世界でのスマートフォンのOSのシェアはAndroidとiOSの2つで96.4%と寡占状態である。アメリカの調査会社IDCが2014年8月に発表した2014年第2四半期の世界スマートフォン市場は2つのOSの寡占状態がますます強まっていることが明らかになった。OS別のシェアではAndroidが84.7%と2位以下を大きく引き離して独占状態である。2位のiOSは11.7%、3位はWindows Phoneで2.5%。4位のBlackBerry(シェア0.5%)以下は1%にも達していない。
そのBlackBerryだが、カリブ海地域ではまだまだビジネスを続けるようだ。BlackBerryのカリブ海地域のhead of sales and marketingのRichard Burey氏は2014年12月のDigitalバルバドスのカクテルパーティに登場して、以下のように自社を揶揄したようなコメントをしている。
"BlackBerryは死んだと言われているが、カリブ海ではまだ頑張っている。BlackBerryに勤務していると銀行で言うと、「その会社は倒産したんじゃないの?」と怪訝な顔をされるけど、それはアメリカでの話。カリブ海地域、とくにバルバドスではBlackBerryの人気が高く、それについては非常に感謝している。家族や友人たちからも「BlackBerryは倒産するんではないか?」と心配されているが、まだまだBlackBerryは銀行にもお金があるから大丈夫。"
またDigicelバルバドスのbusiness solutions director のMartin Keogh氏は同じカクテルパーティで「Digicelバルバドスには400人以上のIT専門家がいて、大企業から中小企業までのあらゆる企業にビジネスソリューションのサービスを提供している」とコメントした。
カナダのBlackBerryは2014年12月、2015会計年度第3四半期(2014年9~11月)の決算(米ドル)を発表した。売上高は7億9,300万ドルで、前年同期の11億9,300万ドルから34%減少した。営業損失は1億3,900万ドルで、前年同期の50億2,500万ドルからは大きく改善している。特別費用を除いた非GAAPベースの場合、純利益が600万ドル、営業利益が1,600万ドルだった。売上高の内訳はハードウエア(端末)が約46%、サービスが約46%、その他ソフトウエアなどが約8%だった。スマートフォンの販売台数は約200万台だった。3か月の販売台数が200万台は非常に小さい。1位のサムスンは3か月で7,810万台、Appleは3か月で3,930万台販売することから、BlackBerryの販売台数がいかに小さいかがわかるだろう。
欧米で今後BlackBerryのシェアが大きく回復することはないだろう。かつてはインドネシアでもBlackBerryの人気は高かったが、現在では地場のローカルメーカーの台頭や中国メーカーの進出に押されて、ほとんどがAndroidスマートフォンである。カリブ海地域は人口が少ないから、多くの端末の出荷を見込むことはできないだろうが、それでもまだBlackBerryが入り込める余地があるのかもしれない。
▼DigitalバルバドスでのBlackBerryは4~5万円。決して安くはない。
【参考動画】
BlackBerry Q10 - Coming soon to Digicel 4G(2013年)
Digicelバルバドスの2014年クリスマスシーズンのテレビCM
【参照情報】
・Instant message: BB is here to stay
・BlackBerryの2015会計年度第3四半期業績発表資料
・Digicel Barbados Cellular
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登録はこちら2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。