[2011年第51週]spモードでメアドが変わる事故、東京の地下鉄でサービス、NFC時代にらみ協議会
2011.12.26
Updated by Naohisa Iwamoto on December 26, 2011, 11:00 am JST
2011.12.26
Updated by Naohisa Iwamoto on December 26, 2011, 11:00 am JST
クリスマスシーズンとなった2011年第51週。しかし、NTTドコモのスマートフォンユーザーの中には、衝撃的な不具合のクリスマスプレゼントをもらってしまった人もいる。メールアドレスが別の実在するアドレスに置き替わってしまうというのだ。
不具合が発生したのは12月20日。スマートフォン向けのISPサービスのspモードで提供しているメールサービスで、メールアドレスが別のアドレスに置き換わる事象が発生した。同時にメールアドレスが変わってしまうことで影響がある関連サービスを一時停止した。
具体的な事象としては、自分のメールアドレスを確認した際に別のアドレスに置き換わっている、spモードメールを受信した際に送信者のものとは異なる別のアドレスから送信されたように見える、といったもの。受信メールに返信すると、表示されている別のアドレスに送られてしまう。実在する別のアドレスが表示されるため、個人情報の流出にもつながる事態になった(関連記事:spモードメールでアドレスが置き換わる不具合、関連サービスも一時停止)。
この不具合について、NTTドコモは翌日「spモードサーバーの輻輳(ふくそう)に起因する電話番号とIPアドレスの関連づけに不整合が生じたことにより発生した」と発表した。大元の原因は、12月20日12時22分に発生した関西地区の中継伝送路中断。その影響でspモードサーバーでの輻輳が発生し、電話番号とIPアドレスに不整合が生じたという(関連記事:spモード不具合続報:原因はサーバーの電話番号/IPアドレス関連付け不整合)。
不具合の影響を受けた可能性があるのは約10万契約。12月20日の18時ごろにはサーバーの自動補正機能によりネットワーク側の不具合は解消したという。NTTドコモは12月22日、spモードの不具合に伴って一時停止していたサービスを、電話帳バックアップを除いて再開した。電話帳バックアップは、12月26日以降のサービス再開を予定している(関連記事:ドコモ、spモード不具合で一時停止したサービスを再開)。
メールはネットワークの最重要サービスの1つであり、メールアドレスはその拠り所となるもの。高信頼性を売り物にしているはずのNTTドコモが、自らの信頼性にキズを付けた。スマートフォンへのシフトはこれからも続く。spモードにさまざまな側面から不具合が相次ぐ状況を、まず改善すべきだろう。
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一部の利用者に限られるけれど、明るい話題もあった。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・アクセスの携帯電話事業者4社は、東急田園都市線の渋谷駅-二子玉川駅間のトンネル内で携帯電話サービスの提供を開始した。渋谷駅-二子玉川駅の各駅間のトンネルで携帯電話サービスを利用できるようになり、駅構内でのサービスと併せて列車内で連続した利用が可能になる(関連記事:東急田園都市線の地下部分「渋谷-二子玉川」で携帯電話が利用可能に)。
一方、UQコミュニケーションズは、東京都交通局の都営三田線 大手町駅構内でUQ WiMAXサービスを12月26日に開始する。駅構内およびトンネル内の一部でサービスが受けられる。三田線で大手町駅に隣接する神保町駅では2012年1月末、日比谷駅は2月末からサービスを開始する計画である。さらに、都営三田線の各駅と、浅草線、新宿線、大江戸線の都営地下鉄各駅でも2012年内にサービスを順次開始するとしている(関連記事:UQ WiMAX、都営三田線大手町駅で12月26日からサービス利用可能に)。
23日のサービス開始後に実際に田園都市線で試したところ、地下鉄区間でもアンテナ表示は良好でメールの送受信やWebサイトの閲覧が可能だった。特に案内などがないのが不親切なほど。通話もできるため、マナー向上策との兼ね合いがあるのだろう。これで、地下鉄内では駅で慌ててメールを送受信しようとして、混み合ってつながらないといったストレスからも解放される。福岡の地下鉄などでは当たり前のサービスが、ようやく東京の地下鉄区間でも提供されるようになってきたことは、ユーザーとしてありがたい。
さらに東京では、東京メトロと東京都交通局(都営地下鉄)の列車内で2012年末までに携帯電話サービスを提供する計画があり、地下鉄区間でも携帯電話が使える環境整備が進んでいる。地下も含めた利便性が2012年には一気に高まりそうだ。
キャリアを横断した連携の話題。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの3社は「モバイル非接触ICサービス普及協議会」を設立することに合意した。国内でのモバイル非接触ICサービスのさらなる拡大を目的とする。国内ではFeliCaによるサービスが定着しているが、国際的にはNFCを使ったサービスが広まりつつある。国内の携帯電話やスマートフォンをFeliCa規格だけでなくNFCのTypeA、B規格にも対応させることや、サービスの利用環境の整備などについて協議する。今後、モバイル非接触ICサービスの提供会社やメーカーなどへの参加を呼びかける(関連記事:携帯3社、FeliCaとNFC併存時代に向け非接触ICサービスの協議会を設立)。
スマホシフトに飛びつかない人の意識調査を1つ。マーケティングリサーチを手がけるメディアインタラクティブは、フィーチャーフォンユーザーを対象にした「スマートフォンへの買い替えに関する意識調査」の結果を発表した。フィーチャーフォンユーザーが、これまでスマートフォンに買い換えていない最大の理由は「ウイルスへの不安」だった。またスマートフォンへの買い替え意向を尋ねたところ、Android端末への買い替えに前向きな回答が7割近くに達した。一方、iPhone 4Sへの買い替えに前向きな回答は4割に達しなかった。携帯電話で利用できている各種の機能やサービスが充実しているAndroid端末のほうが、フィーチャーフォンユーザーには魅力的に見えるようだ(関連記事:「スマホにしないのはウイルスへの不安」--フィーチャーフォンユーザーへの調査)。
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キャリアの話題をいくつか。KDDIは、公衆無線LANサービスの「au Wi-Fi SPOT」のiPhone 4S向けの提供を開始した。これにより、同社のiPhone 4Sユーザーは、現時点で5万カ所を超えるスポットでWi-Fiによる通信が可能になる。また、auのiPhone 4Sを購入したすべてのユーザーが"契約の料金プランにかかわらず"au Wi-Fi SPOTを無料で利用できるキャンペーンを、2011年12月20日から2013年11月末まで実施する(関連記事:au版iPhone 4S、「au Wi-Fi SPOT」を2013年11月まで無料開放)。
KDDIは前週末の12月15日にも、au版のiPhone 4Sのサービス拡充の予定を発表している。他社携帯電話との絵文字のやり取りや、リアルタイムのEメール着信通知が可能になる(関連記事:au版iPhone 4S、他社との絵文字利用を1月、Eメールの即時着信を3月に対応)。au版iPhoneを便利に使える環境が整いつつある。
また、auのAndroid搭載スマートフォンに向けて「au災害対策アプリ」の提供を開始した。大規模災害発生時に避難情報や安否確認などに利用できるアプリで、2011年12月23日に提供を始める(関連記事:KDDI、Android端末に「au災害対策」アプリ、テンキー付きスマホも発売)。
最後にソフトバンクBBが発売したTVチューナーの話題。地デジ、BS/CSデジタルの3波対応のチューナー、「SoftBank SELECTION デジタルTVチューナー」(ピクセラ製)を発売した。受信したテレビ放送のデータを、無線LANを介してiPhoneやiPadに送り、リアルタイムで番組の視聴ができるようになる。パソコンを使わずにiPhone/iPadで地デジなどのテレビ番組を視聴できるチューナーは国内初という。防水ケースに入れたiPadで、お風呂に入りながら紅白鑑賞といった年越しも楽しめそうだ(関連記事:ソフトバンクBB、iPhoneやiPadでTVを見られるワイヤレスチューナー)。
2011年の一週間のまとめは今回で最終回。読者のみなさま、良いお年をお迎えくださいませ。2012年が、幸せでさらなる発展の年となりますようお祈り申し上げます。
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登録はこちら日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。