カンボジアでは、2013年のスマートフォン販売数は90万7,000台、2012年の42%増だった。調査会社 GfKシンガポールによると、カンボジアでは2013年に3億ドル以上、スマートフォンを購入するために支払った。 2012年は約2億2,000万ドルだから38%増である。
しかし、カンボジアにおけるスマートフォンの販売はだんだん減少傾向にあるようだ。2014年第1四半期(1~3月)は前年同期比10%減だった。
サムスンのカンボジア及びラオス支社長のGwihan Lee氏によると、携帯電話を所有するカンボジア人の50%は、既にスマートフォンを保有しているという。カンボジアでの携帯電話加入者数は約1,600万で人口普及率は105%であることから、少なくとも500万~700万以上はスマートフォンであろう。
カンボジアのLGの代理店責任者のHor Hab氏によると、カンボジアでスマートフォンの販売が減少しているのは確かだが、その原因は税金(VAT)10%によるものだと分析している。カンボジア以外の国では税金がないから、カンボジア人の富裕層が周辺諸国に行った際にスマートフォンを購入してしまうことが、カンボジアでのスマートフォン販売減少ではないかと見ている。Hor Hab氏によると、カンボジアのスマートフォン市場のシェアは、サムスンが50%、Appleが30%、ノキアが8%、LG、ソニーがそれぞれ5%とのこと。なお、カンボジアではシンガポールの地場メーカーSingtechの人気も高い(参考:カンボジア、ミャンマーで台頭する携帯電話メーカー「Singtech」)。
また、HuaweiカンボジアのJason Liu氏は、今後5年の間にフィーチャーフォンを利用している人のうち80~90%がスマートフォンに乗り換えるだろうと予測している。
カンボジアでは確かに若者や富裕層を中心にスマートフォンが普及している。このような層には概ね行き渡ったのだろう。一方で、まだフィーチャーフォンを利用している層は地方を中心に多数存在している。カンボジアの携帯電話加入率は106%だが、これはプリペイドSIMカードの販売枚数であることから、1人で複数枚所有していることから携帯電話を保有できない人々もまだたくさんいる。
さらにカンボジアでは中古のスマートフォン端末も大量に安価で流通していることから、スマートフォンの販売台数が減少したと言っても、それは新たにメーカーから出荷される端末台数が減少しているだけである。カンボジアでのスマートフォン市場は今でも成長を続けている。
▼iPhoneを所有するカンボジアの僧侶
▼LGのスマートフォンを持つカンボジアの軍人
▼サムスンのスマートフォンを持つカンボジアの少年
▼カンボジアの町中の携帯電話ショップ
【関連情報:世界のモバイル事情より】
・東南アジア編(1) カンボジア通信市場の概観
・東南アジア編(2) カンボジア市場の端末
・東南アジア編(3) カンボジアで存在感のある中国、韓国企業と日本
【参照情報】
・Smartphone sales slowing
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登録はこちら2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。