P2Pでお金を貸し借りするサービスはイギリスやアメリカでは定着しつつあります。お金比較サイトに銀行や郵便局と同じ様にP2Pでお金を貸し借りするサイトが並ぶのが当たり前です。
P2Pサイトが借り手のクレジットスコアをどの様に評価しているのかは詳しく公開されていませんが、ソーシャルメディアでの活動などもみているのかもしれません。
lenddoは、なんとソーシャルメディアでの評判を元にお金を貸してくれます。最近600万ドルを増資した同社、かなり注目を浴びています。
サイトにログインするといきなりFacebookでログインする画面が現れます。まるで音楽アプリかなにかのノリです。
P2Pサイトと同じような仕組みなのかな、という印象を受けますが、同社は投資家から集めたお金を貸している点が異なります。P2Pサイトだとメンバから集めたお金を他のメンバに貸して利ざやを抜くモデルが一般的です。さらに、lenddoは従来型の銀行からお金を借りることが難しい新興市場の消費者に的を絞って展開しています。現在、アメリカ、フィリピン、コロンビア、メキシコにオフィスがあります。
同社はローン申込者の職業や友人とのつながり、スラングの使い方、タイプミス、文章の書き方などを分析して、その人のクレジットレーティングをはじきだします。つまり、従来型のローン申し込み書で嘘をついていたりしても、バレてしまう可能性がある、というわけです。より多くの情報を集めて分析することで、評価の正確性を高めているわけです。
ソーシャルメディアを情報をプッシュするためのマーケティングに使っている銀行やオンラインバンクはありますが、特に伝統的な銀行で、クレジットレーティングの評価に使っているところは皆無に近いでしょう。しかし、同社のモデルがうまくいくのであれば、真似する会社も出てくる可能性があります。
この様な仕組みが広く使われる様になると、例えば、将来的には、反社会的な行動をとる人や人種差別をする人はお金を借りることが難しくなってしまうかもしれません。
なぜなら、そのような行動をとる人は、責任の重い仕事に就いていなかったり、職業倫理規定の厳しい仕事には就いていない可能性が高いのです。人種差別や反社会行動をとったら即解雇です。また、そういう人は訴訟リスクなどのトラブルを考慮しません。つまり、収入を失うリスクの高い人です。そのようなリスクを考慮しない人は、ローンを返済する可能性が低い、と銀行側が判断するかもしれません。
ネットでの反社会的な行動をとる人や人種差別はキャッシュに残ります。個人の特定は可能です。将来お金を借りるのに困りたくない方、ネットで人様をいじめたり人種差別をするのは辞めた方がよろしいかもしれませんね。
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登録はこちらNTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。