5月28日夜(米国時間)にはじまるAllThingsDの「D11」カンファンレンスにアップル(Apple)のティム・クックが登場し、カラ・スウィシャー(Kara Swisher)、ウォルト・モスバーグ(Walt Mossberg)のふたりと対談する。
以下に挙げるのは私がクックに訊いてみたいと思っている事柄である。
- iPhoneだけなぜいまだに複数の製品を取りそろえていないのか。つまり、オリジナル・モデルの発売から6年がたったいまでも、iPhoneだけはユーザーが一定の間隔で製品をアップデート(買い換え)したくなるようになっていないのはなぜか、ということである。複数の製品を取りそろえてポートフォリオをつくることは、他の携帯電話機メーカーならどこでもやっており、またアップルでも他の製品ラインですでにやっている(iPhoneの後から登場したiPadの場合でさえ、すでにそうなっている)。別な言い方をすると、製品ポートフォリオの点でiPhoneだけが普通でないのはなぜか、その理由をどうか説明してほしい。
- 世界に800社を超える携帯通信事業者が存在するが、そのなかでiPhoneを取り扱っているところはわずか250社程度に過ぎない。この理由はなぜなのか。競合他社ーーブラックベリー(Blackberrry)やノキア(Nokia)、サムスン(Samsung)等々ーーはいずれも500社を超える通信キャリアとの取引がある。それに比べると、アップルはほかに例を見ないほど選別の規準が厳しくみえる。私がこんな質問をするのは、もう辛抱できなくなったからというわけではないーーもう一年以上も前からiPhoneを取り扱うディストリビューター(通信キャリア)の数がさして増えていないから、その理由を聞きたいだけである。アップルが通信キャリアにさまざまな条件(たとえば、データ通信サービスの品質が十分確保できているか、など)を課しており、そのことが結果的にディストリビューション(販路)を制限することにつながっているのか。あるいは通信キャリア側が、iPhone取り扱いの条件について、自社の負担が大きすぎる(たとえば、販売ノルマの台数が多すぎる、など)と考えて、そういう結果になっているのか。そのあたりの考えを訊きたい。
- アップルの設備投資額は、2012年(度)に年間100億ドルという途方もない水準に達していた。これは、もっとも多額な設備投資を必要とする半導体メーカーなどを除けば、どの企業よりも多い金額である。またオリジナルiPhoneの投入前には年間の設備投資額が10億ドル以下だったことを考えると、この100億ドルというのはアップル自体にとっても異例といえる。さらにアップルと競合する携帯電話機、タブレット、PCのメーカー各社のなかにも、これだけ多額の設備投資をしているところは見当たらない。これほどの設備投資をするのは半導体メーカー大手の数社くらいしかない。そこで知りたいのは、この設備投資の具体的な目的(使途)が何なのか、そして2013年度にも設備投資の金額が100ドル程度の水準で推移すると織り込んでいいのかどうかという2つの点である。
- ある部品の供給を特定の一社だけに依存するのは御法度だと思うが、アップルではいまだにiPhoneやiPadのプロセッサーをサムスンに依存する状態が続いている。インテル(Intel)がアーキテクチャーに関して独占状態にあるPC用プロセッサーの場合ならまだしも、Aシリーズのモバイル・プロセッサーはアップルが自ら設計し、しかも膨大な数を購入しているのだから、このサムスンへの依存は言い訳のきかないものと思う。どんな理由で、サムスンにそれほど大きな譲歩をしたのか(彼らが潜在的な競合相手になると知っていたのか?潜在的な脅威の心配がないサプライヤーはほかにいなかったのか?)。また一つ前の質問と関連する何らかの理由があったのか。そうした点を教えて欲しい。
(執筆:Horace Dediu / 抄訳:三国大洋 / 原文公開日:2013年5月24日)
原文
・My questions for Tim Cook
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