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簡単・快適なテルアビブの「Free Wi-Fi」

2014.02.25

Updated by Hitoshi Sato on February 25, 2014, 18:10 pm JST

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2013年5月に「Digi-Tel」構想として、イスラエルの都市テルアビブが無料での公共Wi-Fi(公衆無線LAN)の計画を発表した。そして2013年9月からテルアビブ、ヤッフォ周辺に80か所以上のホットスポットを設置して無料でWi-Fiが利用できるサービスを提供している。テルアビブ市が600万NIS(約1億8,000万円)投資して、モトローラ・ソリューションが構築・運営をしている。バックホール回線としてはVDSLが利用されている。

テルアビブでは観光客であれ、地元住民であれ、誰でも無料で「Free Wi-Fi」が利用できる。時間制限などはない。1つのホットスポットで25人まで同時に500Kbpsで利用が可能だそうだ。現在、テルアビブにいるが、たしかにすぐにWi-Fiをつかむし、快適にネットワークにアクセスできる。メールやニュースの確認をするには十分な速度であるため、国際ローミングに頼る必要はほとんどない。「Free Wi-Fi」が入るエリアにあるカフェでは多くの若者らがネットワークにアクセスしている。

このように誰でもが無料で簡単にアクセスできるWi-Fiが町のあらゆる所に設置されている外国人として非常に助かる。イスラエルは「スタートアップ・ネーション」として注目されており、現在テルアビブだけで700~800のスタートアップが存在している(参考レポート)。今後も欧米を中心とした海外からの投資を呼び込みたいだろう。またテルアビブは地中海に面した綺麗なビーチがあり、夏には国内外からの海水浴客も多い。彼らにとっても簡単で快適にアクセスできるWi-Fiは便利である。難しい設定やログインなどが不要なため、外国人にとっても利用のハードルが低く、非常にうれしい。

訪日外国人の不満の1つに無料Wi-Fiの未整備があげられている。たしかに、このようなネットワーク環境に慣れている人々が、日本を訪問したときに、日本のネットワーク環境を見たら残念に思うだろう。現在、日本でも2020年の東京オリンピックに向けて東京だけでなく日本各地で無料Wi-Fiの整備が進められつつある。

これからは、Wi-Fiを国内外の人々に無料で提供し、誰もが簡単・快適にネットワークにアクセスできることは、「水道を捻れば水が出てくる」のと同じ感覚になってくるだろう。誰もが簡単で快適に無料Wi-Fiにアクセスできないことが、「水道を捻っても水も出てこない」と同じ感覚になってしまった場合、そんな国に誰が行きたいと思うだろうか。

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テルアビブ市内ではスマートフォンを片手に歩いている人がたくさんいる。

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海岸では、ほぼあらゆる所で「Free Wi-Fi」へのアクセスが可能である。

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「テルアビブ・ヤッフォのお気に入りの場所の写真を撮ってInstagramにアップしよう!」という看板もテルアビブの町で多く見かける。撮影した写真が次の看板の素材になる可能性がある。無料Wi-Fiで簡単に通信できる環境なので、撮影した写真を誰もが気軽にアップできる。

【参照情報】
Tel Aviv launches city-wide free Wifi

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。