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スプリント、AT&TのT-モバイル買収阻止を求めて提訴 - 米司法省につづいて

2011.09.07

Updated by WirelessWire News編集部 on September 7, 2011, 10:43 am JST

米携帯通信市場で第3位のスプリント・ネクステル(Sprint Nextel:以下、スプリント)は米国時間6日、今年3月に発表されたAT&TによるT-モバイル(T-Mobile USA)の買収計画について、この差し止めを求める訴えをワシントンの連邦裁判所に提出した。

AT&TによるT-モバイルの買収計画に対しては、8月31日に米司法省(Department of Justice:以下、DOJ)が、市場での適正な競争の阻害につながるなどとして、この差し止めを求める訴えを連邦裁判所に提出しており、スプリントによる訴えはこれに続くものとなる。

スプリントは、3月にこの買収案が発表された直後から、反対の意向を示してきていた。同社では、加入者数で米市場第2位のAT&Tが第4位のT-モバイルを買収した場合、AT&Tと第1位のベライゾン・ワイアレス(Verizon Wireless)の2社による寡占が進み、その結果利用者が支払う料金の上昇や、携帯通信事業者が新たなサービスや技術を導入するインセンティブの喪失につながりかねないなどと主張。さらに、周波数帯の点などでAT&Tが過大な影響力を持つことにより、スプリントや他の下位の携帯通信事業者に不利な状況をもたらすとしている。

今回の提訴について、スプリントは声明を発表。そのなかで「われわれは、消費者(携帯電話利用者)の利益と市場競争の促進のために、この買収に反対する主張を今後も続けていく。また、われわれは提案された買収が法律に反することを証明する上でわれわれのもつ専門知識が貢献できると期待している」と述べている。

これに対し、AT&Tはスプリントの提訴を批判する声明を発表し、「スプリントは、携帯電話利用者に利益をもたらす市場競争の促進よりも、自社の利害を守ることのほうに大きな関心を抱いている。われわれは、この問題について法廷で積極的に争っていく」と述べている。また同社はこれまでの主張を繰り返し、「AT&TとT-モバイルとの合併が実現した場合には、米国における周波数帯逼迫問題の解決に役立ち、多数の国民によりよい携帯通信サービスを提供できる。また、新たに5500万人に対してLTEをつかった4Gサービスを提供できることになり、その結果米国民の97%が高速なモバイル・ブロードバンドを利用できるようになる。さらに数十億〜数百億ドル単位の追加投資と数万〜数十万人の雇用創造が期待できる」などとしている。

なお、この計画の承認をめぐってはDOJほか米連邦通信委員会(Federal Communications Commission:FCC)も審査を進めており、こちらは現在も審査が続けられている。

【参照情報】
Sprint Sues to Block AT&T's T-Mobile Takeover - WSJ.com
Sprint Sues to Block AT&T Deal With T-Mobile - Bloomberg
Following Justice Department, Sprint Sues to Stop AT&T From Buying T-Mobile - AllThingsD
Sprint sues to stop AT&T-Mo takeover - GigaoM
Sprint Files Suit to Block Proposed AT&T and T-Mobile Transaction - Sprint
米司法省、AT&TによるT-モバイル買収に反対表明 - 差し止めを求めて提訴
スプリント、AT&TのT-モバイル買収に反対表明 - 米政府に対して阻止の呼びかけ

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