original image: © enterlinedesign - Fotolia.com
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米オバマ政権は現地時間16日、ドメイン名やIPアドレスを管理する非営利組織「ICANN」との委託契約を9月いっぱいで終了することを発表。インターネットの運用等に対する米政府の影響力が薄れることに対し、米議会の保守派議員などからはさっそく中国やロシアなどの干渉を懸念する声も上がっているという。
ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)は1998年の設立以来、インターネット・サーバーの電話帳にあたるDNS(Domain Name System)の管理などを行ってきている。この話題に触れたBBCによると、ICANNはそれまでジョン・ポステル(Jon Postel)氏という故人がひとりで行っていた監督業務の権限(IANA)を引き継ぐ目的で設立されたが、このIANA委託に関わる契約の当事者がICANNと米商務省の電気通信情報局(National Telecommunications and Information Administration、NTIA)であったため、たとえばトップレベルドメイン(TLD)の新設などに関して米政府が介入できる余地が残されていた。また、中国やロシアをはじめとする一部の国からは、ネットの運用等に関する米国の影響力の大きさを懸念する声も上がり、とくに中ソ両国は国連の専門機関である国際電気通信連合(ITU)でIANAを引き継ぐよう要求していたという。
DNS管理権限などをめぐる各国間の駆け引きを経て、米政府は2014年にICANNとの委託契約を終了してDNSの監督権限を手放すことに同意していた。NTIAは今回の発表について、ICANN側で移行の準備が整ったためと説明しているという。
いっぽう、テッド・クルーズ(Ted Cruz)氏ら共和党保守派の有力議員は、この権限移譲を国家安全保障に関わる問題と捉え、「(権限移譲により)外国政府のインターネットに対する影響力が強まる可能性がある」などと警告する連名の書簡を米政府に送付。また、DNSの持つ機能を国家の資産と捉え、連邦議会の承認なしに政府がその管理を民営化することは認められないとする反対派の見方などもあるという。
【参照情報】
・Obama Administration to Privatize Internet Governance on Oct. 1 - WSJ
・US ready to 'hand over' the internet's naming system - BBC
・In 44 days the US will no longer oversee the internet’s naming system - QUARTZ
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