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[2014年第45週]大手3社の決算は明暗、ドコモがサービス攻勢、自宅に「クラウド」

2014.11.10

Updated by Naohisa Iwamoto on November 10, 2014, 12:00 pm JST

大手3キャリアの2014年度上期の決算が出そろった。NTTドコモは減収減益、KDDIは増収増益、ソフトバンクは増収減益と、3者3様の決算となった。足元で減収減益となったドコモは、ネイティブゲームの提供やドコモメール内でデコメなどを購入できるサービスなど、ユーザー体験の向上に一層力を入れる。

大手3キャリアの2014年度上期の決算

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まず、決算から確認していく。NTTドコモの2014年度上期の決算は、営業収益が2兆1730億円で前年同期比1.2%の減少、営業利益は3996億円で同15.5%の減少、当期純利益が2595億円と同13.6%n減少という厳しい数字が並んだ。音声定額を打ち出した新料金プランが、10月14日には1000万契約を突破するなど好調なドコモだが、音声通話に高い料金を支払っていた人から先行して新料金プランに移行する傾向があり、音声収入の減収は541億円に上った。新規販売数の増加、解約率の低下、MNPの回復などは継続して続いており、減収影響が先行したが徐々に緩和されているという(報道発表資料:決算短信)。

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KDDIの2014年度上期の決算は、営業収益が2兆1319億円で前年同期比3.8%の増加、営業利益が3848億円で同10.7%の増加、当期純利益が2314億円で同41.9%の増加となった。営業利益の増加要因としては、パーソナル分やのモバイル通信料収入が461億円と大きく増加したことが奏効している。iPhone 6/6 Plusの初期動向に関しては、auのiPhone 4S/5利用者の約90%がauにとどまるという高い「ステイ率」を達成した。また、新料金プランでは、データ利用の伸びを背景に、44%が5GB以上の大容量プランを選択しているという(報道発表資料:2015年3月期第2四半期決算について)。

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ソフトバンクの2014年度の連結決算は、営業収益が4兆1044億円で前年同期比57.9%の増加、営業利益が5967億円で同19.1%の減少、当期純利益が5607億円で同36.7%増加となった。営業収益はNTTドコモ、KDDIが2兆円を超した水準にあるのに対して、4兆円を超して大手3キャリアの中で頭抜けた存在になった。営業利益が減益になったのは、前年同期にガンホー、ウィルコムの子会社化による一時利益が2490億円加算されていたためで、一時利益を除くと22%の増加と順調な成長を遂げていることをアピールした。国内のモバイル通信事業は営業利益が4016億円となり、買収時点から利益を9倍に高めた。米スプリントもMNPの反転、増益の維持などで反転攻勢を続けているという(報道発表資料:2015年3月期 第2四半期 決算発表)。

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ゲームやメール、翻訳──ドコモのサービスが一層充実

減収減益の決算とは直接の関係はないが、この週はNTTドコモがユーザーサービスを相次いで発表している。まず、同社としては初めてとなるスマートフォンのネイティブゲームを順次提供する。まず提供するのは2タイトルのゲーム。縦横フリックとRPGを融合させたフリックパズルRPGゲーム「マジカルフリック」(エディアと共同開発)と、リバーシと対戦バトルを融合させたリアルタイム通信バトルRPG「ドラゴンリバーシ」(イニスと共同開発)。iOS版とAndroid版を用意し、11月中旬から順次提供する。NTTドコモは2015年3月末までに複数のタイトルのスマートフォンネイティブゲームを提供する予定。基本プレイは全タイトルともに無料で楽しめるほか、他社契約のスマートフォンユーザーでも利用できる(関連サイト:マジカルフリックドラゴンリバーシ)。

また、ドコモメールのアプリ内から直接、デコメや「きせかえテーマ」を購入できる「ドコモメールストア」を11月12日午前10時に提供開始する。ドコモメールストアは、ドコモメールアプリのトップ画面とメール作成画面に新設するバッグ型の「ストアアイコン」からアクセスできるストア。「デコメ絵文字」「デコメピクチャ」「スタンプデコメ」などの各種デコメ素材や、ドコモメールアプリの背景やボタン、アイコンなどを好みのデザインに置き換えられる「きせかえテーマ」を提供する。メール画面から直接購入でき、ドコモポイントとの交換、ケータイ払いの2種類の決済方法を用意する。料金は有料コンテンツの場合は1パッケージ当たり108円(税込み)(関連記事:ドコモ、アプリ内でデコメなどの素材を購入できる「ドコモメールストア」を提供)。

さらに、日本語と外国語の間の翻訳サービス「はなして翻訳」の海外向けサービス「Jspeak」を提供することもアナウンスしている。日本と英語や中国語など10カ国語に対応し、スマートフォンやタブレットを使って異なる言語で会話ができる。音声でスマートフォンなどに話しかけることで、音声を認識して翻訳してくれる。また音声翻訳機能に加えて、旅行や生活でよく使う700以上の文例を備えたため、発話できないような環境でも文例を参照して意思の疎通を図ることができる(関連記事:ドコモ、日本語と外国語で会話できる「はなして翻訳」の海外向けサービスを提供)。

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自宅のストレージに出先からアクセス、クラウド内の通信を高速化

そのほか、この週にあったトピックを紹介する。アイ・オー・データ機器は、スマートフォンからの利用を前提にしたパーソナルクラードストレージ「ポケドラクラウド」を発売すると。自宅のLAN環境に設置すれば、外出先でも自在にスマートフォンからストレージにアクセスできる。製品は、ストレージ容量の違いにより、500GBの「HLS-C500」、1TBの「HLS-C1.0」、2TBの「HLS-C2.0」の3種類を用意する。価格はHLS-C500が1万6500円、同C1.0が2万2100円、同C2.0が2万8800円(関連記事:アイ・オー・データ、自宅に置くだけでクラウドのように使えるストレージ「ポケドラクラウド」)。

同じくクラウドがテーマといっても、こちらは将来に向けた技術開発の話題。NTTドコモとNECは、クラウドの仮想サーバー間の通信速度を従来の最大6倍に高められる技術を開発し、実証実験で確認したと発表した。実証実験は、クラウド基盤ソフトウエアの1つである「OpenStack」のNETWORK機能である「OpenStack Neutron」のオープオンソース実装だけで行った。100台の物理サーバーを使った大規模な実証実験環境を構成、異なる物理サーバーに搭載した複数の仮想サーバー間で、最大16Gbpsの通信速度を実現した(関連記事:ドコモとNEC、クラウド内の仮想サーバー間の通信を6倍に高速化)。

最後にエリアの話題。UQコミュニケーションズは、福岡地下鉄の各駅、列車内で下り最大110Mbpsの高速サービスWiMAX 2+のエリアを拡大する。11月6日から、空港線(1号線)の「福岡空港駅」でサービスを開始するのを皮切りに、全駅へ拡大していくという(報道発表資料:福岡市地下鉄におけるWiMAX 2+サービスの提供開始について)。

昨年の第45週のできごと

・ドコモ、iPhoneでもしゃべってコンシェル、着信画面着せ替えサービスも
・KDDIはバーチャル研究所、GPS端末などに新プラン
・エリクソンのグローバルイベント、ソフトバンクBBは海外玩具
・スマホ特有の不満は「防水」、10月の純増はドコモやや復活

[2013年第45週]ドコモ「きせかえコール」開始、KDDI「au未来研究所」開設、スマホはガラケーより満足度高い?

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。