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[2011年第46週]NFC決済の実証実験始まる、スマホ向け「dメニュー」スタート、WiMAXタブレット発進

2011.11.21

Updated by Naohisa Iwamoto on November 21, 2011, 11:00 am JST

201111211100-1.jpg北からは雪の便りが聞かれるようになった11月中旬。グローバルのサービスを国内の端末やユーザーが使えるようにするための実証実験が始まった。Androidスマートフォンを使い、国際規格のNFC(Near Field Communication)による非接触IC決済サービスを実現するもの。ソフトバンクモバイル、クレディセゾン、アメリカン・エキスプレス、大日本印刷、ジェムアルトの5社が実験の開始を発表した。

実証実験は、2011年11月〜2012年2月の3カ月にわたって実施する。国際標準規格に準拠したアメリカン・エキスプレスの非接触型決済テクノロジー「expresspay」を用い、Androidスマートフォンを端末として実施する。5社は、アメリカン・エキスプレスのネットワークを使って、NFCによる非接触型IC決済サービスの利用環境を検証する(関連記事:ソフトバンク、AMEXなどとスマホ利用のNFC決済の実験を開始

国内ではFeliCa方式でインフラもサービスも端末も、先行して整備されている。しかし、海外では今後NFCが主流になるとみられ、共存や移行のための模索が続けられている。

dメニュー開始などキャリアの動き

携帯電話事業者のトピックを紹介する。まずNTTドコモは、2011年11月18日にスマートフォン向けのサービス「dメニュー」と「dマーケット」の提供を開始した。dメニューはスマートフォン向けのポータルサイトで天気やニュースといった情報のほか、「マイメニュー」「メニューリスト」といったiモード携帯電話で提供していたサービスをスマートフォン向けにも提供する。dマーケットはビデオや音楽、本、アプリといったコンテンツを提供するマーケットプレイスである。

201111211100-2.jpg「マイメニュー」に提供により、iモード携帯電話で購入したコンテンツやサービスをスマートフォンでも継続して利用できるようになる。垂直統合型のドコモ型ビジネスを"スマホ時代"にどれだけ生かせるのか、動向に注目したい(関連記事:ドコモ、スマホ向けの「dメニュー」「dマーケット」の提供を開始)。

KDDIは、総合セキュリティサービス「安心ネットセキュリティ」を11月24日に開始する。同社のインターネット接続サービス利用者に向けたオプションサービスで、WindowおよびMacintoshをOSに採用するパソコンのほか、Android端末でも利用できる。月額315円のオプションサービスで、3台までの端末で利用できる。Android端末を狙った悪意ある攻撃は着実に増加しており、サービス提供とともにユーザーへの周知も求められる(関連記事:KDDI、パソコンでもAndroidでも同時に使えるセキュリティサービス)。

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201111211100-3.jpgソフトバンクモバイルは、データ通信サービスで月額料金を割り引いている「データ通信スタートキャンペーン」を延長すると発表した。キャンペーンでは、下り最大42MbpsのULTRA SPEEDを定額で利用できる「データし放題フラット for ULTRA SPEED」が月額3880円などになる。11月30日までとなっていた加入期間を延長、終了時期は今後ホームページで告知するとしている(関連記事:ソフトバンク、ULTRA SPEEDが月額3880円などのキャンペーンを延長)。

大容量バッテリー搭載の新端末の発表もあった。イー・アクセスは、Huawei製のスマートフォン「GS02」を12月上旬に発売する。特徴は、国内Androidスマートフォンとして最大容量の1880mAhのバッテリーを搭載すること。500時間の連続待受、540分の連続通話といった電話としての利便性のほか、Wi-Fiテザリングでも330分という長時間の連続通信を可能にした。大容量バッテリーとしては、発売予定のNTTドコモのXi対応スマートフォン「GALAXY S II LTE SC-03D」が1850mAhを搭載するとしている(関連記事:イー・アクセス、1880mAhと国内最大のバッテリーを搭載したスマホ「GS02」)。

UQがタブレット発売、上り高速化

UQコミュニケーションズは、国内初となるWiMAX内蔵タブレット端末を12月9日に発売する。製品名は「GALAPAGOS EB-A71GJ-B」。シャープ製で7インチのAndroidタブレット端末である。持ち運びに便利な7インチの小型タブレット端末で、下り最大40Mbps、上り最大10MbpsのWiMAX通信機能を備える(関連記事:UQ、WiMAX内蔵でテザリング対応のタブレット「GALAPAGOS」を12月9日発売)。

201111211100-4.jpgこれに関連して、住友電工ネットワークスはAndroid搭載したタブレット端末に向けたモバイルWiMAXの組込用モジュールを開発し、量産を開始したとアナウンスした。タブレット端末メーカーに対しては、通信モジュールを提供するだけでなく、専用ドライバ、ユーティリティの組み込みのサポートも行うことで簡単にWiMAX機能を組み込めるようにする。併せて、前述のシャープ製の「GALAPAGOS」にこのモジュールが採用されたことを明らかにした(関連記事:住友電工ネットワークス、タブレット組込用WiMAXモジュールの量産を開始)。

インフラの進化の発表もあった。UQ WiMAXサービスのアップリンク(端末からネットワークへの上り方向)の最大通信速度を、これまでの10Mbpsから15.4Mbpsへと向上させる。効率の高い64QAMを採用し、2011年12月中に高速化を図る。対応端末は今後同社のWebサイトで公表するが、発表したばかりのタブレット端末「GALAPAGOS」も高速アップリンクに対応する予定だという(関連記事:UQ、WiMAXサービスの「上り」を最大15.4Mbpsへと高速化

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北海道にデータセンター、spモードでまた不具合

201111211100-5.jpgさくらインターネットは2011年11月15日、北海道石狩市に新たなデータセンター「石狩データセンター」を開所した。始動した200ラックには、同日サービスを開始した「さくらのクラウド」のサーバー群が格納されている(関連記事:さくらインターネット、石狩データセンターを開所)。

この石狩データセンターでは、高電圧直流(HVDC)給電システムの採用を検討している。さくらインターネットは開所式で、HVDC給電システムの評価検証用に設置したコンテナ型データセンター(以下石狩コンテナDC)を初めて報道陣に公開した(関連記事:さくらインターネット、HVDC評価実験用コンテナ型データセンターを公開)。

201111211100-6.jpgこのほかのトピックを2つ紹介する。NTTドコモは、spモードの迷惑メール対策機能に不具合が発生していたことを発表した。メールアドレスに特定の文字列が含まれたときに、エラーが出て設定出来なかったり、意図と異なる挙動を示す。11月16日の午前1時以降に対策を施すとアナウンスしている(関連記事:ドコモのspモード、迷惑メール対策機能に不具合)。

KDDIは「au one テレビ.Gガイド」のバージョンアップを実施した。au one テレビ.Gガイドは、テレビ番組表やテレビ情報を提供するアプリで、これにソーシャルサービスとの連携機能を追加した。番組詳細画面に従来のテキスト情報に加えて、番組の画像を表示するようになるほか、ソーシャルサービスとの連携機能が提供される(関連記事:KDDI、TV番組表アプリ「au one テレビ.Gガイド」にSNS連携機能を追加)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。