クリスマス前はイギリスでも忘年会山盛りです。昨夜も金融界のイケイケなヤンエグが路上で吐いてる横で、パブで飲んでましたので、朝はヨロヨロと電車に乗ったら、線路だか信号がどっかで火を吹いたらしく案の定遅延してました。
ま、いつもの年末の風景です。
Twitterのタイムラインをホゲーと眺めておりましたら、こんなのが流れてまいりました。
プレジデントの「妻が仕事を持つと変わる夫婦の力関係」という記事です。
プレジデントって会社で「戦国武将の戦法」(だから武将の話は自慢話だから本当かどうかわかんねえだろ)、「部下は怒鳴らぬと動かぬ」(お前が怒鳴るから動かねえんだよ)、「妻の浮気を見破る」(だからお前がつまんないから浮気すんだろう)等々の記事が載っているオサンとか爺さんが大好きな雑誌だったと記憶しております。
で、こんな物がの載っていました。
(引用)妻が仕事を持つと夫婦の力関係が変わる。そこに気づかずにこれまで通りの関係を続けているとギクシャクしてくる。妻の資力が高まれば、家計の戦力になるが、間違うと暴走してモンスター化する恐れもある。経済力は発言力、時には破壊力にもつながると心得るべきだ。(引用)
そもそもですね、連載の題名が
「専業主婦」を「集金マシン」に変えるコツ
です。
つまり「俺の給料が少ないし仕事が不安定で微妙だから、妻にはパートでも何でもやって稼いでほしいんだけど、あんまり稼ぎすぎるとか単純労働以外やってもらうのは困るな。だって俺ダメリーマンだしよ」
ということを言いたいわけですね。
プレジデントと戦国武将が大好きなお父さん方は、ご自分を
能無しダメリーマンを「集金マシン」に変える
と面と向かって言われたら嬉しいんでしょうね、きっと。(だって本当だものね)
ちなみにこんな記事を本屋に並ぶ雑誌に載せたらイギリスじゃ大事になりますわ。女性団体だけではなく、ゲイの団体や人権団体に「ガイキチ雑誌!!」とデモをやられ、テレビや新聞で曝されます。
そもそも、社内にいる女性編集者やライターが抗議するでしょうね。
ちなみにイギリスでは逆ですよ。女性雑誌や新聞に、成功している女性経営者や管理職、専門職の記事を沢山載せて「女性も頑張って下さい」「あなたもできる」と応援するのです。国が豊かになるためには女性にも頑張ってもらわなければなりませんので。
イギリスは上場企業の幹部に女性もいるし、大体この国は80年代の一番酷い頃に、女性を首相にしてアルゼンチンと戦争やった国ですからね。
ちなみにイギリスはテクノロジースタートアップのオーナの17%が女性でヨーロッパ1となっています。男だらけのはずのテクノロジー業界でも大勢の女性が活躍しています。ワタクシのいるITの世界でも、女性幹部、女性技術者は少しも珍しくありません。しかも国籍は様々。
「あなたもできる」と応援する媒体の例の一つは、ロンドンの路上で配っている女性向けのフリーペーパーであるSTYLISTという雑誌です。
ファッションや食みたいな「スイーツ(笑)記事)」以外に、キャリアに関するセクションがでかいです。
毎週20代後半から40代の女性起業家、パイロット、政治家、学者、制作会社のオーナー、作家、トレーナー、ボクシング選手が載り、1日のスケジュールや仕事の話が掲載されます。子持ちの人も多いのですが「家庭生活を仕事をどうやって両立しているか」の紹介が必ず入っています。どうやればうまくできるか、という「ベストプラクティス」の紹介なんです。この雑誌、昨年はイギリスで最も優れたフリーペーパーの一つに選ばれました。
先日のOECD(経済協力開発機構)が発表した調査では以下のように指摘されていました。
「日本女性の多くは出産後に退職することが多い」
「日本の労働市場では、女性が低賃金で非常勤の職に追いやられてしまうことが多い」
「日本の上場企業内の役員のうち、女性の占める割合はわずか5%。OECD加盟国内で最も低い」
「男女の給与格差は40歳以上では40%」
「日本は働く母親に厳しい」
これが日本に対する外からの認識なのです。
で、日本って先進国なんですっけ?
出典 STYLIST
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登録はこちらNTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。