月末に販売スタートしたオーストラリアのKisaは高齢者など視力に課題がある人や、機能満載の昨今のスマートフォンに飽き飽きしている人のための超シンプルな電話機だ。見かけは少々おもちゃっぽいかも知れない。コンタクト先1件から最大10件の大きなボタン、発信と受話のボタン、電源スイッチ、音量ボリューム、緊急通報用のSOSボタンくらいしかない。視覚障碍者支援団体や盲導犬協会の指導の下、テストを繰り返して開発されたようだ。

その設計思想は予備知識ほとんどなしで使えることだったという。例えば、ケーブルを接続して充電するのが難しいという人がテスト中にいたので、クレイドル型の充電器が開発された。Kisaは、Kisa is simple always(=Kisaはいつもシンプル)の頭文字。GNU(=GNU's not Unix)のような命名法だが、開発の意図を明快に示している。

ハンドセットは84ドル(豪ドル。以下同じ)。20分間の国内音声通話料が含まれたTalk20プランは月額15ドル。20分を超過すると30秒当たり38セント。Talk50プランは50分の通話料を含め月額20ドルで超過分は30秒20セント。Talk120は2時間の通話料込みで30ドル。超過分は30秒につき13セントになる。ボーダフォンのネットワークを使う。

コンタクト先の表示に相手の写真を利用したり、逆に大きな文字だけにすることもできるなど、Kisaはネット注文時にカスタマイズしてから購入する。ボタンはオプションで点字にもできるし、登録したコンタクト先の変更は、カスタマーセンターに連絡すればリモートで書き換えてくれる。

ただし、タッチスクリーンもないし、ハードウェアのキーボードもないので、当然の帰結としてテキストメッセージの送受はできない。Kisaはシンプルな電話機なのだ。

【参照情報】
Kisaのウェブサイト
Aussie start-up Kisa brings simplicity to mobile phones
The Australian-designed mobile phone that's targeting the elderly

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信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。 訳書:「Asterisk:テレフォニーの未来

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