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[2011年 第4週]NTTドコモが矢継ぎ早に施策を発表、PSP後継機は3G接続機能を搭載へ

2011.01.31

Updated by WirelessWire News編集部 on January 31, 2011, 10:00 am JST

早くも1月が終わりに近づいた2011年第4週、もうお屠蘇気分はすっかり抜けて本格的な動きが始まっている。その中でも、この週に第3四半期の決算説明会を開催したNTTドコモが、相次いで各種の施策を発表しているのが目に付く。KDDIは全国民放FM52局が聞ける「LISMO WAVE」をスタート。ソフトバンクモバイルは高速データ通信サービス「ULTRA SPEED」に対応した法人向けデータ通信専用プランを2種類提供すると発表した。

SIMロック解除、スマートフォン向けプランなどが続々

201101311000-1.jpgNTTドコモの主な動きを見ていこう。1月28日の決算説明会では、SIMロック解除に対する準備状況を報告している。4月1日以降に"新たに発売する機種"にはSIMロック解除機能を搭載する。SIMロック解除機能搭載端末のロックを解除するには、ドコモショップに出向き、重要事項の説明を受ける必要がある。あくまでも4月1日以降に発売する新製品が対象で、既存の製品への対応はアナウンスされていない(関連記事:ドコモ、4月1日以降の新製品でSIMロック解除への対応を表明)。

2010年度に適用される事業者間の接続料金改訂について、総務大臣に届け出たことも発表している。2009年度適用の接続料に比べて最大35.6%の引き下げになる。2010年4月に遡って適用されることになる(関連記事:NTTドコモ、携帯電話の接続料金を大幅引き下げ)。

SIMロック解除も接続料金の引き下げも、他社への意思表示という側面がある。SIMロック解除は1社だけが実施してもユーザーにメリットは少ない。同じ方式を採用するソフトバンクモバイルが全面的にSIMロック解除に動けば、NTTドコモとしてはiPhoneなどの人気端末を自社サービスのユーザーに取り込める。また接続料金の大幅値下げも、公表の義務がないソフトバンクモバイルに対しての圧力になりそうだ。

201101311000-2.jpg一方、スマートフォンシフトに対応する施策もあった。1つは新しいパケット定額サービスと料金プランの発表だ。フラット型の「パケ・ホーダイ フラット」と2段階型の「パケ・ホーダイ ダブル2」を提供する。フラット型では上限額が5460円となり、従来の2段階型の上限額に比べて525円負担が少なくなる。また、スマートフォンなどの購入者に対して購入代金の一部を24カ月にわたって利用料金から割り引く「月々サポート」も開始する(関連記事:NTTドコモ、スマートフォン向けにフラット型などのパケット定額サービス)。

もう1つは、スマートフォン用のISPサービス「spモード」の機能拡充。spモードのメールをWi-Fi接続で利用できるようにし、これまでFOMA網経由だけで利用できたspモード メールの送受信が、インターネット接続可能なWi-Fi環境でも可能になる。spモードの公衆無線LANサービスのオプションでは、月額使用料315円を追加で支払うことでNTTドコモが提供しているMzoneのアクセスポイント(全国3200エリア、6800アクセスポイント)を利用できるようになる(関連記事:NTTドコモ、spモードにメールのWi-Fi対応など機能を追加)。

また、アクセス制限サービスのカスタマイズ機能の拡充も発表している。今回追加される機能で、iモードメールの送受信を時間帯でも制限できるようになる。青少年の安心・安全な利用につなげたい意向だ(関連記事:NTTドコモ、iモードメールのアクセス制限に時間帯制限を追加)。

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モバイルでエンターテインメントが加速へ

201101311000-3.jpgエンターテインメント分野とモバイル分野の蜜月がさらに進みそうだ。ソニー・コンピュータエンタテインメントは、次世代の携帯ゲーム機「NGP」(コードネーム)を発表した。発売は2011年末を予定している。NGPは通信機能として、新たに3G携帯電話のネットワーク接続機能を搭載し、通信を活用できるシーンを増やす。そして日常生活の中で「出会い」「つながり」などの可能性を高めるとしている(関連記事:SCE、3Gネット接続対応の次世代ポータブルゲーム機「NGP」を年内発売)。

同時に、Android OSを搭載した携帯端末でプレイステーションのゲームなどを楽しめるようにする「PlayStationSuite」(プレイステーション スイート)も発表した。プレイステーション スイートの対象になるコンテンツは2011年内の提供を目指す。まず、初代プレイステーションの名作タイトルから提供を開始する予定。Android端末からアクセスできるPlayStationStoreも開設する(関連記事:Android端末でプレイステーションのコンテンツを楽しめる「PlayStationSuite」)。

携帯ゲーム機が通信機能を備えていつでもどこでもネット接続できるようになるのと同時に、拡大するスマートフォンやタブレット端末のユーザーに対してゲーム専用機の世界を提供していく。ハードウエアとして両輪を用意し、軸となるコンテンツビジネスの拡大をもくろむ。。

201101311000-4.jpg既存のコンテンツを新しい端末で利用できるようにするサービスが、もう1つ発表になった。KDDIは、音楽ストリーミングサービス「LISMO WAVE」を開始した。対応機種はauのAndroid搭載スマートフォンおよびau携帯電話の対応機種。auの3G回線とWi-Fiを利用して全国民法FM52局のラジオ放送を聞ける「ラジオチャンネル」と、Wi-Fiを利用して音楽映像を楽しめる「音楽映像チャンネル」だ(関連記事:エリア制限無しで全国の民放FM52局が聞ける「LISMO WAVE」がスタート)。

一味違うが、コンテンツで魅力を高めた製品の発表もあった。ディズニー・モバイルが発売するスマートフォン「DM009SH」だ。おサイフケータイやワンセグ、赤外線通信、デコレーションメールといった女性ユーザーの支持が高い機能を搭載し、浸透を狙う。ボディ背面には、さりげなくミッキーマウスのアイコンがデザインされ、大人の女性の情報ツールとして磨きをかけた。ホーム画面やウィジェット、アプリなどにさまざまなディズニーのコンテンツが散りばめられ、ファンにはたまらないスマートフォンになりそう(関連記事:ホーム画面にディズニーの世界が広がるスマートフォン、2月中旬に発売)。

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高速サービスが着々、現時点のスピードはUQ

201101311000-5.jpgソフトバンクモバイルは、高速データ通信サービス「ULTRA SPEED」に対応した法人向けデータ通信専用プランを2種類提供すると発表した。ULTRA SPEEDは下り最大42Mbpsの高速データ通信サービスで、専用端末「SoftBank 004Z」(ZTE製)が2月下旬以降に発売されると同時に提供が始まる。法人向けプランとしては、2段階定額制の「法人データ通信プラン(ULTRA SPEED)」と、定額制の「法人データ通信プランフラット(ULTRA SPEED)」の2種類を用意する(関連記事:ソフトバンク、最大42MbpsのULTRA SPEEDに法人向けプラン)。また、京セラコミュニケーションズでは、1月27日から、法人向けにWiMAX/au WIN両対応のデータ通信サービスを開始した(報道発表資料)。

そんな中で、面白い調査結果が発表された。MMD研究所(モバイルマーケティングデータ研究所)が実施した「高速データ通信カードに関する地域別実測比較調査」で、「スピードはUQ WiMAXが、首都圏、地方主要都市のいずれでも有利」という結果が得られたのだ。それでもスピードでは、首都圏だけでなく、地方主要都市も含めて安定して下りで10Mbps以上の結果を得たUQ WiMAXが一歩抜きん出ていることが分かった。調査対象はNTTドコモの「Xi」(クロッシィ)とイー・モバイルの「EMBILE G4」、UQコミュニケーションズの「UQ WiMAX」で、提供前のソフトバンクモバイル「ULTRA SPEED」は含まれていない(関連記事:高速データ通信、速度ではUQに軍配--MMD研究所)。

スマートフォンも、ウイルスにご用心

ソフトバンクモバイルは、Android OSを搭載したスマートフォンで利用できるアプリケーションマーケット「Androidマーケット」のアプリ購入代金を、携帯電話の利用料金と一括で支払えるサービスを開始したと発表した。オープンなAndroidマーケットの支払いを携帯料金とまとめるサービスは、ソフトバンクモバイルが国内初の提供となる(関連記事:ソフトバンク、Androidマーケットの代金を携帯料金と一括支払い)。

201101311000-6.jpg一方、アプリの不用意なダウンロードに注意を促すニュースもあった。独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)は、Android OSを標的とした新しいウイルスが確認されていることを発表、注意を喚起した。Android OSとしては初めてのボット型ウイルスだという。ボットの機能を持つ「Geinimi」(ゲイニミ)と呼ぶ新たなウイルスが2010年末以降に流通しており、信頼できる場所から正規版アプリを入手するようにと訴えている(関連記事:IPA、Android OSを標的にしたウイルスに注意を促す)。

最後に、スマートフォンなどに向けたECコンテンツの提供のニュースを。ニッセンは動画を活用したECチャンネル「Nissen Fashion TV」を製作し、公開した。動画コンテンツを使うことで、商品の風合いや使用方法などを分かりやすくユーザーに伝えられるようにする狙いだ。視聴できるのはパソコンと、専用アプリをダウンロードしたiPhoneおよびiPad。Android端末にも近日対応する計画である(関連記事:ニッセン、スマートフォン向けの動画ECチャンネルを公開)。

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