ベルギー政府のプライバシー保護委員会（Privacy Protection Commission）が、フェイスブックの一部の行為がEUやベルギーのプライバシー保護法に違反するとして、同社にユーザー行動の追跡などを中止するよう求めていたことは既報の通りだが、同委員会が欧州時間15日に、この問題に関してフェイスブックの提訴に踏み切ることを明らかにした。

この件では、フェイスブックが「Like」ボタンなどを利用して、同サービスからログアウトした後のユーザーや、同社のサービスを利用していない人々のオンライン上での行動を追跡し、情報収集していたことなどが問題となっている。同委員会はこの件についてフェイスブックに調査への協力を求めていたものの、フェイスブック側では欧州本社があるアイルランド以外の国の法律に従う義務はないと主張し、調査に非協力的な姿勢を続けていたという。またベルギーのプライバシー委員会では、フェイスブックが指示に従わない場合、法的手段に訴える意思があることを示唆していたという。

この話題に触れたWSJでは、ベルギーでの動きと前後して、EUで新たなプライバシー関連法の草案が承認されたことに言及。この草案には、ユーザーのプライバシーに関わる情報を取り扱う企業が、これまで本社のある国のプライバシー関連法に従えばよかった状況から、各国当局の判断を欧州の他の国々の代表者からなる委員会が審査するような仕組みの導入が盛り込まれているとしている。

今回の提訴について、フェイスブックの広報担当者は「ベルギーのプライバシー委員会とは6月19日に協議を行うことで合意しており、これを前に彼らが提訴に踏み切ったことに驚きと失望を感じている」としているという。

【参照情報】
・Belgium Takes Facebook to Court Over Privacy, User Tracking - WSJ
・Belgium takes Facebook to court over privacy breaches and user tracking - The Guardian
・Belgium is taking Facebook to court - QUARTZ